日本製鉄は5月12日、鉄骨梁のウェブ(垂直部材)の板厚を薄くすることで鋼材使用量と建設コストの削減を図る新工法「梁ウェブ薄肉化工法」を開発し、ベターリビングの一般評定を取得したと発表した。この工法は、同社の建設ソリューションブランド「ProStruct」の新たなパッケージとして展開される。


新工法「梁ウェブ薄肉化工法」の概要


これまでH形断面の鉄骨梁を耐震部材として使用する際には、地震時の局部座屈を防ぐため、従来はウェブの板厚を厚くする必要があり、薄肉の断面は耐震用途に制限があった。
今回実用化された「梁ウェブ薄肉化工法」では、上下フランジによる拘束効果を考慮した精緻な座屈設計技術を採用。これにより、H形断面梁が本来有する変形性能を最大限に評価でき、薄肉ウェブ断面でも耐震部材として活用が可能となる。

また、この工法を適用することで、従来は変形性能が低いとされていたFCやFDランクの梁でも、設計条件を満たせばFAやFBランクとして扱うことができ、設計の自由度が向上する。

日本製鉄ではこれまで、スチフナによる補剛でFCやFDランクの梁をFAやFBランクとして扱う「梁端ウェブ補剛工法」を展開してきた。今回の「梁ウェブ薄肉化工法」により、補剛なしでも部材ランクの向上が可能となり、鋼重削減と鉄骨製作効率のさらなる向上が見込まれる。適用外の部材には従来工法を組み合わせることで、建物全体の梁設計をより経済的に行えるとしている。

同社は今後、超高層ビルや物流倉庫、工場、データセンターなどの大型プロジェクトに向けて、「梁ウェブ薄肉化工法」を含む「ProStruct」パッケージの展開を進め、構造物全体の設計・施工の合理化を提案していく方針だ。
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