IBJは5月29日、山梨中央銀行がIBJ加盟店として結婚相談所を開設することを発表した。

○銀行本体としての運営の強み

山梨県では婚姻件数の減少が著しく、1993年に5,458件あった婚姻数が、2023年には2,763件と半減し、2024年の出生数も過去最少を記録するなど、未婚化・少子化の深刻さが浮き彫りになっている。
こうした地域課題に向き合うため、IBJと山梨中央銀行は2022年にビジネスマッチング契約を締結し、独身者の婚姻機会創出や地元企業の事業承継支援など、地域に根差した取り組みを進めてきた。そして今回、企業の将来的な後継者不足・人口減対策として、結婚相談所の開業を決断するに至ったという。地域における新しい婚活支援モデルの実現を目指した試行的な取り組みであり、今後は地銀グループとしての持続的な事業展開を見据え、「銀行業高度化等会社」への運営移行も視野に入れた検討を進めていくとしている。

銀行本体が手がけることで、利用者からの信頼性・安心感を得られるのはもちろん、自治体や企業、団体との連携も、既存のネットワークを生かしたスピード感ある展開が可能となり、地域の課題解決に一層の推進力を持たせることができる。

○「地域密着型」婚活支援を強化へ

山梨中央銀行は県内最大規模の第一地銀として、ライフプランや資産形成支援を通じて個人の将来に寄り添ってきた。新たに開設する結婚相談所「YCBridal(ワイシーブライダル)」は、長年築いてきた法人ネットワークを基盤に、取引先企業の福利厚生の一環として従業員等の結婚を後押しし、企業の持続的な発展に向けた支援や、結婚を望む方々の出会いの機会を創出する。この取り組みにより、山梨県内におけるIBJネットワークの会員基盤が拡充され、地域密着型の婚活支援が一層強化することが期待される。
○銀行本体による前例なき挑戦

2021年の銀行法改正により業務範囲の規制が緩和されたことを受け、地方銀行(以下「地銀」)のグループ企業が婚活支援事業に参入する動きが広がっている。これまでにも、地銀グループ企業による結婚相談所の開設は全国に複数の事例があり、地域に根ざした婚活支援の流れが築かれてきた。そうした中で、山梨中央銀行の取り組みは、銀行本体が自ら結婚相談所を開設するという、全国でも初となる新たなステージへの挑戦である。
○地域創生を目的とした婚活支援の取り組み

同社は、名古屋銀行との提携を皮切りに、地銀と連携した婚活支援を全国で展開してきた。婚姻数や出生数の減少が進む中、結婚というライフイベントを地域の未来を支えるインフラと捉え、「婚活支援は地域創生につながる」という考えのもと、活動を広げている。
今後も「ご縁がある皆様を幸せにする」という理念を軸に、全国の地銀・自治体・企業と連携しながら、人口減少という社会課題の解決に貢献していく方針である。
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