セイコーウオッチの「クレドール」ブランドから、画家の山口晃氏との特別なコラボレーションモデルが発表された。8月8日に発売し、国内限定15本、価格は330万円。
山口晃(やまぐち あきら)氏は、日本の伝統的絵画の様式を用い、油絵という技法を使って描かれる作風を特徴とする。クレドールと山口氏は、ともに日本の伝統や文化を大切にしながら独自の感性と現代性を融合させ、昇華させる姿勢において共鳴。今回のコラボレーションが実現した。
今回の限定モデル、デザインコンセプトは「数寄(すき)メカニカル」だ。数寄とは、風流なものや風雅なものに心を寄せることの意味。山口氏はまず機械式ムーブメントの「てんぷ」に着目し、生命の息吹が波紋のように広がり、万物が展開していく様子をイメージしたという。
ダイヤル上では、6時位置から9時位置をスケルトン仕様(オープンワーク)とすることによって、てんぷの動きを際立たせている。オープンワークの形状にも山口氏の想いが込められ、何か新しいものが生まれる瞬間のエネルギーと広がりを表現すべく「開かれる」イメージの造形を取り入れたとする。
ムーブメントとダイヤルの間には一枚の透明なガラスを挟み、ガラスの表面にはメカニカルな意匠。これにより、スケルトン部分の機械的な美しさを引き立てている。ガラスにも様々な技法を施し、二次元と三次元がオーバーラップするようなレイヤー感は、クレドールの過去のモデルから着想を得たとしている。
続いては、革新的なインデックスのデザインだ。
時計のインデックスを、時刻を正確に把握するために規則正しく配置するのではなく、ダイヤルのデザインの一部として再構築。新たな視覚効果を生み出した。
山口氏はクレドールのインデックスの輝きに着目し、日本画のコードの一つである菱文様を構成するものとして採用。光の入り具合によって光と影が反転する美しいデザインを実現するために、菱文様を構成する合計11種、60本にも及ぶインデックスを新たに開発した。盤面の様々な菱文様と立体的に配置されたインデックスが重なり合い、平面のダイヤルに奥行き感を生み、まるでだまし絵を見ているような不思議な感覚をもたらす。
裏ぶたのデザインにも注目。輝きながら規則的に動くてんぷを月に見立て、そこからススキの野原が広がり、そのススキがほどけて秋草となり、曲線へと展開し、やがて天体の楕円軌道へとつながっていく様子を描いた。
裏ぶたの一部をくり抜くことで、ダイヤルのスケルトン部分に光を取り込み、全体の輝きを強調。山口氏の落款印の刻印もデザインの一部として巧みに組み込んでいる。
ケース素材:ステンレススチール
ケースサイズ:縦44.0mm×横38.0mm×厚さ8.4mm
風防:サファイアガラス(内面無反射コーティング)
ストラップ:クロコダイル(ブラウン)
防水性能:日常生活用防水
ムーブメント:手巻き機械式「キャリバー6899」
パワーリザーブ:約37時間
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