東京商工リサーチは7月17日、「2024年『私立大学経営法人』の業績動向調査」の結果を発表した。調査は、東京商工リサーチの企業データベースから、3期連続(最新期は2024年3月期)で業績が判明した大学・短期大学を経営する543法人の業績を抽出し、分析した。


私立大学経営の543法人の売上高合計は6兆7,067億円(前期比0.1%減)で、前期からほぼ横ばいに。一方、利益合計は2,178億円(前期比30.8%減)で、前期から3割減少。一定の収入は維持しているが、人件費をはじめとした事業コストの上昇が影響し、利益は2年間で半減している。

また、前期との売上高を比較すると、543法人のうち302法人(同55.6%)で減収。前期は増収が54.1%、減収が45.8%だったが、 減収が9.8ポイント上昇して半数を超えた。

最新期の損益別では、全国543法人のうち、黒字が290法人(構成比53.4%)に対し、赤字は253法人(同46.5%)という結果に。約半数が2024年決算で赤字となっており、赤字法人の比率は、前々期34.2%、前期40.8%と約6ポイントずつ上昇。採算がとれず厳しい経営に陥っている法人が増えている。

地域別にみると、赤字企業率が最も高いのは「四国」の77.8%で、8割に迫った。以下、「北陸」(66.7%)、「東北」(60.0%)と続く。一方、最低は、「関東」の40.6%。次いで「近畿」(42.2%)、「九州」(43.6%)と続き、人口が集中する都市圏とそれ以外の地域との格差が鮮明となっている。


売上高トップは、順天堂大学などを運営する「(学)順天堂」の2,114億8,300万円で、唯一の2,000億円超え。次いで「(学)日本大学」「(学)慶應義塾」「(学)近畿大学」「(学)東海大学」と続き、いずれも大都市圏の総合大学を運営し、医学部とその附属病院を擁して医療収入が多くを占めている点が共通している。このほか、売上高上位には、医療収入の多い医科系大学が目立つ結果となった。

なお、売上高トップ11位~50位は以下のとおり。
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