PANDORAが立ち上げた新レーベル「club flamingo」(クラブフラミンゴ)から、リアルとバーチャルを“クロス”する新世代タレント「XTuber(クロスチューバー)」が誕生した。

一期生として選ばれたのは「ミスマガジン2022グランプリ」の咲田ゆな、「ミスヤングアニマル審査員特別賞」「ミスFLASH2023ファイナリスト」の橘舞、そしてグラビアやコスプレ界で活躍する霜月めあの3名。
すでに現実世界で確立した人気を持ち、SNS総フォロワー数は50万人以上を誇る。

これまで“シルエット配信”のみで活動していた彼女達だが、5月23日にVTuberとしてのビジュアルを初お披露目し、同日に3名合同配信も予定している。グラビアなどリアルな活動で人気を築いた彼女たちが、なぜバーチャル空間での新たな表現に挑戦するのか。その魅力と展望について、話を聞いた。

○「XTuber」とは何か?

――改めて「XTuber」とはどういうものでしょうか。

霜月:一言で言うと、「会いに行けるVTuber」ですね。演者、ファンの方々含めて、アバターや仮想空間を通じて、コミュニケーションが取れるのがバーチャルの強みだと思います。一方で、リアルな生身の人間とコミュニケーションを取りたい方もいますよね。そのどちらも実現できるのが「XTuber」です。

――現在の活動について教えてください。

橘:私は「夷振えの」(ひなぶり えの)として、オカルト系VTuberを目指しています。最初は「歌ってみた」をアップして、同日に配信をスタートしました。
現在はオカルト要素を取り入れ、怪談話の朗読をしています。今後はAIを使った怪談創作などもやってみたいですね。

咲田:「夏乃音ユキ」(なつのね ゆき)は雪女の設定です。配信内容は幅広く、ゲームや雑談を含めていますが、特に歌ってみたに力を入れていきたいと思っています。

霜月:「音零くじら」(おとなし くじら)ちゃんの活動内容でいうと、私自身、様々な界隈の友人が多いので、実写ゲストとのコラボを中心にバラエティ色の強い配信をしていこうと思っています。

○キャラクターとの“クロス”関係

――キャラクターとのギャップや共通点はありますか?

橘:私自身は酸いも甘いも乗り越えてきた年齢なんですけど、えのちゃんは20歳で、1番末っ子なんです。

霜月:あれ22歳じゃない? 私が20歳で、最年少なんだって思った記憶が……。

橘:あれ。22歳だったっけ……20歳って言っちゃってる(笑)。まあでも、永遠の22歳として、若々しく元気に話せるのが楽しいですね。

咲田:夏乃音ユキちゃんも22歳で、初めて最年長になれて嬉しいです。普段の私に限りなく近いしゃべり方で、滑舌も曖昧だからふにゃふにゃしていると思います(笑)。


――バーチャル時の設定もあるということですが、実写との切り替えは大変ですか?

霜月:ガチガチに設定を作り込むと逆に難しくなるので、「めあちゃんは、別の体」みたいな表現をしていますね。私は見ての通りオタクに優しいギャルなんですが(笑)、これを1.5倍増しにした感じで、キャラクターの輪郭は素の自分よりもはっきりさせてはいます。

咲田:夏乃音ユキの配信に来てくれたファンには「ユキちゃんが咲田ゆなに憑依した感じ」と伝えています。夏乃音ユキから入って、咲田ゆなに会いに来てくれてもユキ側で接することができそうです。

橘:どうしよう……。「舞ちゃんと、えのちゃんは友達で同棲している」という設定にしちゃっています(笑)。でもどちらも自分なので、2人で配信もできるし、お得ですよね。

霜月:まだみんな、どこに着地したらいいか手探りの状態だよね。
○「2人でひとり」!? 実写×VTuberのユニークな関係性

――あらためて、グラビアなどで活躍してきた皆さんが「XTuber」としての活動に踏み出した理由をお聞かせ下さい。

咲田:私は特に声優や演技には興味があったのですが、自分の中で「声優はこうあるべき」といった考えに縛られてなかなか苦しい時期もあって……。咲田ゆなとしてやりたかったことや、遠く感じた目標に夏乃音ユキならチャレンジできると思いましたし、実際に新しい名前や、バーチャルの姿を得たことで自由度が増しましたよね。好きなことを正直に発言できる場所であり、ゆなを強くしてくれる存在が夏乃音ユキだと思います。


橘:芸能活動を始めてまだ3年ほどですが、舞台以外にもやりたいことがたくさんあるんですよね。イメージなどいろんなものにも阻まれて、実現できないこともありますが、えのちゃんの姿でいればできることも増えるんです。そうして両軸でやりたいことを広めていけるのが「XTuber」だと思いました。1人より2人になったほうが頑張れますし、良い相方だと感じています。

霜月:私の周りにはVTuberの友達が多いんです。その大変さを知っていたし、なによりこれまで築いてきた表の活動を手放したくなかったから、自分は絶対にやらないと思っていました。でも、「霜月めあとしての活動は続けて大丈夫」だと言われたら話が変わりますよね。もしかして「XTuber」なら両立できて、双方にとっても良い影響が出るのではと思ったんです。ほぼ毎日配信をしているのですが、毎回メイクしなければならず、正直大変なんですよ(笑)。ですが、VTuberなら寝起き30秒で始められるのも魅力でした。
○配信とリアルの“いいとこ取り”

――配信はよくしているのでしょうか?

霜月:私はゲーム配信をずっとやっていて、現在も並行して続けています。「XTuber」としてちゃんとデビューした日も、くじらちゃんの配信後にめあちゃんとしても配信しました。


咲田:私は「ミスマガジン2022」のグランプリ獲得時に、審査期間として2週間ほど配信していましたね。主に歌配信で、雑談はあまりしてこなかったので、「XTuber」としてやっていけるか不安でしたが、今は楽しみながらできています。

橘:私も「ミスヤングアニマル2022」(審査員特別賞)「ミスFLASH2023」のオーディション時に半年間ほど配信していました。当時は両方で計4時間配信した後、個人的にも「SHOWROOM」で配信していたので経験はあります。ただ、自分が映っていない状態での配信は初めてなので、ファンの方とどうコミュニケーションを取ればいいか最初は不安でいっぱいでした。
○「素の自分を出せる場所」配信で見せる新しい顔

――実際活動を始めてみて、やって良かったなと思うことは?

霜月:くじらちゃんとして「歌ってみた」動画を出したことは大きな挑戦でした。霜月めあとしてお客さんの前で歌うことを、かたくなに拒んできましたからね。顔が見られるのが怖くてできなかったことも、くじらちゃんならできるんです。今後、霜月めあとして歌うことはないと思いますが、くじらちゃんとのコラボでならもしかしたらあるかも?

咲田:よく「優しくて何でも許す子」って思われがちで、ずっと自分を抑えてそのイメージに合わせてきたんです。でも本当の私は、もっと感情の起伏が激しくて。咲田ゆなでは変なコメントにも「またそんなこと言って」って流してたけど、夏乃音ユキとしては素の自分を出せるようになりました。

例えばMBTI診断を配信でやってて、あと一歩で結果が見られるってときに、うっかりブラウザバックしてしまって……。
ノイキャンが反応してマイクが無音になるくらい叫んで、キレました(笑)。運営さんには「バカだなー」って笑われたけど、それも含めて“そのままの私”でいられるのが、夏乃音ユキなんです。

橘:夷振えのちゃんは私が大好きなことを詰め込んだ、宝箱のような存在です。元々オカルト系が大好きで、金縛りも年間200日ほど経験するほどなので、この現象をえのちゃんとして解明していきたいですね。

○「VTuber=イラスト」はもう古い? 実写の可能性

――あえてお聞きしますが、「VTuberはイラストだからいい」という意見が出てきそうな気がするのですが、それについてはどう考えますか?

霜月:私が「XTuber」を始めると知ったVTuber好きな知人が「俺的にはなしだな」と言っていました。そういう意見は確かにあると思います。でも、顔は出さなくても実写の一部を出している人は増えていますよね。数年後には実写ありきのVTuberは当たり前になっていると思いますよ。

――では、実写を活かしたバーチャルでの活動について、今後の展望を教えてください。

咲田:せっかくなら2次元と3次元のコラボグラビアをしたいです。自分とキャラクターが一緒に映る企画や、手つなぎ写真も撮りたい。あと、同じ声質を活かした歌のデュエットも実現させたいです。


霜月:私はくじらちゃんのコスプレをしたり、逆にくじらちゃんに様々なコスプレをさせたりして相互交流をしていきたいですね。あっ、くじらちゃんのコスプレをしてくれるコスプレイヤーさんにも出会いたいです。

――最後に、これから「XTuber」を目指す人たちへメッセージをお願いします。

橘:新しいコンテンツだからこそ、始めようと思っても、知らないものに対してはやっぱり不安で怖いという印象を抱くかもしれません。ですが、挑戦を恐れずに、私達と一緒にやってくれる仲間が増えてほしいですね。私達3名が先駆者として挑戦することで、その背中に憧れて参入してくる方もいると思いますので、新しい時代を切り開いて頑張っていきたいと思います。
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