Another worksが運営する「複業総合研究所」は5月23日、「自治体複業白書」を公開した。調査は1月10日~3月14日、「複業クラウドfor Public」の実証実験を実施した全国36自治体51プロジェクト、および同実験に採用された複業人材130名を対象に行われた。
複業期間中の現地訪問回数を聞いたところ、69.3%の複業人材が現地訪問していることが分かった。前提として、複業クラウドに登録しているユーザーの半数近くが、東京都(38.6%)や神奈川県(10.5%)などの首都圏に住んでいることから、自治体が複業人材の活用を広げることで、単発的な業務支援にとどまらず、地方への人の流れを生み出す「関係人口創出」の新たなモデルとして機能していることが示される結果に。
また、プロジェクト後の人材との関係性について聞くと、「契約関係を持って継続的に関わっている」(31.3%)、「定期的に相談している」(26.6%)、「来訪時に接点を持っている」(4.7%)と、6割超の自治体が人材と「継続的な関わりを持っている」ことが明らかに。自治体複業は単発的な業務支援にとどまらず、地域との継続的な接点を生み出していることが伺えた。
続いて、現在の働き方を教えてもらったところ、最多は「フリーランス」で37.1%。次いで「法人役員」(30.7%)、「正社員」(24.3%)と続いた。
現在、総務省が実施する「副業型地域活性化起業人制度」は企業に所属する人材を対象としており、フリーランスの参加が制限されている。しかし、複業クラウドを利用する自治体が求める専門的スキルを持つ人材は多くがフリーランスとして活動しており、この制限が活用機会を逃す原因となっていると考えられる。
次に、自治体複業に従事している人材の年齢について調べたところ、「40代」(40%)や「30代」(30%)が多い結果に。
一方、日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度新規開業実態調査」によると、新規開業者のうち「40代」が37.4%、「30代」が28.6%を占めており、開業と自治体複業の年齢層に共通の傾向が。この共通性から、「複業経験→独立創業→地方創生」という新たなキャリアパスの潮流が浮かび上がってきている。
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