フリーランスが税理士に依頼すると費用はいくらかかる？相場や依頼できる業務、税理士選びのポイント (2025年6月22日)

フリーランスで確定申告や経理の業務を税理士に依頼したい方もいるでしょう。その場合、税理士には報酬をいくら支払う必要があるのでしょうか？この記事では税理士に依頼する場合の費用の相場、費用をできるだけ安く抑えるためのコツについて解説します。フリーランスが税理士に依頼する場合の費用の相場税理士に依頼する費用は、単発で依頼をするか、継続的な顧問契約を結ぶかで変わってきます。○単発依頼の場合単発で依頼する場合の費用相場は、7万円～15万円程度で、年商などによって変動します。フリーランスの場合、確定申告で単発依頼をするケースが多いでしょう。単発の場合は依頼できる業務の範囲が限られます。単発で複数回依頼すると、かえって費用がかさんでしまうこともあります。よって、事業規模が拡大して売上が大きくなると、顧問契約を締結するのが一般的です。○顧問契約の場合顧問契約を締結すると、税理士に一定期間、月々の帳簿をまとめてもらったり、税務相談にのってもらったりできます。税務に関する業務全般を丸投げしたい方、継続的に経営に協力してもらいたい場合は、顧問契約が適しています。顧問料の月額は年商によって異なり、1万円から3万円程度が基本です。ただし、依頼内容や取引量などによっては、さらに高額になる場合もあります。会社設立を税理士に依頼した場合の費用の相場フリーランス・個人事業主としての事業が成長し、法人成り・会社設立が視野に入る方もいるでしょう。法人になると、フリーランスよりも税制面で有利になる特典が数多くあります。会社設立は個人事業主の開業手続きよりもやることがかなり多く、内容も難しいため、税理士に依頼する方が多くいます。税理士への手数料に加え、定款印紙代や登録免許税など必要な費用も含めると、株式会社の場合は20万～30万円、合同会社の場合は7万～17万円程度がかかります。フリーランスが税理士に依頼できる業務税理士には、税務を中心としたさまざまな業務を依頼できます。○確定申告書類の作成税務領域で、フリーランスの方がもっとも課題に感じる業務の1つが確定申告です。今まで一度も行ったことのない方は、何をどうすればいいか検討も付かないかもしれません。とくに青色申告は複式簿記での記帳が必要なため、正確な記録が求められ、難易度が高くなります。税理士に依頼すれば、青色申告でも確定申告書類の提出から作成までを代行してもらえます。専門知識のある税理士が関わることで、書類の作成ミスを防止し、申告書の内容の信頼性を上げる効果があるのもメリットです。○記帳代行・経理帳簿の作成や取引の記録など、基本的な作業を税理士が代行します。経理作業をする必要がないため、フリーランスの方は本業に集中しやすくなるのがメリットです。簿記の知識がまったくないと、会計ソフトで仕訳を入力することも難しいかもしれません。税理士に代行してもらえば、正確な仕訳を入力してもらえます。○節税対策の相談税理士は節税策に精通しているため、個人事業主やフリーランスに対しても、最適な節税策を提案してもらえるのもメリット。たとえば減価償却費、青色申告特別控除、小規模企業共済などのアドバイスを受けられます。余計な税金を支払うことなく、資金を効率的に運用することで、事業の成長や個人の資産形成に役立てることができます。節税策は、方法を間違えると脱税になってしまう可能性もあるため、専門家に相談した上で実践すると安心です。税金に関する疑問・悩みがある場合も、税理士に相談すると解決できるでしょう。○税務調査の立会い税理士と顧問契約をしていると、税務調査に立ち会ってもらうことも可能です。税務調査が来る確率は0.5％程度とそれほど多くありませんが、いつ調査対象に選ばれてもおかしくはありません。税務署は完全にランダムで対象を選んでいるわけではなく、「怪しい」と判断した事業者を選んでいます。売上が急激に上がったり、経費が急に増えたりするなど、申告書の内容が疑わしい場合、税務調査に入られる確率が高くなります。万が一税務調査をされる場合、税理士がいると正確な知識に基づいた説明をしてもらえます。自分だけでは税務署の言い分に押されそうな場面でも、税理士がいると毅然と対応してくれるのです。○補助金や助成金の活用相談資金の少ない事業者の場合、補助金や助成金は大きな力になります。設備投資や人材の採用、新たな事業への進出などで補助を受けられるため、経営が楽になります。ただし、補助金を受けるには審査が必要な場合がほとんどです。審査において相応しいと認められる資料を作成する必要があるため、知識や経験がない方には難しいかもしれません。補助金や助成金に詳しい税理士に依頼すると、提出資料やお金の使い道についてアドバイスを受けられます。受け取ったお金を会計上で正しく処理してもらえる点もメリットです。税理士に丸投げしたらどうなる？メリット・デメリット日頃の帳簿付けから確定申告まで、すべて税理士に丸投げしたい方もいるでしょう。その場合のメリット・デメリットを解説します。○メリットほぼすべての経理や会計の業務から解放されます。領収書やレシートを保管する必要はありますが、定期的に税理士に渡せばいいので、細かく分類しなくても問題ありません。帳簿付けをしなくてもよいため、仕訳など簿記の知識を付ける必要もありません。確定申告の書類も税理士で作ってくれるため、作成方法を理解しなくても大丈夫です。○デメリット経理や会計に関する業務をすべて丸投げすると、楽になる一方で、会計に関連する知識を身に付けられないことが大きなデメリットです。個人事業主やフリーランスも経営者であるため、会計の数字で経営状況を把握しなくてはなりません。税理士に丸投げする場合も、簿記や会計の知識を身に付けて、経営状況を把握することは必要です。また、顧問契約を締結するということは、経費が継続的に発生することでもあります。経営が苦しくなってきたときに、継続的な費用が大きな負担となる恐れもあります。税理士に依頼するべきか判断する基準税理士に業務を依頼するべきか、その判断基準は売上です。売上が1,000万円以下であれば、必ずしも税理士に依頼する必要はなく、自分で会計ソフトを使えば十分対応できます。これに対して、売上が1,000万円を超えた場合、消費税を納めなくてはならなくなります。節税が重要になると同時に、消費税関連の会計作業もする必要があるため、難易度が高いです。1,000万円を稼げるレベルの方は本業で忙しいと思われるため、税理士に依頼するほうが負担は少なくて済みます。個人事業主が税理士に支払う費用を抑えるコツ税理士に支払う報酬は少なくても数万円、多いと数十万円になります。コストを少しでも抑えるコツを紹介します。○基本的な経理業務は自分で行うすべて任せきりにすると税理士費用は高くなります。そこで、日常的な経理業務は自分で行うことも税理士費用削減のコツです。領収書の保存や分類、経費の仕訳など、自分でできることを増やしていきましょう。基本的な経理作業は自ら行い、専門的な判断が必要な処理、複雑な処理だけを税理士に依頼すれば、税理士費用を抑えられます。○会計ソフトを活用する経理業務を自分で行うには、会計ソフトの活用が必要です。専門知識がなくても操作できるソフトも数多くリリースされているため、経費の仕訳登録など簡単な作業は自分で行えます。近年の会計ソフトは、仕訳を自動で登録できる機能、領収書をスキャンして保存する機能など、効率的に経理業務を遂行するのに便利な機能が搭載されています。○スポット相談を活用する税理士の力を借りたいけれど、できる限り費用を抑えたい場合は、スポット相談を活用することもおすすめです。特定の問題のみ相談したい場合や、事業の規模が小さい個人事業主にとって便利です。税理士に効率的に相談をするには、あらかじめ質問事項をリストアップ・整理しておくことがコツです。またオンライン面談ができる場合、移動時間や交通費も削減できます。フリーランスが税理士を選ぶポイント税理士事務所はたくさんあり、どこを選べばいいか迷うかもしれません。そこで、フリーランスが税理士を選ぶときに押さえておきたいポイントを解説します。○料金が明確に提示されているか初めて税理士に依頼する場合、明朗会計であることが安心できるポイントの1つです。よって、何を依頼したらいくらかかるのか、料金体系が明示されている事務所が望ましいです。税理士事務所によって料金大家はさまざまで、基本料金にさまざまなサービスが含まれているパターン、基本料金の内容はシンプルで有料のオプションサービスが複数あるパターンなどがあります。自分が理解しやすい料金体系であるなら、安心して取引できるでしょう。○事業に対する理解があるか業種・職種によって、取引の種類や経費の内容などはさまざまです。たとえば食品製造業と顧問契約をしている税理士が、建設業にすぐ対応するのは難しいかもしれません。できるだけ、自分が営む事業に対する理解のある税理士を選ぶことが望ましいです。また、個人事業主やフリーランスと数多く取引をしている税理士なら、さらに安心して任せられるでしょう。フリーランスも税理士事務所は比較して選ぼうフリーランスの方が税理士に業務を依頼する場合の費用の相場、依頼するメリット・デメリットを解説しました。スポット依頼か顧問契約かによって、費用感は変わるため、大まかでよいのでまず何を依頼したいかを決めましょう。対応する領域は税理士事務所によってさまざまです。できるだけご自身が営む事業や、個人事業主・フリーランスへの理解がある税理士事務所を選ぶようにしましょう。 安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら