9月19日公開の映画『宝島』の完成報告会見がこのほど、都内で行われ、主演の妻夫木聡をはじめ、広瀬すず、窪田正孝、大友啓史監督が登場した。
戦後沖縄を舞台に、歴史の陰に埋もれた真実を描く真藤順丈による小説『宝島』。
第160回直木賞をはじめ、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞を受賞するなど3冠に輝いた本作が、東映とソニー・ピクチャーズの共同配給によって実写映画化された。監督は様々なジャンルや題材を通して常に新たな挑戦を続ける大友啓史。主演には妻夫木聡を迎え、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太ら日本映画界を牽引する豪華俳優陣が集結し、誰も見たことがないアメリカ統治下の沖縄を舞台に、混沌とした時代を全力で駆け抜けた若者たちの姿を圧倒的熱量と壮大なスケールで描く。
戦後の沖縄を舞台に、日本復帰までを描いた本作をまだ客観的に観れていないという妻夫木は「この作品が持つ圧倒的な生命力を感じましたね。シンプルに観終わった後、生きていかなければと心の底から思いました。"死"は終わりだと思っていましたが、"死"があるからこその"生"があると。受け継がれるモノを僕たちは持っていて、それに支えられて生きているからこそ精一杯生きなくてはいけないという思いが湧き上がりました」と、"生"に対する欲求が強くなったという。
妻夫木は、戦後の沖縄でアメリカに支配される現実に悩みながらも刑事への道に進むグスク役を演じている。「コザが舞台になっていますが、以前『涙そうそう』をやらせていただいた時もコザが舞台だったので縁があるお話だと思いました。『涙そうそう』で出会った人たちと今でも仲良くしてます。この映画に導かれたんじゃないかと運命的なものを感じて、今も続く問題が沖縄にはいっぱいあるし、それを芝居に変えて表現しなくてはいけないという使命感も感じました」と力を込めた。
幼なじみのヤマコ役を演じた広瀬は「いい意味ですごく疲れました。
監督には『色んなモノを食らいすぎて疲れました』と言ってしまったんですが、血が騒ぐシーンが多くて、濃厚だったなと思い返す瞬間がたくさんありましたね」と振り返り、ヤクザの道に進むレイ役の窪田は「みんな全力で生きていて、死という概念が今と違う感覚だったと思います。死と隣合わせにあるからこそ全力で生きた青年たち、沖縄のみんなが全力で生きるという思いというものが客観的に時間を越えて見た時に、生きている魂を感じたのが大きかったですね」と感想を述べた。
本作で感情を爆発させたシーンに挑んだ広瀬。「監督はテイクを重ねて、色んな角度からたくさん撮るイメージだったんですが、何日か分けて撮る撮影も段取りを見たら監督が1発で今から全部撮ろうみたいな感じですごくテンションを上げてくださって。やり切ったという感じもありましたね」と充実した表情を。広瀬らの演技について大友監督は「5日用意されたシーンを2日で撮っちゃいました。最高です」とべた褒めだった。
この日は主演の妻夫木が本作の宣伝アンバサダーに就任。「映画を撮っている時からこの映画を是非しっかりと皆さんの前で立ってしっかりと宣伝したいなと思っていました。僕にとって(『宝島』は)映画を超える存在になっているんですよね」と宣伝活動に意欲を見せ、「観てもらって良かったで終わりになってほしくないんです。映画で世界が変わる訳ではないんですが、この作品はそれを覆す生命力があるんじゃないかなって、映画ってまだまだどこか底力があるんじゃないかと。僕は本当にクサイんですが、映画の力をどこか信じていて、今回はキャンペーンという形で全国の方にこの映画を直に持って行きたいと本当に思っています。
必ず生きていかなくちゃいけないと思える作品になっているし、僕たちは前に進むしかないんだけど、その原動力には確実になります」と熱く語っていた。映画『宝島』は、9月19日より全国公開。
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