俳優の小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介共演の映画『フロントライン』(6月13日公開)の冒頭5分の映像が公開となった。
2020年2月、横浜に入港しようとする豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」船内の廊下に響き渡る「急げ、まずいぞ」「海上保安庁に連絡はついたか?」「今日から2週間客室からの外出は一切禁止ということになりました」「港に救急車ついてる?」という緊迫したやり取りから物語は始まる。
患者搬送のため、緊急出口の扉が開かれると、目の前には海上保安庁の船が待機している。マスクを外し、外の空気を大きく吸い込むクルーの羽鳥(森七菜)の顔には、未曾有の事態に直面した不安と緊張が滲み出ていた。
徐々に映し出される巨大な豪華客船の全景のシーンに続き、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team、略称「DMAT」)指揮官であり救急医の結城(小栗旬)の元に神奈川県庁から電話がかかってくる場面へ。横浜港に停泊中の豪華客船から新型コロナウイルスの陽性患者が出たことを説明され、本来、災害医療対応の組織であるはずの DMATへの出動要請を受けたのだった。
結城は、目の前のテレビに映る豪華客船を見つめながら、「DMATは災害対応のための医療組織でして、新型ウイルスの対策なんて専門外です」と突き返す。しかし、担当組織に断られたことを告げられ、「明日朝8時から緊急対策会議を開きます。神奈川県庁にお越しください」と一方的に伝えられた後、電話が切られた。
新型コロナウイルスの集団感染に日本で初めて挑んだ名もなき英雄たち。その戦いが始まる瞬間が映された緊迫の場面となっている。
○中谷美紀、山下智久、米倉涼子からの絶賛コメントも到着
また、俳優の中谷美紀、山下智久、米倉涼子から、本作を絶賛するコメントも届いている。
■ 中谷美紀
あの年、私たち日本人が、かのウィルスを対岸の火事だととらえ、のんきに桜の開花を待ちわびていた頃、まるで現代のバベルの塔のごとく、 異なる言語が飛び交い、意思疎通が困難な中で野戦病院と化した豪華客船。迫り来る危機の中、どんなに困難な状況にあっても相手を思いやる人々の優しさ、暗中模索しながら未知なる敵と戦う人々の勇姿が、圧巻のシネマトグラフィーに刻まれていました。
それにしても、「今日、お味噌汁ついてます!」という台詞で泣かされるなんて、いったい誰が想像できたでしょうか?
■ 山下智久
当時ダイヤモンド・プリンセス号の船内で起きていた事実を迫真の映像で描き人間の本質に迫る心揺さぶる一作でした。
言葉や文化の異なる乗客たちが、未知のウイルスに感染していく中、 DMAT の命がけの奮闘が、忘れてはいけない歴史の裏側に光を当て ています。未知の感染症の恐怖、隔離の孤独感、船内外の混乱は、 当時の緊迫感をリアルに感じる事ができました。いつ何が起きてもおかしくない。
今日の平和に慣れてしまってきた自分に今この瞬間の幸せを改めて思い出させてくれるような、気づかせてくれるような、激しく、優しい映画でした。
そして医療従事者の知られざる努力を称える作品だと感じました。どんな困難な状況下でも、人が人を救う瞬間や互いを思いやる心が自分の心にも希望を灯してくれました。劇場で見るべきスペクタクルな感動作品です。
■ 米倉涼子
世界中を混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルス。
当時、まだその未知なる怪物を前に、恐怖と覚悟を背中合わせに、ざされた空間へと自ら立ち向かう英雄たちの物語。
(個人的に)一連の報道にまだ釈然としないところはありますが、何しろその後、世界中の人々全員が、真正面からこの未知なる怪物と対峙し、戦士となったことは間違いない。
DMATをはじめ、船員、乗客、船内で奮闘された方々、そしてそのご家族の方々、対策本部も含め、すべての皆さまの愛と勇気に心から敬意を表します。
『フロントライン』は、2019年12月に中国の湖北省武漢市で初めて発生が確認され、2020年に入ってから世界的流行(パンデミック)を引き起こした新型コロナウイルスを、事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品だ。
(C)2025「フロントライン」製作委員会
【編集部MEMO】
メガホンをとった関根光才監督は、安室奈美恵、Mr. Children、奥田民生、AKB48らのMVを手掛けたことでも知られている。また、アートコレクティブ・NOddINの一員としても活動しており、NOddINでは、原発問題、反戦、難民問題に関する作品を発表している。アンガージュマンを体現するような作風から考えると、今作で新型コロナウイルスの集団感染を扱ったのも自然な流れと言えよう。
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