エレコムは7月9日、モバイルバッテリーをはじめとしたリチウムイオン電池搭載製品の発火事故が相次いでいることを受け、安全に使用するためのポイントを公開した。

モバイルバッテリーが発火する主な要因は、「バッテリーの劣化」、「品質の低さ」、「外部からの衝撃・圧力・水濡れ」といった3つが挙げられる。

○1. バッテリーの劣化

リチウムイオン電池が劣化すると電解質の酸化が起こり、ガスが発生してバッテリー内部から膨張する。膨張だけでは爆発に至らないが、衝撃が加わると事故につながる可能性がある。
○2. 品質の低さ

安価なモバイルバッテリーには品質の低い部品が使われており、特に発熱時に給電スピードを落とし、温度を制御する重要な機能を担う「安全装置」が機能しない、または搭載されていない可能性がある。
○3. 外部からの衝撃・圧力・水濡れ

精密に作られたリチウムイオン電池は、破損や水濡れによって内部が損傷すると発火につながるケースがある。
○モバイルバッテリーに「熱」と「衝撃」はNG

モバイルバッテリーを安全に使用するため、ユーザーは「直射日光が当たる場所に置かない」、「車内など高温になる場所に放置しない」、「充電後はケーブルを挿したままにしない」ことが望まれる。

これから本格的な夏に向けて気にかけたいのが、バッテリーの発する「熱」。バッテリーが熱を持つと劣化の原因となるため、充電中にゲームなど発熱しやすいアプリの使用は避けたい。特に、真夏の車内など高温となる環境にモバイルバッテリーを放置するのは非常に危険だ。

強い衝撃で内部が破損し発火する恐れがあるため、落下や圧迫も避けたい。ズボンのお尻ポケットに入れたまま座って圧をかけてしまうのも危険なため、ポケットを使いがちな人は注意してほしい。
○買うときには「PSEマーク」と「捨て方」をチェック!

購入時には、電気用品安全法により安全性基準を満たしていることを示す「PSEマーク」がついた製品を選ぶことが重要。現在PSEマークがないモバイルバッテリーは販売を禁じられているが、個人輸入品などには注意したい。


また、近年問題になっている「モバイルバッテリーの捨て方」にも注目。多くの自治体ではリチウムイオン電池をごみ回収で扱わず、役所や販売店などの回収ボックスに入れることを求めている。そのため、自社回収を行っているメーカーや、小型充電式電池のリサイクル活動を推進する「JBRC加盟企業」の商品など、壊れたときに廃棄しやすい製品を買うことが重要になる。

エレコムデザインショップの実店舗(大阪・愛知・兵庫)では、モバイルバッテリーの無償回収を実施している。同社以外の製品でも、JBRC加盟企業製であれば回収対象としている。
○リチウムイオン電池ではないモバイルバッテリーも選択肢に

リチウムイオン電池の危険性が懸念される中、同社は2022年に「リン酸リチウムイオン電池」搭載のモバイルバッテリーを発売。2025年には、世界初のナトリウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーを発売した。

今後、エレコムは従来のバッテリーよりさらに安全性の高い「半固体電池」を使用したモバイルバッテリーの開発に着手し、将来的には「全固体電池」を使用したモバイルバッテリーの開発を目指している。
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