ローソンでは5月13日より、関東の約1,700店舗で冷凍おにぎりの販売を開始する。これまでは東京都内の約400店舗のみで展開していたが、新たに茨城県、栃木県、山梨県、千葉県、神奈川県の各店舗でも取り扱う。
その狙いについて、担当者が説明した。
○■なぜ、冷凍おにぎりを開発するのか
今回販売するのは、常温おにぎりの売れ筋である『焼さけおにぎり』(279円)、『鶏五目おにぎり』(157円)、『わかめごはんおにぎり』(140円)、『胡麻さけおにぎり』(140円)の4品。いずれも工場で製造したものを急速冷凍することで、解凍後も常温おにぎりと変わらない味わいを再現する。
ローソンでは2022年から2025年まで冷凍弁当、冷凍おにぎり、冷凍寿司、冷凍調理パンの実験販売を行ってきた。その結果、売上実績と“即食性”が高かったのが冷凍おにぎりだった。商品本部の西川大樹氏は「冷凍おにぎりは、常温おにぎりと同様に『惣菜、デザートなどと一緒に買う人が多い』『お昼にも即食目的で売れている』ことが分かりました。メインの購入層も30~50代の男女と変わらず、常温おにぎりの代替として支持されることが確認できました」と説明。そこで販売地域を関東の約1,700店舗まで拡大することを決めたという。
冷凍おにぎりを展開するメリットは大きい。たとえば、常温おにぎりは毎日製造する(そのために人材も確保する)必要があり、消費期限も約1日と短いが、冷凍おにぎりは一括製造して作り置きでき、賞味期限は約1年と長い。西川氏は「常温おにぎりと比べて製造コストを1~2割まで削減することができます」と説明する。廃棄ロスの削減はもちろん、配送の集約化により物流も効率化できてCO2排出量の削減にもつなげられる。
ローソンの店舗では、常温おにぎりの売り場にPOPを掲出するなどして冷凍おにぎりの存在をアピールしていく考え。西川氏は「コンビニに入ったお客様は、常温売り場、チルド売り場には立ち寄りますが、冷凍食品売り場には足を向けてくれません。そこで店内にPOPを展開します。電子レンジの上にもPOPを乗せる考えです」と説明する。
今後については「冷凍おにぎりの販売エリアを拡大していきます。2025年11月までに約2,000店舗、2026年9月までに約4,000店舗、2026年度中に国内の全店(冷凍ケースがない店舗は除く)で取り扱いをスタートできれば」と西川氏。また、おにぎり以外にも冷凍商品の取り組みを広げていきたい、とも説明した。
○■即食性にこだわった理由は?
このあと西川氏は、質疑応答、および囲み取材においてメディアからの質問に対応した。
消費者側のメリットについて聞かれると「常温おにぎりと比べて安い価格で購入できます。また冷凍おにぎりの方が、風味が凝縮してより美味しく感じられる特徴もあります」とする。このほか、米の供給不足が問題となっている中で、自宅の冷凍庫に長期保存できる冷凍おにぎりが食卓を助ける可能性についても言及した。
販売目標数については開示していないが「常温おにぎり並みの数字まで伸ばしてきたい」と西川氏。
そのために、まずは冷凍おにぎりの認知度を高めていきたい、とした。また販売数を伸ばすにあたり、冷凍おにぎりの製造工場は増やしていくのか、という問いには「現状では1工場のみです。今後、全国拡大にともなって設備も増強していきますが、工場はそこまで増やしません。そもそも1工場で製造したものを全国に運べるのが冷凍おにぎりの大きなメリットでもあるからです」と回答する。
商品ラインナップを増やしていく中で、冷凍では実現が難しいおにぎりの種類もあるのか、という問いかけには「1500Wの電子レンジで解凍できることにこだわっていますので、どうしても魚卵系の具材は難しいと感じています」。また今回の開発で、冷凍おにぎりの“即食性”にこだわった理由について聞かれると「従来の冷凍食品に求められていたものはストック需要でした。後日、好きなときに食べるために購入しておく、ということですね。でも即食性の高い冷凍おにぎりを販売すれば、常温おにぎりの特徴もプラスできます。お腹が空いたからすぐに食べられる冷凍おにぎりを購入した、というシーンもあれば、色いろ買っちゃったけど冷凍おにぎりは保存できるから後にとっておこうか、というシーンもあるでしょう。即食性のある冷凍おにぎりは、お客様の選択肢を増やすことができます」と説明した。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。
通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら
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