1995年に女優デビューし、今年30周年の節目を迎えた酒井美紀。現在、東京・TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』ではハーマイオニー・グレンジャー役を演じている。
「演じることが好きで、この仕事から離れたいと思ったことはない」と心から芝居を楽しんでいる酒井がこの世界に入ったのは、昨年12月に亡くなった中山美穂さんへの憧れからだった。「今でも憧れ続けている」という中山さんへの思いを酒井に聞いた。

○女優デビュー作『Love Letter』で中山美穂さんの少女時代を演じた

1980年代のアイドル全盛期、9~10歳だった酒井はテレビに映る中山さんの姿に魅了されていた。

「当時のアイドルさんは歌も芝居も両方一線でやる方が多く、中山美穂さんもキラキラ輝いていて、子供の頃から大好きでした。ドラマもよく見ていて、『中山美穂さんみたいになりたい』と憧れて芸能界を目指しました」

その目標が見事叶い、1993年に歌手デビュー、そして、1995年に女優デビューを果たした。なんと女優デビュー作が、中山さん主演の映画『Love Letter』で、酒井は中山さん扮する主人公・藤井樹の少女時代を演じた。

「まさか一緒の作品に出られるなんて。同じ役を演じられてとても光栄でした。ご本人にもお会いすることができて本当にうれしかったです」

中山さんの魅力について、酒井は「コミカルなお芝居が私は特に好きです」と語る。

「若い頃は明るくてコミカルな印象が強くて、『ママはアイドル!』や『若奥さまは腕まくり!』などで、目をくるくるさせながらコミカルなお芝居をされていて。そういうお芝居もできるし、しっとりしたお芝居もできる。今でも憧れ続けています」

さらに、「ものすごく美人なのに、コメディエンヌの要素が入っている感じが好きです」と続け、「なかなかその域に到達できませんが、変わらず目指していきたいです」と今後も中山さんは目標であり続けるようだ。


『Love Letter』の撮影や公開当時、何回か中山さんに会う機会があったものの、それ以降は一度も会っていないという。

「共演する機会もなく、1995年か1996年以来、お会いできていないんです。いつか中山美穂さんにもう1回会いたいという思いをずっと持っていたので、それは心残りです」

『Love Letter』の公開30周年を記念し、今年4月4日より4Kリマスター版が公開。初日に舞台挨拶が行われ、酒井も登壇した。

酒井は「私も30年ぶりにスクリーンで見ました。ラストシーンで、中山さんが図書カードに描かれた私=少女時代の似顔絵を見るんですけど、中山美穂さんが見てくれているみたいな気持ちになって、舞台挨拶があったので思いっきり泣けませんでしたが、ぐっとくるものがありました」と話していた。

■酒井美紀
1978年2月21日生まれ、静岡県出身。1993年に歌手デビュー。1995年公開の映画『Love Letter』で女優デビューし、日本アカデミー賞新人賞を受賞。1996年にフジテレビ系ドラマ『白線流し』で主演を務め、注目を集める。以降、数々のドラマや映画、舞台に出演。また、レギュラーラジオやナレーション、コラム連載、不二家の社外取締役など幅広い分野で活躍している。


■『ハリー・ポッターと呪いの子』
『ハリー・ポッター』シリーズの作者であるJ.K.ローリングが、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンと共に舞台のために書き下ろした『ハリー・ポッター』シリーズ8作目の物語。小説の最終巻から19年後、父親になった37歳のハリー・ポッターとその息子・アルバスの関係を軸に描かれる新たな冒険物語は、世界中で多くの演劇賞を獲得している。2022年7月8日に開幕し、今年ロングラン公演4年目に突入する。
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