Wireless Power Consortium(WPC)は7月23日(米国時間)、高速ワイヤレス充電を可能にするQi規格の新バージョン「Qi v2.2.1」の正式ローンチを発表した。「Qi2 25W」というブランド名で展開する。
2023年にリリースされたQi2は最大15ワットの充電速度を提供してきた。今回発表されたQi2 25Wでは、従来比で約70%の出力向上となる最大25ワットのワイヤレス充電が標準化された。WPCの調査によれば、ワイヤレス充電における不満点として最も多く挙げられるのが「充電速度」であり、Qi2 25Wはユーザーの要望に直接応えるものとなる。
Qi2 25Wは最大25ワットだが、技術的能力としてQi2.2は最大50ワットまで高められる可能性も示唆されている。より高速な充電中の過熱リスクを軽減するため、表面温度制限の厳格化やコイルレイアウトの強化など、堅牢な熱管理機能がQi2.2には組み込まれている。
Qi2では、磁力を用いた「マグネットアタッチ方式」が採用されている。これは充電パッドとデバイスの位置ズレを防ぎ、効率的なエネルギー伝送を可能にする技術である。この仕組みはAppleがiPhone 12以降で導入したMagSafe技術に基づいており、その利点を広範なデバイスやブランドに拡大するためにQi2に取り入れられた。
下位互換性も維持され、Qi2 25Wをサポートするデバイスは、古いQiおよびQi2充電器でも引き続き使用することが可能だ。
WPCは発表の中で「このローンチで主要なAndroidスマートフォンが初めてQi2エコシステムに本格参加する」と述べている。Appleは2023年末からQi2のサポートを開始し、MagSafeを搭載するiPhoneでQi2アクセサリが利用できるが、Androidデバイスでの実装は多くが「Qi2 Ready」にとどまり、完全対応機種はわずかであった。
WPCによると、限定ローンチで14種類のデバイス(レシーバーおよびトランスミッターを含む)がQi2 25Wの認証試験を完了。
また、AppleについてもiPhone 16シリーズはMagSafe経由で25ワット充電をサポートしているが、Qi2充電は15Wであり、今後のQi2 25W対応が期待されている。