住宅ローン比較サイト『モゲチェック』を運営する株式会社MFSが、今後の金利情報についてお伝えします。解説は、取締役CMO:塩澤崇です。

■5月の住宅ローン金利の動き

2025年5月の住宅ローン金利情報をお伝えします。

2025年1月23・24日の金融政策決定会合で日本銀行(以下、日銀)が利上げを実施した影響から、4月は多くの銀行が変動金利を引き上げ、5月にはSBI新生銀行とソニー銀行も金利を引き上げました。

なお、みずほ銀行と横浜銀行も4月にそれぞれ金利を引き上げていますが、これは昨年7月の日銀利上げの分を引き上げたに過ぎず、2025年1月の日銀利上げ分はまだ未反映の状態です。2025年1月の日銀利上げ分は今後反映される見通しであり、現在の表示金利より0.25%引き上がるものと予想されます。

注目すべき各銀行の動きとして、銀行間の金利差が拡大していることがあげられます。金利上昇幅を抑えてより多くの顧客を獲得しようとする銀行と、日銀の利上げ幅以上に金利を引き上げて金利競争から離脱する銀行の2極化が生じています。銀行によっては0.5%近くの金利差がありますので、必ず借入金利を比較し、よりよい条件で借りることを強くおすすめします。

2024年3月のマイナス金利解除に続き、7月の利上げ、2025年1月の利上げとなり、日本も金利のある世界となっています。モゲチェックでは今後も追加利上げが行われ変動金利が緩やかに上昇する可能性はあるものの、借りすぎには注意するという前提のもと、相対的に低金利となっている変動金利を利用する方が有利であると考えています。

一方で金利の予測は難しく想定外なこともありえるため、今後の金利上昇が心配な方は、固定金利を選択し安心することも正しい判断と言えます。
■金利が一時的なものか長期的に適用されるかを見極めることが重要

5月が基準金利見直し月となっているSBI新生銀行とソニー銀行が0.25%金利を引き上げました。それ以外の銀行については、変動金利に変化はありませんでした。


固定金利は日本国債10年利回り低下の影響を受け、全体的に下落しています。

主要金融機関の適用金利の先月との比較は下記表の通りです。

続いて、主要金融機関の住宅ローン基準金利も確認しましょう。各金融機関の基準金利・引き下げ幅・適用金利は下記表の通りです。みずほ銀行と横浜銀行を除き、どの銀行も基準金利を3月と比較し0.25%引き上げており、過去の日銀利上げを全て反映した状態になっています。

一方、みずほ銀行と横浜銀行は25年1月の日銀利上げをまだ反映しておらず、2025年10月以降に0.25%引き上げとなる見込みです。

・みずほ銀行:25年10月に基準金利見直し予定
・横浜銀行:25年10月に基準金利見直し予定(結果として、適用金利を0.65%から0.9%へ引き上げ)

上記2銀行は、借入当初の適用金利は安く見えるものの、借入後に基準金利が上昇し適用金利が上がることが考えられるため、比較には注意が必要です。現在ウェブ上で表示されている適用金利に0.25%を加えた金利が実態に近いでしょう。

以上の通り、日銀の利上げをいつ変動金利に反映させるかは銀行によってばらつきがあり、消費者にとってローン比較が非常にしづらい状況となっています。ゆえに、5月の適用金利のみで判断するのではなく、その金利が住宅ローン基準金利見直し前の一時的なものか長期的に適用される金利かを見極めることが重要です。

例えば、「もし日銀利上げが今後無く、経済情勢にも変化が無かった場合、返済開始1年後の金利はいくらですか?」の質問を銀行に問い合わせてみるのも一計です。今の金利と同じであれば問題ないですが、上がる場合はその金利で比較検討する必要があります。

■住宅ローンインデックスの動き

主要なネット銀行、メガバンク、地方銀行の変動金利、メガバンクの10年固定金利、フラット35の金利をそれぞれ平均したモゲチェックの独自指標である「住宅ローン金利インデックス」の動きは下図の通りです。

変動金利では引き続きネット銀行の金利水準がメガバンクを上回る逆転現象が起きています。メガバンク vs ネット銀行の競争は激化し続けており、この傾向は当面続く可能性があります。

固定金利は、トランプ関税による景気先行き不安の影響から長期金利が低下しており、フラット35も含め下がる結果となりました。一方で、堅調な賃金および物価の上昇を踏まえ、年内に追加利上げが行われる可能性はあり、その見通しを踏まえ長期金利が上昇する可能性があります。
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