前回の記事では、ネットショップ開設の準備から商品選び、ショップ構築、集客の基本までを7つのステップで解説しました。
今回は、ネットショップを開設した後の「運営のコツ」について解説していきます。
ネットショップは開設しただけではすぐに売上が上がるとは限りません。だからこそ、運営を続けて成果を出すには、日々の工夫や改善が欠かせません。ファンづくりや売上アップを実現するための、日々の運営のポイントについて詳しく解説していきます。
○フロント業務とバックエンド業務、両方が重要
ネットショップの運営業務は、大きく「フロント業務」と「バックエンド業務」に分けられます。
フロント業務は、商品企画やショップデザイン、プロモーションなど、ユーザーの目に触れる部分で、ブランディングや集客に大きく関わります。
一方、バックエンド業務は、受注処理・在庫管理・配送・顧客対応など、ショップ運営を支える土台です。これらがスムーズに機能しなければ、どれほど魅力的な商品やサイトでも、顧客満足度は低下してしまいます。
バックエンド業務では、業務フローをしっかり設計し、ミスなく効率的に回る仕組みを整えることが重要です。たとえば、注文から発送までの流れをテンプレート化したり、在庫の更新ルールを明確にしたりすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
このようにバックエンド業務が整ってはじめて、安心してフロント業務に注力できる環境が整います。次章からは、主にフロント業務に関わる実践的なポイントを紹介していきます。
○“買いたくなる”商品ページのつくり方
ネットショップにおいて、商品ページは実店舗での“接客”にあたります。
お客様が商品を理解し、安心して購入できるように、画像・説明文・価格・サイズ・取り扱い方法・配送情報・レビューなどを丁寧に記載することが大切です。
○・商品画像で魅力を最大限に伝える
商品画像は、お客様が商品を選ぶうえで、購入の決め手にもなる重要な情報です。全体の見た目に加え、使用イメージ・サイズ感・素材の質感など、さまざまな角度から撮影した複数の写真を用意しましょう。背景やライティングにこだわることで商品の魅力が引き立ちます。さらに、使用方法や動きのある様子を伝える動画も効果的です。
○・テキストは丁寧に
サイズや素材といったスペック情報に加え、「どんな人に」「どんなシーンで」役立つのかを具体的に表現することで、購入者が自分の生活に取り入れたイメージを持ちやすくなります。
○・信頼感を伝える
レビューや販売実績、SNSでの投稿などを紹介することで、他の人の購入体験を共有し、信頼感を高められます。特に写真付きレビューや実際の使用感を伝える声は、購入の後押しになります。
○・購入に必要な情報は過不足なく
配送日数や送料、返品の可否など、購入判断に関わる情報は明確に記載しましょう。情報が整理されていることで、安心感が高まります。商品ページに収まりきらない内容は、FAQページで補完するのがおすすめです。
商品ページは一度作って終わりではありません。
アクセス解析や売上データをもとに、随時見直し・改善していくことが、成果を生み出す近道です。常に購入者視点を持ち、「購入者が迷わず・安心して買えるページづくり」を意識しましょう。
○SNSとコンテンツでファンを増やす
ネットショップは、開設したからといって、すぐに売上が上がるとは限りません。まずはショップの存在を知ってもらうことが重要です。そのためにはいくつかの方法があります。
広告・TVCM・プレスリリースといった広報手法も有効ですが、コストを抑えながら取り組める手段として特におすすめなのが、X(旧Twitter)やInstagramといったSNSの活用です。ではSNSではどんな発信をしたら良いのでしょうか。
○・ショップの日常や商品の制作過程を発信する
運営者の人柄や商品へのこだわりが伝わることで、共感や信頼が生まれます。
○・ユーザーの投稿をリポストする
実際の購入者の声を共有することで、口コミ効果が生まれ、ファンを巻き込みやすくなります。
○・読み物コンテンツやブログを活用する
商品の背景や開発ストーリーを紹介することで、ブランドの世界観に共感してもらいやすくなり、リピート購入にもつながります。
発信内容やトンマナに迷ったら、普段見ているSNSや、おなじカテゴリーの商品を扱っている方のSNS、好きなお店のSNSを見て、自分のショップに取り入れてみるのもいいでしょう。
SNSやコンテンツは、単なる“宣伝手段”ではなく、ショップの価値観や雰囲気を伝える「ブランドコミュニケーションの場」です。
長期的なファンを育てていくためにも、日常的な発信をコツコツ積み重ねましょう。
○販促とフォローの工夫・リピーターを育てる
ネットショップで安定した売上をつくっていくためには、「一度買って終わり」ではなく、「またこのショップで買いたい」と思ってもらえる関係性を築くことが大切です。そのためには、購入後の体験を丁寧に設計し、フォロー施策を行うことがポイントです。
たとえば、実店舗が季節ごとにディスプレイや陳列を工夫するように、ネットショップでも「また訪れたい」と思ってもらえる仕掛けを継続的に取り入れましょう。
以下は、具体的な取り組みの例です:
○・購入後のサンクスメール
感謝の気持ちを丁寧に伝えることで、顧客満足度を高めます。
○・レビュー投稿のインセンティブ
投稿者に次回使えるクーポンを配布するなど、行動を促す仕組みを用意しましょう。
○・メルマガやLINE配信
定期的に新商品情報やキャンペーンのお知らせを届けることで、自然な形でリピートを促せます。
こうした施策を通じて、お客様との接点を持ち続けることが、ファンを増やし、リピーターを育てることにつながります。
○数字を見る習慣をつける
ネットショップを運営していく中で、思ったように売上が伸びない場面もあるかもしれません。そんな時こそ、数字を確認して現状を可視化することが重要です。SNSのフォロワー数やいいね数と同じように、ショップ内でも見るべき数字があります。
たとえば、次のような指標があります:
○・アクセス数
ショップの訪問者数。
多くの人に見てもらえているかの目安になります。
○・CVR(コンバージョンレート)
アクセスに対して、どれくらいの割合で購入に至ったかを示す指標。商品ページや導線の改善に役立ちます。
○・リピート率
同じお客様が再度購入してくれている割合。ショップのファン度や満足度を測る重要な数値です。
○・カゴ落ち率
カートに入れたけれど購入に至らなかった割合。購入までの導線や送料・決済方法の見直しに活用できます。
Googleアナリティクスや、ショップ提供ツールのレポート機能を活用すれば、サイトデザインやバナーを変えた際の変化、季節ごとの動き、時間帯ごとの傾向などを把握できます。お客様の行動を数字で把握できれば、根拠をもって改善施策を打つことができます。
○STEP 6:配送方法を選ぶ - 顧客満足とコストのバランスを考える
配送は、ネットショップ運営において欠かせない要素のひとつです。ヤマト運輸、日本郵政、佐川急便など主要配送業者の中から、商品のサイズや配送地域に合わせて適切な方法を選びましょう。
法人契約を活用したり、複数の業者を使い分けたりすることで、コスト最適化も可能になります。
○“続ける”ことが最大のコツ
最初にお伝えしたとおり、ネットショップは開設しただけではなかなか売れません。しかし、試行錯誤を重ねながら改善していくことで、商品ページの完成度が上がったり、リピーターが増えたりと、目に見える変化を感じられるようになります。
実際に購入してくれたお客様の声をヒアリングして、改善のヒントをもらうのも良い方法です。
大切なのは、焦らず、自分のペースで着実に取り組むこと。改善するたびに前進している実感が得られれば、運営はどんどん楽しくなっていきます。地道な積み重ねが、やがて大きな成果につながると信じて、一歩一歩進んでいきましょう。
よむよむカラーミー編集部 よむよむカラーミーは、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」の公式Webメディアです。ネットショップ運営に役立つノウハウや成功事例、最新トレンドをわかりやすくお届けします。https://shop-pro.jp/ この著者の記事一覧はこちら
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