普段は意見が対立する相手と同じ投稿に「いいね」をしていたとしたら?
Xは6月5日(米国時間)、異なる立場のユーザーから「いいね」が付けられた投稿を識別・表示する新たな実験的機能のパイロットテストを開始した。ユーザー間の対立が可視化されやすいSNSにおいて、多様な視点を持つユーザー双方から支持を得た投稿に注記(コールアウト)を表示することで、立場の異なる人々の共感を集めた内容を視覚的に示すことを目的としている。
この実験的機能は、「Community Notes(コミュニティノート)」の仕組みを活用したものである。コミュニティノートは2022年に導入されたユーザー参加型のファクトチェック機能であり、投稿の信頼性を多様な視点から評価する試みとして注目を集めてきた。Xによると、コミュニティノート機能では、政治や思想といった対立が起こりやすいトピックであっても、多様な背景を持つ人々が歩み寄り、合意形成が可能であることが示されてきた。今回の新機能の実験は、このコミュニティノートの成功体験をさらに一歩進め、異なる視点を持つ利用者同士の共感を呼ぶアイデアや洞察、意見を発掘し、広く共有することを目指している。
今回の実験は、まず米国内の一部のコミュニティノート貢献者を対象に開始される。これらの貢献者は多様な視点を代表するように選ばれている。
「異なる視点のユーザー」から一定数の「いいね」が早期に付けられた投稿にコールアウトが表示される。コールアウトを見た貢献者は、その投稿に対して評価を行い、「気づきがあった」「内容には賛成できない」といった具体的なフィードバックを提供する。貢献者は、コミュニティノートのウェブサイトにおいて、「Got Likes」フィードでコールアウトが表示された投稿の一覧を確認することも可能である。集められた評価とフィードバックは、多様な人々から支持される投稿を効果的に自動特定できるよう、オープンソースアルゴリズムの開発に活用される。
Xは、この実験的機能をコミュニティノートと同様に、小規模なパイロットテストから始め、ユーザーからのフィードバックを元に改良を重ねながら、一般への公開を目指して開発を進めていく方針である。
現段階では、この機能が投稿の表示範囲(リーチ)や可視性に影響を与えることはないが、パイロットテストから得られる知見やフィードバック次第では、将来的に多様な視点から支持される投稿が何らかの形でハイライトされる可能性も示唆している。
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