日経BPは6月20日、日経マネーが実施した「個人投資家調査2025」の結果を発表した。調査は4月10日~5月6日、個人投資家9163人を対象にインターネットで行われた。

○大型株、高配当株を選好する個人投資家が増加

個人投資家の投資スタイルを問う設問では、日本の「大型株・優良株中心の王道投資」が前回調査(24年)に引き続きトップ。全体に占める割合は25.5%と、前回から3ポイント強上昇した。また、2位の「高配当株・優待株などの利回り投資」も前回から3ポイント以上伸び、こうした日本株を選好して投資する個人の姿勢がより強まった。

24年は3月に日経平均株価が史上初めて4万円を突破し、その後もおおむね高値圏で推移。同年8月に歴史的な株価急落があったものの、相場は短期間で回復した。この間、市場で資金の流入が目立ったのが、海外投資家が主に投資対象とする優良な大型株。個人投資家も好業績の大型株を投資先の主力に据える人が増えたと見られる。

また、高配当株志向も強まった。他の設問で株の銘柄を選ぶ基準について尋ねたところ、断トツの割合となる50%超の人が選択基準の1つとして「配当利回りの高さ」を挙げている。東京証券取引所が近年取り組む市場改革の後押しにより、株主還元を強化する企業の動きが一段と広がっていることが大きな理由と考えられる。

一方で、投資信託やETF(上場投信)による国際分散投資、米国株や先進国の株式投信を使った先進国投資の割合は減少した。
○2度目の暴落時には「追加投資」する人が増加

今回の調査では、日銀の追加利上げをきっかけに日本株が急落した24年8月と、トランプ関税ショックがあった25年4月に、それぞれ相場暴落に個人がどう対応したのかも聞いた。


24年8月の暴落時は、「特別なことはせず、様子見していた」との回答が約60%。アンケートの自由記述では「あまりにも急激な値下がりで、何もできずに見ているだけだった」との声も目立ち、初心者はもちろん、投資経験がそれなりにあっても、歴史的な暴落を目の前にして「思考が止まった」人は少なくなかったと見られる。

一方で、手元資金を利用して追加投資をした人も約23%いた。資金に余力があり、株価が安いところで買いに動けた人は、結果的にその後の相場の戻り局面で利益を得られた。

その時の経験があったためか、2度目の暴落となった25年4月には様子見や資産を売った人が減り、追加投資をした人の割合が約30%に高まった。全体相場の急落を「買いの好機」と捉える人が増えたと考えられる。
○2年目の「新NISA」はより積極的な活用を図る

24年に大幅拡充された新NISAは、投資をしている回答者の約88%が利用しており、前回の調査から約2ポイント増加した。つみたて投資枠(年120万円上限)と成長投資枠(年240万円上限)の両方を利用している人が最も多く、約56%を占めた。

また、制度拡充2年目となる25年に予定するNISAの利用額は、つみたて投資枠が平均73.6万円、成長投資枠が平均160.2万円だった。どちらの枠も、年間投資上限額の6割強に相当する。併せて聞いた1年目(24年)の年間利用実績の平均値と比べると、つみたて投資枠は3.5万円の増加、成長投資枠は2.4万円の増加となり、2年目はより積極的に活用しようとする個人投資家の意向が見て取れる。

予定利用額の内訳を見ると、上限額までフル活用を目指す人と、限定的な利用(つみたて投資枠は30万円未満、成長投資枠は60万円未満)にとどめる人とに二極化している。
投資枠を使い切ろうと意気込む人が多い一方で、収入や投資余力を考慮し、身の丈に合った使い方をしている個人投資家も少なくないことが分かる。
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