パーソル総合研究所は7月1日、「企業の60代社員の活用施策に関する調査」の結果を発表した。同調査は3月7日~11日、人事・総務職または経営・経営企画職の正社員課長相当以上および会社経営・会社役員、企業規模300人以上などの対象者条件を設定の上、全国の20~69歳の男女1,028名に対しインターネットで実施した。


正社員の年代別の人材不足感をみると、20~30代社員に不足感が集中していることがわかった。一方、50~60代社員に対しては、約4割が「やや過剰」「過剰」と答えている。特に大企業で、50~60代正社員の人材過剰感が強かった。

人材を「過剰」と感じる企業と「適正」と感じる企業を比較すると、50代・60代ともに、人材過剰の企業では「本人のモチベーションの低下」と「本人の生産性の低さ」に課題感を持つ企業が大幅に増えている。特に、50代の「本人の生産性の低さ」が目立った。

50代後半の社員について、67.0%の企業が「能力・経験の最大発揮」を期待しているが、60代前半では51.6%、60代後半では42.7%と低下した。

60代になると、3~4割の企業で「役割・責任」「成果・生産性」「仕事の難易度」の期待値が軽減され、職責を軽減して"半・現役"扱いになることがわかった。一方、50代後半ではその割合は1割程度にとどまっている。「どちらでもない」との回答も各年代で4割前後あり、個人差が大きいことも明らかとなった。

60歳または65歳で処遇を見直す企業について、処遇見直し時の年収変化をみると、年収が下がる企業が8~9割を占めた。60歳、65歳ともに、「30%程度下がる」が最も多い。年収額の見直し基準としては、年齢によって一律とする企業が3割だった。


50代後半では、「近い将来の年収低下が見込まれること」がモチベーション低下の一因となっていると考えられる。60歳での年収引き下げ幅が大きいほど、モチベーション低下に課題感を持つ企業の割合が増加した。

60代前半社員に「能力・経験の最大限発揮」を求める企業では、求めない企業に比べて、50代後半・ 60代前半社員のモチベーション低下に課題を感じる割合が高い。また、年収の低下幅が大きいほど、モチベーション低下に課題を持つ企業が増える傾向にある。

今後60代以上社員の年収を引き上げる予定の企業は22.4%だった。「現在検討中」の企業をあわせると5割を超えている。特に、定年延長を予定している企業において、年収を引き上げる意向が多かった。

50代後半正社員、60代以上正社員・継続雇用者の活用については、約6割が「課題を感じる」と答えた。50代後半の正社員の活用がうまくいっていない企業は、60代社員の活用もうまくいっていない傾向にある。
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