アドビは6月17日、同社の提供する生成AIプラットフォーム「Adobe Firefly」のアップデートを行った。モバイル版アプリの提供開始、対応生成AIモデルの拡張、協創ツール「Adobe Fireflyボード」の機能強化などが行われている。


なお同日には「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」「Adobe Lightroom」の各アプリのアップデートも実施されている。

今回のアップデートの多くは、2025年4月に英ロンドンで開催された「Adobe MAX London」でアナウンスされていた内容。具体的なアップデートは以下のようなもの。
○「Adobe Firefly」モバイル版アプリの正式リリース

「Adobe Firefly」モバイル版アプリが、iOSとAndroidともに提供される。編集部で確認したところ、6月17日22時時点でApp StoreにおけるiOS版の提供、Google PlayストアにおけるAndroid版の提供のどちらも開始されており、インストール可能となっている。Adobe Creative Cloudサブスクリプションのユーザーはモバイル版アプリを無料で利用できる。

モバイル版アプリでは、テキストプロンプトによる画像生成/動画生成、画像からの動画生成、生成塗りつぶし/生成拡張といった機能を利用でき、外出先などでもデスクトップと同様のコンテンツ制作が行えるようになる。

利用に際してはAdobe Creative Cloudアカウントにログインすることになり、生成したコンテンツは同じアカウントでログインしている他のデバイスに簡単に引き継げる。コンテンツを生成する際にはそのアカウントのクレジットが消費され、後述のようにOpenAI/Googleの生成AIモデルを利用する場合も、Creative Cloudアカウントに紐づけられたクレジットが消費される。

リリース時点で利用できる生成AIモデルはAdobe Fireflyファミリーの生成AIモデル(Firefly Image 4 Ultra/Firefly Image 4/Firefly Image 3/Firefly 動画)のほか、OpenAIのImage Generation(GPT Image)、GoogleのImagen 3/Imagen 4、Veo 2/Veo 3となっている。ただし編集部で確認した環境では、動画生成時のAIモデルとしてVeo 3を選択することはできなかった。
○Adobe Fireflyボードの機能拡張

パブリックベータ版として提供される協創ツール「Adobe Fireflyボード」では、動画機能が新たに追加された。
モデルとしてはAdobe Firefly Video Model/Google Veo 3/Luma AI Ray2/Pika Text to Video model 2.2が利用可能。

また、Black Forest LabsのFlux.1 KontextやOpenAIの画像生成機能を用いて、対話型テキストプロンプトから画像に反復的な編集を加えることもできる。
○生成AIモデルのエコシステム拡大

Fireflyで利用できる生成AIモデルとして、4月に追加されたImage Generation(OpenAI)、Imagen 3/Veo 2(Google)、Flux 1.1 Pro(Black Forest Labs)に加え、Flux.1 Kontext(Black Forest Labs)、Ideogram 3.0(Ideogram)、Ray2(Luma)、Text to Video model 2.2(Pika)、Gen-4 Image(Runway、Imagen 4/Veo 3(Google)が利用できるようになった。

Adobe Fireflyの利用者は順調に増加しており、これまでに240億点以上のアセットが作成されているという。Fireflyへのトラフィックは四半期ごとに30%以上増加しており、有料サブスクリプションも倍増しているとのこと。Fireflyによってアドビのエコシステムのユーザーも増えており、新規のサブスクリプション登録者は全四半期比で30%増加しているとしている。
編集部おすすめ