明治安田生命保険はこのほど、「家計」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2025年3月17日~3月24日、20~79歳の既婚男女1,620名を対象にインターネットで行われた。

○物価高騰が家計を直撃! 9割以上が影響を実感

物価高による家計への影響について、昨年以上に感じるか聞いたところ、「大きく影響を感じる」と回答した人が46.6%、「影響を感じる」と回答した人が31.9%、「やや影響を感じる」と回答した人が17.8%と、合わせて実に96.3%が物価高の影響を感じている。

昨年よりも物価高の影響を感じる費用を聞いたところ、トップは「食料品」(94.2%)で9割を超えた。昨年の調査と比べると「食料品」は73.0%から21.2pt上がっており、食料品の値上がりが多くの家計に影響を与えていることが伺える。
○特に値上がりしたと感じる食品は?

「食料品」のなかで、昨年よりも特に値上がりしたと感じる品目は、「米」(87.9%)、「野菜」(82.6%)、「卵」(53.9%)の順となっており、特に「米」「野菜」の2品目が突出して高い水準となっている。

昨年同時期と比較した支出の増減を聞いたところ、約5割(48.6%)の世帯が「増えた」と回答した。昨年の37.5%から+11.1pt増加しており、足もとで支出が一段と増加している様子が伺える。過年度の推移をみると、2021年は18.9%、2022年は20.5%、2023年・2024年は37.5%で、世帯の支出が「増えた」と回答する人の割合は増加傾向にある。

支出が「増えた」理由を聞くと、「物価高騰により生活費が増えているため」(90.2%)が9割を超え、日々の生活に物価高が重くのしかかっていることが分かる結果となり、昨年(83.2%)よりも、さらに物価高の影響が高まっている状況だ。

○貯蓄額は2年ぶりの増加

世帯での貯蓄額(預金、投資等)について聞いたところ、平均は1,563万円となり、2年ぶりに増加した。昨年(1,303万円)からは260万円増と、大幅に増加している。賃上げの影響に加え、物価高による消費の抑制(買い控え)の影響があるのかもしれない。

貯蓄目的について聞いたところ、トップは「老後のため」(66.4%)、次いで「いざという時のため」(57.6%)と、多くの人が先行きが不透明なことに備えたいと回答した。
「トランプ政権による景気や金融市場への不確実性の高まりも影響しているのかもしれない」と同調査。

○「投資をしている人」は3割超、約24%がNISAを利用

「投資をしている」と回答した人は31.7%で、昨年の26.5%から5.2pt増加した。「投資をしている」人のうち75.8%の人が「NISAを利用している」と回答しており、全体としては約24%の人がNISAを利用しているという結果になった。

「NISAを利用している」と回答した人の平均利用額は約300万円となった。また、NISAの利用をいつ始めたか聞いたところ、「2022年以降に利用し始めた」と回答した人が45.8%となった。近年の制度改正を受けてNISAの利用者が増加しており、NISAを通じて投資をしている人が徐々に増加しているようだ。

○夫のおこづかいは物価が上昇するなかで現状をキープ

20~50代の人に夫婦のおこづかいの金額(ひと月あたりの平均額)について聞いたところ、夫はほぼ横ばい、妻は昨年よりも増加した。

夫のおこづかいは、33,071円と、昨年(33,039円)からほぼ横ばい(32円増加)となった。昨年は7.1%減少したが、今年は何とか現状をキープした格好だ。一方で、物価上昇の影響で、「実質的なおこづかい」は減っているとみられ、お父さんにとっては厳しい状況が続いていると言えそうだ。

○世帯収入が増えたと回答した人は3年連続上昇

20~50代の人に昨年同時期と比較した世帯収入の増減を聞いたところ、25.3%の世帯が「増えた」と回答し、昨年(23.1%)から2.2ptアップし、3年連続で上昇した。

世帯収入が増えた理由を聞いたところ、昨年に引き続き「賃上げ等により給料が上がったため」が62.3%でトップ、昨年より6.1pt上昇した。
今後は、物価上昇が続くなかで、「賃上げが継続していくのか」「物価上昇を上回る賃上げとなるか」がポイントになるとみられる。

○スマホ派が現金派を逆転、キャッシュレス化が進展

最も多く利用する決済手段について聞いたところ、「クレジットカード」(42.0%)がトップで、次いで「スマホ決済」(28.1%)、「現金」(25.6%)と、初めて「スマホ決済」が「現金」を上回る結果となった。キャッシュレス決済の合計は全体の7割以上(74.3%)となり、多くの人がキャッシュレス決済を利用していることがわかった。

キャッシュレス決済は、小銭を出し入れする必要が無いなどの利便性や、ポイントが付くことが魅力だが、今後も若い世代を中心にキャッシュレス化が進展するとみられる。
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