イプソスは5月13日、「イプソス世代レポート2025」を公開した。Z世代の男女間の意識のギャップを探り、あまり議論されていないX世代の力を明らかにし、「高齢者」に対する理解の進化について詳しく掘り下げている。


日本の「就職氷河期世代」は、1970年代後半から1980年代前半に生まれた層で、1990年代のバブル崩壊による長期不況と企業の新卒採用抑制の影響を強く受け、「正社員になれないままキャリア形成の機会を失った世代」として語られている。この世代は、世界的な世代分類では「X世代」とほぼ同時期にあたる。

X世代は、特にG20諸国では高学歴であり、アメリカでは初めて大学進学率が50%を超え、女性の教育水準が男性を上回った世代。現在、アメリカではX世代が最も高収入の世代であり、ベビーブーマーやミレニアル世代を上回っている。またFortune 500企業のCEOの平均年齢もX世代にあたる59歳で、世界のビジネスリーダーの主流を占めている。

イプソスのPublic Affairs Global CEOのDarrell Bricker氏は、X世代について、「皮肉なことに、かつて『怠け者』と見なされていた世代が、現代におけるワーカホリック(仕事中毒者)となりました。彼らには、そうならざるを得ない 事情があったのです。ベビーブーマー世代ほどの恩恵もなく、ミレニアル世代ほどの支援もなかったX世代は、自分自身に頼る術を身につけました。 彼らは、中流階級の夢が変わってしまったこと、そして誰も成功を与えてはくれないという現実を、最初に受け入れなければならなかった世代なのです」と述べている。

なお、同レポートによって明らかとなった世界的な世代の傾向は以下のとおり。

Z世代 ~一枚岩ではなく、多様性~
Z世代の男女間には、特定の社会問題に関して明確な隔たりが見られるが、決して一枚岩ではない。分断されたメディア環境が、この隔たりをさらに増幅させている。


X世代 ~無視できない静かに力を持つ世代~
メディアの報道や研究プロジェクトでは見過ごされがちだが、ジェネレーションXは今や政治、ビジネス、そして家庭生活において大きな力を持っている。

シニアの可能性、新たな世代YOLD(Young Old)
価値観、欲求、そして願望が進化する新しい世代の高齢者が出現している。高齢化が進む現代社会において、この多様な世代の潜在能力をどのように活用するかを理解することは不可欠。なかでも注目されるのが「YOLD(Young Old)」と呼ばれる層で、かつては変化に消極的と見なされていた高齢層の中で、YOLD世代はテクノロジーに親しみ、社会的にも積極的に関わる傾向を持っている。健康で活動的、かつ意識の高いこの世代は、消費行動や社会貢献にも意欲的であり、企業や行政にとって重要なパートナーとなり得る。
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