AlbaLinkは6月16日、「QOL(生活の質)が下がる家の特徴」についての調査結果を発表した。調査は2025年5月27日~6月4日、全国の男女500人を対象にインターネットで行われた。

○QOLが下がる家の特徴

全国の男女500人に、住んでみて実感した「QOL(生活の質)が下がる家の特徴」を聞いたところ、1位は「日当たりが悪い(21.2%)」だった。2位「断熱性能が低い(12.8%)」、3位「壁が薄い(12.6%)」と続く。建物そのものの「構造や向き」「住宅としての性能」などが上位に入ったことから、QOL低下の主な原因は建物自体にあるとわかった。なお日当たりについては、向きや窓の大きさなど建物自体に理由があるケースと、「周りに高いビルが建った」など周辺環境に理由があるケースがある。
○1位「日当たりが悪い」

1位「日当たりが悪い」には、「日当たりが悪い家。暗いため電気をつける時間が長くなり、冬が寒いため暖房をつける時間が長くなり、光熱費が上がる。気分が晴れず、心なしか体調を崩しやすい気もします」(30代 男性)、「北側にしか窓がついていないワンルームマンション。夏の涼しさは何物にも変えがたいくらいだったのですが、とにかく日が当たらないため、洗濯をしても室内にしか干せません。部屋の中もなんとなく薄暗く、冬になると寒くてたまりませんでした」(50代以上 女性)といった声が寄せられている。

日当たりが悪いと、視覚から暗い気持ちになり。また、洗濯物が乾きにくい、冬が寒いなど、日常生活の快適さも損なわれてしまう。「室内干しするために浴室乾燥機を使う」「日中も照明をつける」「暖房をがんがんかける」といった行動で、光熱費も高くなる傾向にあるとわかった。

○「断熱性能が低い」

2位「断熱性能が低い」には、「断熱性がなくて西向きの家。盆地で夏は暑く冬は寒い地域だったので、冷暖房しても夏の夕方は家の中が灼熱で、冬はとにかく寒かった」(30代 女性)、「とにかく寒い。北側の部屋を寝室として使っていたら、冬に壁と天井にカビが生えました。大家さんに伝えて天井はキレイにしてもらいましたが、その際屋根に断熱材が入っていないこともわかり、がっかりしました」(40代 女性)といった声が集まった。

断熱性能が低い住宅は、外気の影響を強く受けるため、夏は暑さがひどく、冬は暖房が効かずに寒くなりがち。また、冷暖房効率が悪いため、光熱費も高くなる傾向にある。断熱性が不足することで、室内の快適性が下がり、結果としてQOLも下がりやすいとわかった。
○3位「壁が薄い」

3位「壁が薄い」には、「防音性能の低い木造アパート。「隣人の喋り声」「テレビの音」「物を落とした音」などがはっきり聞こえるため、ストレスだった」(20代 男性)、「壁が非常に薄く、隣の部屋の毎日ライブDVDを見ている音が漏れてきた」(30代 女性)といった声が寄せられている。

壁が薄いと、隣人や上階の生活音が聞こえやすくなると同時に、自分の生活音も隣人が下階の住人に聞こえやすくなる。「テレビの音」「トイレの使用音」など、普通に生活していると出る音が筒抜けになってしまうことで、プライバシーが損なわれる。自分の部屋にいても隣人の気配を感じたり、遠慮したりすることになるので、リラックスしにくくなり、QOLが低下するとわかった。

○4位「古い」

4位「古い」には、「社宅の団地。築年数が古すぎて、冬はものすごく寒い。配水管が古すぎて、割れる」(40代 女性)、「古くて設備が劣化していた貸家。断熱性が非常に低く、山間部だったので冬に暖房をつけても部屋がなかなか暖まらず、ストレス要因でした。キッチンや浴室も狭くて使い勝手が悪く、自炊や入浴もおっくうになり、生活習慣が乱れてしまいました」(50代以上 男性)との声が挙がっている。

築年数が古いことによって起こりやすい問題は、「住宅性能が最新の建物よりも低い」「設備が古く、故障しやすい」などだが、断熱性の低さや建具の使いにくさは日常的なストレスになる。また、突発的に設備が壊れると日常生活に大きな影響が出るため多大なストレスになると想像できる。
○5位「湿気がこもりやすい」

5位「湿気がこもりやすい」には、「湿気がすごくて、脱衣所や下駄箱がカビていた」(30代 女性)、「湿気が多く、寝室の隅では黒カビが発生していることもあった」(30代 男性)といったコメントが寄せられている。

梅雨や夏には、高温多湿の環境になりやすい日本。そのため「風通しが悪い」「換気設備が不十分」「雨漏りしている」「川や田んぼに近い」などの理由で、湿気がこもってしまう家もある。湿気が多いとカビの発生しやすくなり、見た目が悪いうえに健康被害の心配もある。また布製品もカビやすくなるため、靴や服が被害を受けた人もいた。

○6位「部屋が狭い」

6位「部屋が狭い」には、「キッチンが狭くて料理しにくい。ユニットバスが狭い」(30代 女性)、「とにかく部屋が狭く、窮屈な毎日だった」(40代 男性)といった声が集まった。

コンパクトな暮らしも人気だが、部屋が狭すぎると身体的にも心理的にも窮屈さを感じ、QOLが低下するとわかった。とくに水回りの狭さをストレスの要因として挙げた人が多くなっている。水回りでは「料理」「顔や身体を洗う」など何らかの作業をするので、狭いと使い勝手が悪いと感じやすいようだ。またお風呂にはリラックスを求める人も多いので、狭すぎるとリラックスできずQOLが下がる。
○7位「周囲がうるさい」

7位「周囲がうるさい」には、「内覧のときは気づかなかったのですが、近所のコンビニが夜はたまり場になっていたらしく、夜な夜な騒音に悩まされました」(30代 女性)、「駅に近い物件で、窓から線路が見えるような場所でした。騒音がひどかったです」(40代 男性)といった回答が集まった。

防音を施している家でも、外部からの騒音が大きすぎると聞こえてしまう。例えば「交通量の多い道路沿い」「線路沿いや駅の近く」「音を出す工場や店舗」「人が集まりやすい場所」の近くにある物件は、騒音に悩まされやすいのがデメリットに。とくに夜間帯に周辺が騒がしいと、睡眠に影響を及ぼすことが考えられる。内見時には気づかなかった人もいるため、慎重に見定めることが重要となる。

○8位「虫が出る」

8位「虫が出る」には、「自然が多いところに住んだら虫がたくさんいて、家の中にも虫の侵入があった」(20代 女性)、「ダニが異常繁殖していて、皮膚病になった」(40代 男性)、「裏側がすぐ山で、ムカデがたくさん家に入り込んだ」(50代以上 女性)といったコメントが寄せられた。

家に虫が出る理由としては「ゴミ捨て場が近い」「自然が近い」などが挙げられている。虫が嫌いだと、頻繁に虫が発生することで、精神的にかなりのダメージを受ける。また虫が原因で皮膚トラブルなどの健康被害が出ることもあるわかる。
○QOLが下がる家を選んだ理由

なぜQOLが下がる家を選んだのかという問いには、「予算の都合(50.2%)」と回答した人が最も多く、全体の5割を超えた。2位「立地が良かった(39.6%)」も4割近くと多くなっている。アンケート結果から、QOLが下がる家を選んだ理由としては、経済的な事情が大きく影響しているとわかった。

また「立地が良かった」「築浅だった」など重視したい条件を満たしていたため、多少嫌なことがあっても目をつぶった人も。「希望エリアに合って予算内で住環境もバッチリな、パーフェクトな家」に住むことが難しいこともわかる。
○1位「予算の都合」

1位「予算の都合」には、「家賃が安く、『若いから5階でも階段でいけるだろう』と思って住んだ」(30代 女性)、「礼金と敷金なしで、家賃が安かった」(40代 男性)といった声が集まった。

いい家でも家賃・初期費用や購入費用が高ければ住めないため、家賃を基準にして、「築年数が古い」「階段がない」などのQOLが下がりそうな条件を受け入れた人もいた。エリアと広さによる相場もあるので、住みたいエリアで安かったから選んだという声も多くなっている。

○2位「立地が良かった」

2位「立地が良かった」には、「勤務地に近くて、通勤が楽だったからです。時間を優先して選びました」(30代 女性)、「小学校から近く、通学に便利だと感じたため」(40代 女性)といったコメントが寄せられている。

QOLが下がった物件の特徴として「立地が悪い」がランクインしたように、立地はQOLの高い物件選びにおいて重要な要素となる。ただ立地重視で選んだ結果、日当たりや住宅性能などが犠牲になってしまった例も多くみられた。
○3位「引っ越しを急いでいた」

3位「引っ越しを急いでいた」には、「大学入学まで引っ越し準備に時間がなかったため」(20代 女性)、「転職にともなう引っ越しで、勤務スタートまで時間がないなか家探しを行い、消去法で焦って決めてしまった」(30代 男性)、「離婚をして出ていくときだったため、物件を探す時間が少なかった」(50代以上 女性)といった声が集まった。

進学、転職、転勤、離婚などで急な引っ越しが決まり、物件を吟味する時間がなかったという人も多くなっている。物件選びに十分な時間をかけられず、内見せずに決めてしまったり、短時間見ただけで決めてしまったりした例もあった。比較検討したり時間帯を変えて騒音を確認する余裕がないと、QOLが低下しかねないデメリットに気づきにくいようだ。
○4位「築浅だった」

4位「築浅だった」には、「新築でキレイだったので、あまり深く考えずに決めました」(30代 女性)、「築浅でキレイな物件で、方角をあまり考えていなかったから」(40代 女性)という声が集まった。

新築や築浅の物件は、住宅設備も新しいので快適だろうと考えがちだが、新しい物件でも「断熱性能が低い」「壁が薄い」といったデメリットがあることも。また立地が悪かったり日当たりが悪かったりするケースもあり、新しいからといってQOLが必ず上がるわけではないとわかる。
○5位「間取りを気に入った」

5位「間取りを気に入った」には、「最初はロフトに魅力を感じた」(30代 女性)、「間取りや内装が良かったからです」(30代 男性)という声が寄せられている。


間取り重視で選んだ結果、QOLが犠牲になったケースもあるわかった。「間取りが理想的だったものの、駅から遠かった」「広いが古い」などの例が寄せられている。
○6位「会社の指定で仕方なく」

6位「会社の指定で仕方なく」では、「社宅だったので自分で選べなかった。車がなかったので駅近の物件を選んでもらった」(20代 女性)、「転勤のため会社名義の契約で、家も自分で選べませんでした」(50代以上 女性)といった声が見られた。

社宅・官舎などに住んでいて、自分で選べなかった人もいた。「会社が社宅を保有している」「指定された物件の中から選ぶ」などの場合には、選択肢が狭まる。社宅には「家賃が安い」「家賃補助が出る」などのメリットはあるものの、気に入らなくても拒否しにくいのがデメリットのようだ。
○7位「選択肢が少なかった」

7位「選択肢が少なかった」には、「探していた地域ではほとんどの部屋が空いていなくて、少ない選択肢から消去法で選んだ」(20代 女性)、「田舎のため、良い物件がなかった。良い物件はすぐ埋まる」(30代 女性)という声が寄せられている。

「大学周辺の単身用賃貸は入学時期に一斉に埋まる」など、エリアや引っ越しのタイミングによっては、物件が少ないケースもある。部屋探しに出遅れると、なかなかいい部屋が見つからなくなり、妥協して選ぶといったこともあるようだ。
○QOLが下がることによる影響

QOL(生活の質)が下がることによる影響の1位は「ストレスが溜まった(26.0%)」だった。2位「体調不良になった(19.8%)」、3位「寝不足になった(19.6%)」が続く。

QOLが下がると精神面にも身体面にも影響が出て、不調にもつながるとわかった。また経済的な影響を挙げた人もおり、QOL低下の影響が多方面に及ぶとわかる。
○1位「ストレスが溜まった」

1位「ストレスが溜まった」には、「とにかく虫が本当にストレスで、毎日ビクビクしながら生きてた」(20代 女性)、「車が通るときに振動するので、やはり生活をしていて落ち着かず、ストレスを感じた」(40代 男性)といった声が寄せられた。

「虫の発生」「狭さ」「騒音や振動」などによる住環境の悪さは、部屋にいても落ち着けず、日常的にストレスをもたらす。落ち着けない空間でも帰らないわけにはいかず、寝ないわけにもいかないので、ストレスが蓄積していくようだ。
○2位「体調不良になった」

2位「体調不良になった」には、「喘息気味になり、今でもカビや埃で咳が止まらなくなります」(30代 男性)、「金縛りにあうなど、心身共に不調だった」(40代 女性)、「すぐに結露ができることや底冷えがひどいことなどが影響したのか、家族3名とも体調は崩しやすくなりました」(50代以上 女性)といった声が集まった。

「結露・カビ」「暑い・寒い」といった住環境によって、体調不良を起こした人も多いとわかった。身体的な症状としては「呼吸器系の不調」「目の不調」「皮膚の異常」などだった。またキッチンが狭かったり暑かったりして自炊する気を失ってしまったせいで、体調不良になった例もある。家は長い時間を過ごす場所であり、健康維持にも大きな影響を与えるとわかる。
○3位「寝不足になった」

「耳栓をしていても完全に音を防げるわけじゃないので、睡眠の質が低くなり寝不足になった」(20代 男性)、「1年の半分近くが睡眠不足で、翌日のパフォーマンスが下がりました」(40代 女性)といった声もあるように、「騒音」「壁の薄さ」や「断熱性能の低さ」などが特徴の家で、寝不足になる人も多くいた。

夜にうるさかったり暑さ・寒さが厳しかったりすると、なかなか寝付けず、寝られたとしても睡眠の質が下がりやすいと考えられる。寝不足になってしまった結果、仕事や勉強に影響が出た人もいた。
○4位「気持ちが暗くなった」

4位「気持ちが暗くなった」には、「朝や昼もあまり明るくならず、気分がいまいち上がらない」(20代 女性)、「すべてがうまくいかないように感じた。気持ちが滅入る」(40代 女性)といった声が見られた。

日当たりの悪い家に住んでいた人からの回答が多くなっている。部屋が暗いと、気持ちまで暗くなってしまうようだ。もちろん照明は使えるが、「さまざまな波長が含まれる自然光」と「人工的な照明」では、効果が違うと言われている。また、狭い家や古い家に住んでいる人からも気分が落ち込むという声があり、「圧迫感」や「古さゆえの汚さ」なども気持ちを暗くさせると考えられる。
○5位「出費が増えた」

「お風呂に入るのがおっくうになって、銭湯を利用するようになって出費がかさんだ」(20代 女性)、「衣類がカビだらけで、クリーニング費用が増えた」(30代 女性)、「寒くて暖房費がとてもかかり、余計な支出となり節約を余儀なくされた」(40代 女性)など、家での不快感をカバーしようとして、出費が増えることもあるとわかった。例えば断熱性能の低い家では、暑さや寒さをカバーするために光熱費がかかる。

また湿度の高い家では、「除湿剤・除湿機」「カビの生えた衣服などの買い替え・ケア」などにお金がかかる。家にいたくないことから外出や外食が増え、出費がかさむ例もあった。
○QOLが下がる家に住みたいと思うか

「今後QOL(生活の質)が下がる可能性のある家に住みたいか」という問いには、「絶対に住みたくない」と答えた人が75.8%にのぼった。QOLが低下する部屋に住んでみて苦労したので、「もう住みたくない」と感じるのも当然といえる。

ただ「条件によっては住んでもよい(22.0%)」という人も20%を超えている。すべての条件を満たす物件は見つけにくいので、ある程度は妥協することを前提に考えている人もいるようだ。
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