ジェイフィールは6月11日、「逆パワハラ(部下から上司へのハラスメント)」に関する実態調査の結果を発表した。調査は2025年4月18日~4月20日、従業員数100名以上の民間企業に勤務する正社員5,000名を対象にインターネットで行われた。
○逆パワハラの発生状況
調査では、「部下からの意図的なハラスメント行為」に関する具体的事例についてデータを収集し、実際の被害経験・周囲の認識のギャップ・部下人数との相関関係などを分析した。
調査の結果、約1,900人の要職層の約5~6人に1人が逆パワハラの被害を経験しており、本人が自覚していない場合でも、周囲が被害を認識している割合が高く、組織内での"認知ギャップ"が示された。
主な行為内容には、「あからさまに不機嫌な態度をとる」「上司を小バカにする」「知識や経験を否定する」など、上司の尊厳を損なう行為が含まれる。しかし、ハラスメントの方法で突出して高いものはなく、多岐にわたることがわかった。これらはマネジャーに深刻な心理的ストレスを生み、これらの行為を受けた課長の約6割が離職や休職のきっかけになり得ると回答している。
また、部下の人数が10名を超えると、逆パワハラが発生しやすくなることがわかった。とりわけ、部下人数が10~14人といった「中規模マネジメント層」が最も苦慮している実態が明らかとなった。
どのように対処したか
年齢が高い課長職のほうが、対処できずに多大なストレスを感じている。全体的に対策を取る人の比率は低い。若手の方がややSOSを出す比率は高く、ベテラン課長は一人で抱え込む傾向が見受けられる。
○逆パワハラの要因は
どの項目も要因として大きな差は見受けられなかった。ただし、赤枠で囲った3項目については、本人(課長職)と周囲の認識に10pt超の大きなギャップが有り、上司部下の間で適切なコミュニケーションが取れていないことがうかがえる。
逆パワハラの背景には、上司部下間でのフラットな関係が拡大しすぎた結果として、上司に対して過度に強い態度をとること、自己肯定感が低く、自信のない人は心による無意識の自己防衛からくるコミュニケーションの回避という対極的な対応があると考えられる。
○予防や解決のために取り組んでいることは
ハラスメントの予防や解決のため、多くの会社で予防や解決のために何かしらの施策に取り組んでいる。しかし、先の状況を考えると逆パワハラの予防や解決には至っておらず、現場の実態に合わせた対応が求められているのかもしれない。
逆パワハラの解決要素は、行為を受けている課長も、目撃している周囲もほとんど差が見受けられなかった。逆パワハラを解決するためには、課長職と周囲の社員の声を直接、それぞれが素直に相談できる場や、関係性を高めるための相互の変容を促すような取り組みが必要であることがわかる。