『ハリポタ』は「子供と一緒によく見ていた」 舞台出演に喜び
東京・TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハーマイオニー・グレンジャー役を演じている酒井美紀にインタビュー。本作への思いや役作りについて話を聞いた。2022年7月より上演されている舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、小説の最終巻から19年後、父親になった37歳のハリー・ポッターとその息子・アルバスの関係を軸に描かれる新たな冒険物語。
今年2月1日からハーマイオニーを演じている酒井は、もともと『ハリー・ポッター』シリーズが大好きだったという。
「子供と一緒によく見ていました。ハーマイオニーの役でオーディションを受けられると聞いたときはびっくりしましたが、大好きな作品ですし、世界中で愛されている作品なので、ぜひ出演したいと思いました」
2019年頃に家族旅行でイギリスを訪れた際、『ハリー・ポッター』のロケ地も訪れたという。
「映画の世界にすごく感動しました。そのときはまさか自分がハーマイオニーを演じるなんて思ってないので、純粋に楽しく見ていましたが、今回演じるにあたって、当時の写真を見たり、作品もまた見返したりしました」
ハーマイオニーの魅力については「強くて勇敢で、非常に聡明で努力家」と表現する。
「マグル生まれの魔法使いなので、純血の人たちやハーフの人とは環境が違い、何倍も努力しないと魔法使いになれない。映画でもそんな一面が描かれていますが、とても努力家な人だなと思いますし、チャーミングなところもあって素敵だなと思います」
本作で大人になったハーマイオニーを演じる際には、女性らしい一面も意識しているという。
「彼女は強さが特徴ですが、ロンが違う女の子といるのを見て涙するシーンもあって、あんなに強くて泣かなそうな女の子がほろほろ泣くという部分は、大人になったハーマイオニーとしても残したいなと。基本的にはしっかりしていて強そうな雰囲気ですが、ロンとのシーンでは女性らしい部分をしっかり出したいと思って演じています」
ハーマイオニーとの共通点を尋ねると、「ハーマイオニーは魔法について一生懸命勉強しますが、私も好きなものはとことん追求するタイプなので、そこは似ているのかなと思います」と答えた。
3年目からの参加で逆算的に役作り「答えがあるところから…」
また、本作での役作りに関して、「19年間の空白を埋める作業」に難しさと面白さを感じたと語る。「19年間どうしていたのか、どういったバックグラウンドがあってこのセリフにつながっているのか、そこを埋める作業にものすごく時間をかけています。自分だけでは難しいので、演出家や他のキャストと一緒に、毎回2~3時間、本読みという名の議論を何十回もやりました。
その掘り下げは今も続けています」
続けて、「逆算的な考え方」で役を作るというのも、今までにない挑戦だったという。
「私は3年目からの参加で、作品として出来上がっていて答えがあるところから、私なりのハーマイオニーを作り上げていくという、通常はゼロから積み上げていきますが、今回はなんとなくゴールが見えているところから逆算して作っていきました。普段は自分の役を中心に考えていきますが、今回は俯瞰的、客観的な視点が必要で、その視点は今後の作品にも生かせるのではないかなと思っています」
本作では、ダブルキャストあるいはトリプルキャストで一つの役を演じているが、酒井は「自然とそれぞれのオリジナリティが出る」と感じたいう。
「最初は戸惑いがありましたが、稽古をしていく中で、通常通り、役を構築していけばいいと思うようになりました。もちろん見た目や声が違いますし、セリフは同じでも、ちょっとした解釈が人によって違って、そこでもオリジナリティが出るんだなと。ハリーもロンも、同じセリフを言っているのに皆さん違って面白いです」
キャストの組み合わせによる化学反応も本作の魅力だという。
「何通りも組み合わせがあって化学反応が生まれる。同じ作品でも違うものになるので、いろんな組み合わせを見る面白さもあると思います」
『ハリー・ポッター』を一緒に見ていたという長男は、今年の4月で高校1年生に。まだ本作を観劇していないそうで、「息子の方が『ハリー・ポッター』大好きなので、絶対見たいはずなんですけど、ちょっと反抗期で、母親が出演しているというのが恥ずかしいのだと思います。『お母さんのじゃないバージョンもあるよ』とは言っているんですけど」と笑い、「まだ上演は続くので、どこかのタイミングで見てもらえたら」と話していた。
■酒井美紀
1978年2月21日生まれ、静岡県出身。1993年に歌手デビュー。
1995年公開の映画『Love Letter』で女優デビューし、日本アカデミー賞新人賞を受賞。1996年にフジテレビ系ドラマ『白線流し』で主演を務め、注目を集める。以降、数々のドラマや映画、舞台に出演。また、レギュラーラジオやナレーション、コラム連載、不二家の社外取締役など幅広い分野で活躍している。
■『ハリー・ポッターと呪いの子』
『ハリー・ポッター』シリーズの作者であるJ.K.ローリングが、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンと共に舞台のために書き下ろした『ハリー・ポッター』シリーズ8作目の物語。小説の最終巻から19年後、父親になった37歳のハリー・ポッターとその息子・アルバスの関係を軸に描かれる新たな冒険物語は、世界中で多くの演劇賞を獲得している。2022年7月8日に開幕し、今年ロングラン公演4年目に突入する。
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