11月14日から全国公開される舘ひろし主演の映画『港のひかり』の出演者が発表され、黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、MEGUMI、市村正親、宇崎竜童、笹野高史、椎名桔平らが出演する。また、合わせて特報映像も公開された。


数々の映画賞を席巻した映画『正体』の藤井道人監督が、日本アカデミー賞受賞キャメラマン・木村大作と初めてタッグを組み、北陸の港町を舞台にした完全オリジナル脚本を映画化した映画『港のひかり』。7年ぶりの単独主演となる舘ひろしが、元ヤクザの"おじさん"・三浦を演じる。盲目の少年・幸太役に尾上眞秀、12年後の幸太役に眞栄田郷敦が起用され、年の差を超えた友情を描く。

今回新たに出演者が発表され、青年・幸太の恋人、浅川あや役は黒島結菜が演じる。三浦が所属していた河村組組長・石崎剛役は椎名桔平。以下、同じく河村組組員・八代龍太郎役には斎藤工、元・河村組組長・河村時雄役には宇崎竜童、河村組で三浦を慕う大塚夕斗役にはピエール瀧、幸太の警察署の先輩・大黒浩役には一ノ瀬ワタル、大黒の元上司で元刑事の田辺智之役には市村正親、幸太の叔母・大森美和子役にはMEGUMI、漁業組合会長・荒川定敏役には笹野高史が決定した。

公開された特報映像では、三浦(舘ひろし)の背負う過去を示す刺青姿や、いじめられる幸太(尾上眞秀)の姿が映し出され、2人の出会いが描かれる。「ヤクザって悪い人だよね」と問いかける幸太に、三浦は「少年は私を一人間として接してくれました」と感じる。成長した幸太(眞栄田郷敦)は、「おじさんはなぜ他人である俺にここまでできるのだろうか」と自問し、かつての恩人に感謝。終盤には、警察官となった幸太が発砲する場面や、血まみれで抱き合う2人の姿、そして幸太の「ありがとう、おじさん」というセリフが印象的に残る。

また、公開された2種類のティザービジュアルでは、漁船に乗る2人の笑顔には「おじさんは、僕の世界を照らしてくれた。」というコピーが添えられ、互いに世間の外れ者である2人が、共に生きる様を示唆。もう1枚は、青年・幸太に温かい眼差しを向ける三浦の姿に「ずっと忘れない」というコピーがあり、2人の長年の関係性を物語る。


■黒島結菜 コメント

映画『パレード』ぶりの藤井組でした。藤井監督の現場は、作品に関わっている全員で映画を作り上げる という思いがとても強く、映画が完成した時にみんなで味わった達成感は忘れられません。その一員になれたこととても嬉しく思います。私が演じた浅川あやは、しっかりと自分の足で立って生きる途中に いる人物です。幸太と⽀え合いながらも自立した役どころになるよう演じました。舘さんとは何度か共演していたこともあり、現場で再会を喜び合いました。またこの映画の企画から撮影にかける思いをお聞きし、映画作りの⾯⽩さを改めて感じました。そして、今回は木村大作さんが35mmフィルムで撮影してくださいました。興奮しました。現場にはチェック用のモニターもなく、藤井監督が現場にいて、 心地よい緊張感の中でのお芝居は、とても贅沢で幸せな時間でした。また、北陸の美しい景色をフィル ムに残せたこと、大きな財産になったと思います。一日でも早い復興を、心よより願っています。


■斎藤工 コメント

⼀つの娯楽を超え、時代に必要とされ、必然的に⽣まれる映画があるとしたらば『港のひかり』は正に "それ"だと思います。河村光庸さん、藤井道人監督、舘ひろしさん、木村大作さん、日本映画の要であり、同時に邦画の未来を照らすひかりの様々な方々のプロジェクトに参加させて頂けた事は、ご褒美の様でもあり、未熟者の自分には恐ろしさもありました。憧れの更に向こう側にあった木村大作さんのフレームの中で、大先輩方に囲まれながら、八代龍太郎という、愛し難き卑劣な人間を演じる⼈間として、 唯一肯定し、愛でると言う、役者業の奇天烈さと旨みを同時に味わせて頂きました。剃り落とした眉毛も含め、斎藤⼯が本作に少しでも役立っている事を祈るばかりです。2023年の年末、撮影期間中、毎日眺めていた立山連峰の荘厳な山々の景色が今尚目に焼き付いています。北陸地方の復興に対して、自分が出来る事、映画が出来る事に、微力ながら向き合って行く所存です。『港のひかり』が北陸地方の方々のひかりになる事を心から願っております。

■ピエール瀧 コメント

今回初めて藤井組に参加させていただきました。能登の清々しい海岸線、路⾯電⾞⾏き交う穏やかな富山での撮影はこころに深く刻まれる、思い出深い風景となりました。撮影の木村大作さんのパワフルな 佇まいに⾝が引き締まり、舘さんと桔平さんというふたりの素晴らしい"アニキ"とお芝居をさせていただいたことは、とても光栄で幸福な時間でした。この映画のフィルムに刻まれた数々の風景が、鑑賞されたみなさんの⼼にいつまでも響き続けることを切に願います。

■一ノ瀬ワタル コメント

「港のひかり」は、2022年に亡くなられた河村光庸プロデューサーが生前に企画した最後の作品となってしまいました。
⾃分にとって河村光庸プロデューサーは下積み時代からとても応援してくださった恩人の1人です。その恩⼈の最後の企画に出演できた事をとても嬉しく思っています。この映画が河村さんに届く事、そして多くの皆様に劇場で観てもらえる事を願っております。

■MEGUMI コメント

この度、港のひかりで大森美和子役を演じさせて頂きました。美和子は人生の歯車が少しずつ狂ってしまい、何処からやり直せばよいのかさえも見失ってしまった女性です。強烈なキャラクターにも見えますが、誰もが持つ弱さを体現している人です。そんな美和子に共感しながら演じさせて頂きました。 今作は震災前の能登を舞台に、地元の方々にたくさんの協力を頂きながら、藤井道⼈さんと木村大作さんのタッグで撮影されました。能登の美しい景⾊の中で自分の為ではなく、他⼈の為に生きるというテーマ で描かれています。是非劇場でご覧下さい。

■市村正親 コメント

本作で演じた田辺智之はマル暴の刑事。初めての役だったので不安はありましたが、良い役なので楽しんで演じました。
舘さんと芝居できたことが嬉しかったです。舘さんは全てが格好いいので眩しかったですね。眞栄⽥くんは役の真っ直ぐさも相まって、さらに眩しかったです。藤井監督は"繊細"という言葉がぴったりで、あのつぶらな瞳に燃える情熱を感じました。次の仕事も楽しみです…というか使ってください(笑) 木村大作さんとの現場は緊張感に溢れ、身の引き締まる思いで参加していました。勉強になりました。能登の素晴らしい景い色と、そこに生きる人々の生き様をぜひ⼤スクリーンでご覧ください。一日でも早い復興を、願っています。

■宇崎竜童 コメント

演じなくて良いのだ、自然にセリフを言えば良いのだ、という事を此の作品に教えて貰いました。藤井監督の「河村は達観しているんです」の一言が心に響きました。大作さんは「あの頃」と全く変わらぬ物腰でワンカット撮り終える毎に話しかけて下さり心和ませて下さいました。舘さんは物静かなリアクション で全てを語って仕舞う自然体で私を支えて下さいました。
皆さんに感謝です。有難う御座います。

■笹野高史 コメント

藤井監督は常に短い単語や名詞での演出でした。じつはそれがとても分かりやすくて有り難かったです。 はじめてのお仕事でしたが楽しゅうございました。木村大作さんによる「フイルム」での現場は、とても⼼地よい活気がありました。その貴重な経験をひとつも漏らすまいという、皆んなのひたすらな姿がとても印象的でした。とても居⼼地がよかった。私の役は、世話好きな宿屋のおやじさん。能登の風景とカモメの鳴き声が心の奥に染み込みます。能登の復興を心より祈ります。

■椎名桔平 コメント

以前から藤井監督作品を観ていて、人の心の機微に触れる演出を感じていました。
そして是⾮、藤井組で 演じてみたいと思ってました。冬の富⼭の現場に⼊ると、フィルムのカメラを据えた⽊村⼤作さんがいて、その横には藤井監督が穏やかな眼差しで全体を⾒つめていました。現場の中⼼には舘さんが重厚かつ凛々しく⽴っていて、瞬時にこの映画の世界観に導かれました。⽯崎という屈折した⼈物を演じましたが、楽しく観て頂けたら幸いです。

【編集部MEMO】

藤井道人監督は、1986年8月14日生まれ。38歳。東京都出身。大学卒業後にフリーランスとしてオリジナルビデオやインディーズ長編映画などを手掛け、2014年公開の映画『オー!ファーザー』で商業映画監督としてデビュー。以降は2019年公開の映画『新聞記者』、2022年公開の映画『余命10年』など次々とヒット作を世に送り出している。『新聞記者』で第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。
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