アドビは2月26日(日本時間)、「Adobe Photoshop」のiPhone版をリリースした。基本機能は無料で利用でき、高度な機能とWeb版へのアクセスを含む有料プランが月額1,300円で提供される。
デスクトップ版(PC/Mac用)のを利用しているユーザー(「Adobe Creative Cloud」の利用者を含む)は、有料プランの機能を追加費用なしで利用できる。

今回提供されるのはiPhone版のみとなるが、Android版も年内のリリースを予定している。

「Adobe Photoshop」はこれまで「Photoshop Express」「Photoshop Touch」「Photoshop Elements(ベータ版)」などの形でスマートフォン対応を行ってきたが、今回の「Adobe Photoshop」iPhone版はサブセット版や機能限定版などではない、フル仕様の「Adobe Photoshop」のモバイル版として提供されるものになる。

「Adobe Photoshop」iPhone版の提供開始後も、デザインツール「Adobe Express」は引き続き提供される。それぞれのアプリの特性上、写真を含む気軽なクリエイティブ制作には「Adobe Express」の利用を、スマートフォンでもより本格的な写真編集を行いたいということであれば「Adobe Photoshop」iPhone版の利用を、と想定しているようだ。また、若年層ではそもそもPCを利用しないユーザーも多いことから、そういった層に向けた本格的な写真編集ツールへの入口としての役割もこの「Adobe Photoshop」iPhone版が担うことになる。

「Adobe Photoshop」iPhone版では、無料版でも、レイヤー/マスクといった画像編集に必須の機能を、スマートフォン向けに最適化されたインタフェースで利用できる。生成AI「Adobe Firefly」による生成塗りつぶし/生成拡張、Adobe Stockの利用、「Adobe Express」「Adobe Fresco」「Adobe Lightroom」などのクリエイティブアプリとの連携といった機能も提供される。

有料プランの「Adobe Photoshop モバイル版&web版プラン」は、前述の機能に加え、プレミアム機能による高度な編集が行えるようになる。さらに、「Adobe Photoshop web版」へのアクセスも提供する。今回提供開始となるスマートフォン版はweb版と近いUXとなるように設計されており、またファイルが自動的に同期されるため、スマートフォン上で行った編集作業の続きをPCのブラウザからweb版で行うといったことが違和感なく行える。「Adobe Photoshop」デスクトップ版のユーザーは前述のとおり追加費用なしで「Adobe Photoshop モバイル版&web版プラン」を利用できるため、デスクトップ版で作業を継続することももちろん可能だ。


無料版の機能、有料プランで利用できる機能は、それぞれ以下のようなものが挙げられている。
無料で利用できる機能

Adobe Photoshopのコアツール:選択ツール/レイヤー/マスクといった基本機能、画像の結合/合成/ブレンドなどの編集機能

フル解像度での編集:ファイルの解像度と画像品質を維持して読み込み/書き込みができる

PSD形式のサポート:無制限のレイヤー/部分補正といったPSD形式の柔軟な編集が行える。

タップ選択:画像内のオブジェクトや被写体をタップして簡単に自動選択でき、削除/再配色/レイヤーへのコピーなどが行える

最新の削除ツール:スポット修復ブラシを使用して、小さなスポットを数秒で削除できる

生成AI機能:生成塗りつぶし/生成拡張により、複雑な編集を高速化/簡素化できる

クリエイティブアプリとの連携:「Adobe Express」「Adobe Fresco」などはPSD形式をサポートしているため、「Adobe Photoshop」iPhone版とシームレスにワークフローを統合できる。「Adobe Lightroom」の写真に「Adobe Photoshop」iPhone版からアクセスし、高度な編集を行った後に「Adobe Lightroom」に写真を戻すといったことも可能

Adobe Stockの利用:数万点のAdobe Stock無料アセットを利用できる

有料プランで利用できる機能

Adobe Photoshop web版へのアクセス:「Adobe Photoshop」iPhone版とweb版で自動で作業内容を同期・保存し、シームレスな作業の再開が可能。「Adobe Camera Raw」のフィルター/シェイプ/レイヤー効果/クイックアクセスなどの機能や、「類似を生成」「参照画像」などの生成AI機能へのアクセスが可能となる

高度な編集機能:削除ツールによる対象オブジェクトの削除、コピースタンプツールや「コンテンツに応じた塗りつぶし」による自然な塗りつぶし、覆い焼き/焼き込みツールによる調整などが行える

高度な選択機能:オブジェクト選択機能による人物/オブジェクトのすばやく正確な選択、自動選択ツールでオブジェクトや領域を選択しての特定の範囲だけの調整ツール適用が行える

高度な描画モード:透明性やカラー効果のコントロール、「高度な描画モード」による画像へのスタイル適用などが行える

フォントの利用:「Adobe Fonts」の20,000種以上のフォントへのアクセス、手持ちのフォントの読み込みが可能

追加のファイル形式:PSD形式のほか、TIFF/JPEG/PNGなどの形式に対応し、さまざまな印刷品質/圧縮オプションを設定できる。ファイルは端末への保存/クラウドへの保存のほか、カメラロールへの書き出しも可能

高度な生成AI機能:無料で利用できる機能のほか、「Adobe Firefly」によるテキストからの画像生成も行える

「Adobe Photoshop」iPhone版では、「Adobe Firefly」により生成したコンテンツにはコンテンツクレデンシャルが付与される。他の機能での編集については現時点ではコンテンツクレデンシャルの付与は行われないとのこと。
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