俳優の綾野剛が主演を務める映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(6月27日公開)の特別映像と場面写真が、公開された。
同作は、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した福田ますみ氏のルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を原作に三池崇史監督が映画化。
主人公の小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、児童・氷室拓翔(三浦綺羅)への体罰を理由に母親・氷室律子(柴咲コウ)から告発され、“史上最悪の殺人教師”としてマスコミの標的になったことで日常が崩壊していく。
今回公開されたのは、綾野へのインタビューと6名の俳優陣が役者・綾野ついての魅力を語る特別映像。
綾野は、薮下誠一という人物像について「答えがすごく多い人」と表現。「小学校の先生のイメージは時代ごとに更新されている」と前置きした上で、「2003年という時代を目で見えるもので代表的に表現してしまうと、人物像はなかなか見えてこない。だから、その人の生活にどれだけ馴染んでいるか(=印象に残らなくていい)ということを意識しました」と、役に記号的なわかりやすさを与えること以上に、日常に生きる人物として在ることを意識して繊細に演じたことを明かした。
さらに、そんな綾野に向き合った俳優陣からコメントが続き、薮下を告発する保護者・氷室律子を演じた柴咲は、綾野について「お芝居に誠実な人で、一つ一つのディティールをきちんと捉えて、どう表現するべきかを常に考えている役者さんだなと思いました」と端的に述べ、薮下への直接取材を敢行しながら世間に報道した週刊誌記者・鳴海三千彦を演じた亀梨和也も「“生きている現場”を、綾野さんから感じさせてもらいました」と、綾野が生み出す現場と芝居の空気感について語った。
薮下を支える妻・希美を演じた木村文乃は、「セリフのやり取りから、想像をはるかに超えた誠一さんで来るから、そこにチューニングを合わせに行く作業が大変でもあったし、お芝居ってこういうことだなと思いました。台本に書いていない部分のふくらませ方が、すごくて」と、一番近い存在を演じた立場からコメント。体罰の訴えや報道への対応に追われる校長・段田重春を演じた光石研も「ちょっとした目線の動きとか台詞の間尺、相手を食う感じを、音から拾っているのかなと感じました」と、綾野の細やかな演技について分析した。
律子側の弁護士・大和紀夫を演じた北村一輝は、「根っこの部分でお芝居をしているように思いました。薮下をどう作るかじゃなくて、“薮下になる”という感じなんです。他の作品とも別人だし普段の姿とも違う。
現場では、綾野剛ではなく薮下としていました」と述べ、真摯に作品に対して向き合う部分を「僕と一緒ですね……そこカットしないでくださいね(笑)」とユーモアを交えて語った。
そして、薮下の依頼を引き受ける唯一の弁護士・湯上谷年雄を演じ、数々の作品で綾野
と共演経験のある小林薫は、「青年だったという当時のイメージ」から年月を経た今作では、「声高に演技していくというよりも、何かを抱えた揺れる人をやりたいのかなと感じました。(薮下の)逡巡する想いに身を置いて演技しているように思いました」と、綾野の円熟ぶりを評した。
【編集部MEMO】
映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』のキャスト発表に際し、週刊春報の記者・鳴海三千彦を演じた亀梨和也は、「今回、再び三池組に参加することができ、とても嬉しかったです。それと同時に綾野剛くんと久しぶりに共演させていただき、非常に刺激的な現場になりました。台本を読ませていただき、人と人との関わりの難しさ、そして繋がりの素晴らしさについて深く考えさせられました。今回演じさせていただいた役は、物語の流れを大きくする重要な存在です。初めて演じる職業。僕自身も様々な思考が交差する難しい役どころでしたが、集中して取り組みました。ぜひ劇場に足を運んでいただき、なにかを感じ取って繋がって帰っていただけら嬉しく思います。 」とコメントを寄せていた。
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