マイナビは7月24日、「管理職のキャリア意識と昇進意欲に関する調査2025年版」の結果を発表した。調査は4月9日~15日、正社員就業中(役員除く)の10~70代の男女4,312名を対象にインターネットで行われた。


正社員全体の昇進・昇格意欲は46.2%。役職別にみると、「課長級」(61.1%)が最も高く、次いで「部長級」(59.0%)、「係長・主任・職長級」(57.8%)と続き、「一般社員」は41.0%という結果に。また、部下のいる管理職(63.6%)の方がいない管理職(47.8%)よりも高いことから、昇進意欲にマネジメント業務の有無が影響していると考えられる。

さらに昇進・昇格を望む理由を聞くと、役職の有無・部下の有無にかかわらず「給与を上げるため」(72.9%)がトップに。しかしながら、部下のいる管理職では「自己成長のため」「理想のキャリアを築くため」「責任の大きな仕事にチャレンジしたいため」が、一般社員や部下のいない管理職より10ptほど高く、より昇進に対する視野の広さや意識の高さがうかがえた。

続いて、昇進・昇格に対する印象を尋ねたところ、管理職92.5%が、現在の役職へ昇進・昇格して「良かった」と回答。中でも課長級は93.8%と高く、理由を聞くと、「報酬面のメリット」(40.0%)、「責任感が増した」(20.2%)、「意思決定に関与できる」(19.0%)が上位に。

一方で部下のいない課長級では、部下のいる課長級と比較して特に「意思決定に関与できる」「仕事の達成感が増した」「リーダーシップスキルが向上した」という項目で10pt以上低くなったことから、部下の有無が昇進・昇格後のやりがいや納得感の感じ方に差を生じさせ、キャリアアップの実感にも影響している可能性があることがわかった。

次に、管理職について、自分の能力や可能性などの「自己評価認識」と「他者評価認識」を組み合わせ、評価認識を「高評価一致タイプ(自己評価も他者評価も高いと認識しているタイプ)」、「低評価一致タイプ(自己評価も他者評価も低いと認識しているタイプ)」、「他者評価先行タイプ(他者評価は高い認識をもつが、自己評価は低いタイプ)」、「自己評価先行タイプ(自己評価は高いが、他者評価は低いと認識しているタイプ)」の4タイプに分類した。

その結果、全体では「低評価一致タイプ」(47.8%)が最も高く、次点は「他者評価先行タイプ」で23.3%。役職別にみると、「低評価一致タイプ」は課長級が51.9%と半数を超え最多で、全体よりも高い傾向が見られる一方で、「他者評価先行タイプ」では課長級は16.3%にとどまり、全体(23.3%)より5pt以上低かった。課長級では「自分は他人からあまり評価されていない」と感じている人が他の役職よりも多く、そうした認識が自己評価にも影響し、「自他ともに評価が低い」と感じる割合が高くなっているよう。


続いて、仕事上における周囲からの助力(支援・サポート)について尋ねたところ、管理職全体では79.2%が「他者からの助力を求めており、助力を得られている」と回答。この割合を役職別に見ると、部長級が86.5%であるのに対し、課長級はそれより11.0ptも低い75.5%と、役職によって支援環境に差が生じているよう。

一般的に、部長級が組織方針の策定や意思決定に関与する一方で、課長級は現場のマネジメントや部下育成を担う立場。支援不足はその役割の遂行に影響を及ぼすだけでなく、次世代育成や若手の昇進意欲へも影響する可能性が。支援が得られない課長の姿は「負担の増加」や「報われない役割」と映り、昇進・昇格を避けたいと感じさせる要因に繋がると考えられる。
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