LIFULLが運営する「LIFULL HOME'S」は7月24日、「住宅ローンに関する意識調査」の結果を発表した。調査は2025年7月1日~7月8日、10年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用中(以降、購入者)の826名と、5年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用予定(以降、購入検討者)の1,099名を対象にインターネットで行われた。

○住宅ローンの種類

購入者には現在組んでいる住宅ローンの種類、購入検討者には検討している住宅ローンの種類について聞いたところ、共に「変動金利」が最多となった一方で、その割合は購入者が64.1%(25年1月調査(以下「前回調査」):69.7%)、購入検討者が56.0%(前回調査:57.3%)と前回よりも選択割合が低くなった。

購入検討者の金利上昇への懸念は依然として強く、購入者でも同様の不安から一部固定金利への借り換えが発生している状況がうかがえる。

○住宅ローンの世帯年収倍率

住宅購入者には住宅ローンを世帯年収の何倍で借り入れているか、検討者には何倍で借り入れる予定かを聞いたところ、購入者は「4倍以上5倍未満」が最多になったのに対し、購入検討者は「3倍以上4倍未満」が最多と、前回調査と同様の結果になった。両者を見比べると、「4倍未満」までは購入検討者の方が回答割合が多く、「4倍以上」になると(「6倍以上7倍未満」を除き)購入者の回答割合が上回るのも前回調査と同じ傾向だった。

一方で、前回調査では購入検討者の2位は「4倍以上5倍未満」(前回調査:20.0%、今回調査:18.3%)だったのに対し、今回調査は「2倍以上3倍未満」(前回調査:17.2%、今回調査:19.5%)となった。購入検討者は「4倍未満」の選択率が半数を超え(前回調査:49.1%、今回調査:52.5%)、多額を借り入れることへの不安が増大していることが推察される。

○世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合

住宅購入者に対し、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合を聞いたところ、前回調査と同様に最も多かったのが「2割以上3割未満」(37.8%)、その後に「1割以上2割未満」(32.8%)となり、「1割以上3割未満」が約7割を占めた。

一方で、「3割以上」の選択割合が前回調査:18.1%に対し、今回調査:21.7%と増加しており、金利上昇の影響を受けて生活費が圧迫されている様子がうかがえる。

続いて、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合別に借入額に対する意識を調査した。世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合が「1割以上2割未満」では「もっと減らせばよかった」の割合は17.7%だったのに対し、「2割以上3割未満」になると24.5%、「3割以上」になると39.1%にまで増加した。

前回調査と比べると住宅ローン返済額の割合が1割以上を占める方々の「もっと借入額を減らせばよかった」の割合が増加している。

○住宅購入に対する意向

購入検討者に対し、住宅購入に対する意向を聞いたところ、「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」と「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」(41.9%)が同率トップとなった。


前回調査と比べると「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」は-6.0ptと下がった一方で、「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」は+8.3ptと大幅に増加している。また、「住宅価格の高騰が収まってから買いたい」の割合も前回調査から4.6pt増加しており、住宅ローン金利の上昇は規定路線とし、住宅ローン控除や住宅価格へ意識を切り替えている人が一定数いることがうかがえる。

○今後1年間の住宅ローンの見通し

購入者・購入検討者双方に対し、今後1年間の住宅ローン金利の見通しについて聞いた。「上昇」(「何かをきっかけに大きく上昇する」「ゆるやかに上昇する」計)の予測をした割合は購入者が49.0%(前回調査:48.1%)、購入検討者は69.7%(前回調査:68.3%)となった。購入者・購入検討者ともに「上昇」予測の割合は前回調査よりも増加しているが、増加割合は購入検討者の方が大きく、乖離は一層広がった。

○住宅ローンを払いきれるかの不安について

購入者・購入検討者双方に対し、住宅ローンを払いきれるかの不安があるかどうかについてたずねたところ、「大いに不安がある」と回答した購入者は24.7%(前回調査:18.7%)だったのに対し、購入検討者は57.4%(前回調査:50.2%)と過半数を占めた。前回調査と比較すると購入者+6.0pt、購入検討者+7.2ptといずれも大幅に増加している。不安を抱いている割合(「大いに不安がある」「やや不安がある」計)は購入者が69.9%(前回調査:67.8%)に対し、購入検討者は93.2%(前回調査:90.1%)となり、前回調査よりも乖離が大きくなった。

○金利の上昇に備え行っていること

「固定金利(全期間固定型)」以外の住宅ローンを利用している購入者に対し、金利の上昇に備えて行っていることを聞いたところ、何かしら対策をしているのは60.7%となり、完済への不安はありつつも、対策を打てていない人が一定数いることがわかった。最も多かった対策は「新NISAやiDeCo」(33.8%)、「預貯金」も3割いた一方で、「繰り上げ返済」は16.1%しかおらず、経済の不透明感が強まる中、現金を保有しておきたいという意向がうかがえる。

金利の上昇に備え、「特に対策はしていない」と回答した人に対しその理由を聞いたところ、最も多かったのが「特に理由はない/考えたことがない」(49.6%)、続いて「対策をどう取るべきか判断がつかないから」(26.8%)となった。「そこまで金利は上がらないと思うから」(5.9%)、「金利が上がっても金銭的に余裕があるから」(4.3%)はいずれもごくわずかとなっており、金銭的な余裕がある訳でも楽観視している訳でもないものの、対策については考えられていないという状況がわかった。


○住宅ローンを選ぶ際に魅力的に感じるもの

購入検討者に対し、住宅ローンを選ぶ際に魅力的に感じるものを聞いたところ、年齢が高くなるほど選択率が高くなったのが「金利の低さ」(20代32.9%、30代52.0%、40代58.2%)、「保障付き(3or8大疾病・ガン保障特約団信など)」(20代36.2%、30代37.6%、40代43.4%)、「借入可能期間」(20代19.8%、30代26.2%、40代26.8%)だった。「初期費用の低さ」(20代48.3%、30代46.2%、40代47.5%)は年代関係なくニーズがあり、「ペア連生団信(どちらか一方が亡くなったりした場合などに、夫婦両方の住宅ローン残債が保険金によって免除される団信保障)」(20代41.5%、30代38.0%、40代37.3%)は若年層ほど選択率が高くなった。
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