2026年に放送・配信される織田裕二主演の『連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」』(WOWOW)のビジュアルが公開された。

壮大なスケールと緻密な人間描写で絶大な支持を集める北方謙三氏の大河小説『水滸伝』。
シリーズ累計発行部数は1,160万部を突破し、これまで映像化されたことのない名作が、織田裕二主演で実写ドラマとして蘇る。

物語の主人公・宋江は、正義を信じ、人を動かす稀代のリーダー。その彼が筆を執り、世直しを誓う書『替天行道(たいてんぎょうどう)』を書き記す劇中シーンが、今回初公開された。「天に代わって正義を行う」という意味を持つこの言葉は、作中で理不尽な世に追い詰められた者たちにとって希望の光となる。全国に散らばる仲間たちがこの書を読み、心を震わせて決起していくという、物語が大きく動き出す象徴的な場面だ。

主人公・宋江は、表向きは戸籍係として働く下級役人。しかし、腐敗した世を憂い、自ら『替天行道』を記したことで、運命の歯車が動き出す。剣の達人でもなく、軍略に秀でた知将でもない。それでも多くの者が彼のもとに集い、命を懸けて共に戦う。それは、彼が持つ"徳"の力ゆえだ。どんな人間も見捨てず、信じ、包み込む。その生き様こそが梁山泊という志の集団の核となる。


■織田裕二 コメント

昨年12月から撮影を開始した。凍てつく寒さ…洞窟、過酷な環境下での長時間に渡る撮影の中、あるシーンで突然空から降ってきた様にアイデアが湧いた。実はこのシーンをどう演じれば良いのか、直前まで考えあぐねていた。この昼も夜も分からない寒ーい洞窟での撮影は一生忘れることはないだろう。雪山、また別の洞窟、山、川、湖と…一体、何十県行っただろう。車、新幹線、飛行機に乗り南へ北へ。この作品は半年が経過してもまだ終わらない(笑)、8か月かかる予定だという。これまで40年近く役者をやってきたが、このスケールでの撮影は無かった。どれだけ力を入れているのか、毎度毎度、山奥に建てられる撮影隊のテントや車輌、スタッフの多さに驚かされる。メイク、結髪、衣装を身につけるまでにかなりの時間と労力を使い、そこから撮影現場に辿り着くまでまた時間を要する。

そして主演である私ですら、この作品の一部でしかない。何故なら私が出演していないシーンが多数あり、そこでほかの役者たちがどう演技しているのかわからない。全ての撮影が終わり、編集され、放送までにどんな作品になるのか、いまは想像出来ない。
こんなに時間と労力をかけた作品がどんな物になるのか、楽しみでしかない。私が宋江という人物を演じるにあたり、最も気をつけているのは、彼は何処にでもいる普通の人だということ。晁蓋のような漢らしいリーダーシップを持つ訳では無く、林冲や楊志のような武の才も無く、呉用のような作戦軍師でも無い。精神的に強いわけでも無い。悩んだり、弱味を曝け出したり…人に寄り添う宋江という男は、ただ人に寄り添う今はこれだけをキーワードに戦い、演じております。

■原作・北方謙三氏 コメント

織田さんが宋江を演じる。あれだけの役者が衣装を纏い、言葉を発するのだ。だが、それを超えたところに“芝居”はあると思う。会話をした。かなり入れ込んでいた。燃えていた。どんな宋江が見られるのか、楽しみだ。


ドラマ制作陣は、むさ苦しいほど熱い。だが、あれだけの長編を作るには、それくらいの熱がなければできないだろう。俳優の演技力や存在感、監督や脚本の表現力、衣装・小道具を含めた創造力が、どう支えるか。これは、作家と映像制作者の"勝負"。私は今、無邪気に、圧倒される瞬間を待っている。

【編集部MEMO】

『水滸伝』は、『三国志演義』、『西遊記』と並ぶ中国三大奇書の1つで、理不尽な世の中に抗ったアウトローたちが“志の旗”のもとに集う、壮大な群像劇。日本でも江戸時代から広く親しまれ、現代では漫画やゲームにも影響を与え続ける、アウトロー文化の源流とも言える作品。北方謙三版『水滸伝』では、その登場人物たちの葛藤や誇り、闘志を現代的な視点で描き直し、原作に新たな命を吹き込んだ大河小説の金字塔。続編の『楊令伝』や『岳飛伝』とともに、シリーズ累計発行部数1160万部を超える人気を誇っている。
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