サントリー株式会社は7月30日、新商品「ジューシーブリュー」の発表会を行った。商品名が示す通りジューシーさにこだわったビールとなっており、8月19日から東北エリアで数量限定の販売を予定している。
発表会では、同社の執行役員 東北営業本部長・山縣哲氏、ビール・RTD本部 プレミアムビール部長・本山峰之氏、ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹・山口豊氏が登壇し、「ジューシーブリュー」の味や香りへのこだわり、製造方法などについて幅広く語られた。
○東北エリアはフルーティーさを好む?
まず山縣氏は「東北の方々に寄り添う取り組みを続けてきました」と地域コミュニティの活性化や子供たちの居場所づくりなど、これまで東北エリアを盛り上げる取り組みを実施してきた経緯を踏まえ、「東北エリアでより多くの方々にサントリーファンになっていただくべく、東北のお客様の嗜好に合わせた新ビールを東北エリア限定でテスト販売させていただく運びとなりました。新ビールを通じて、東北をより盛り上げたいと思っています」と語った。
次に本山氏は「ジューシーブリュー」をリリースした具体的な背景を説明。2026年10月に施行される酒税改正について触れた。酒税改正に伴い、ビール、発泡酒、第三のビールの税率が一本化され、ビールにとっては追い風になると見られているため、「しっかりとビールカテゴリーを強化したかったからです」と述べた。さらには、需要が根強い発泡酒を含む、低価格で手に取りやすい“エコノミーカテゴリー”も意識して製品開発を進めていたという。
また、東北エリア限定の発売ということで、東北エリアではビールにフルーティーな味わいを求める傾向が全国平均よりも高いことに着目。とはいえ、この傾向は全国的にも年々高まっており、「フルーティー嗜好層は大きなポテンシャルを持っているのだと思っています」とフルーティーさを重視した経緯を語った。
続けて、“苦み”や“キレ”がビールのスタンダードとされてきたが、“ジューシーさ”や“甘み”が新たなトレンドになりつつある現状に触れ、「こういった新しいタイプのビールを販売することで、ビール市場を活性化させていくことも大きな狙いです」と語った。
○甘みと香りの両立に成功
山口氏は「ジューシーブリュー」の具体的な概要を紹介していく。
一缶で多様なフルーティーさを可能にした独自製法“高濃度醸造技術”について解説。山口氏は「一般的には、仕込み工程で麦汁の濃度を高めることにより、仕込みあたりの出来高を増やして生産性を高める技術となっています。一方、高濃度醸造技術では最初の仕込み濃度を高めることで、フルーティーさを出し、よりアルコール濃度を高めることができます」と話す。
さらに、従来の製法技術では甘みと香りはトレードオフの関係にあり、二者択一となっていたという。ただし、高濃度醸造技術により、酵母が香りに変換するための十分な糖分を確保することができ、甘みを残しながらも香りを維持することが可能になったと説明。「『ザ・プレミアム・モルツ』で培ったホップの抽出技術と、『香るエール』で培った上面発酵制御技術の融合によって実現できたと考えています」とサントリーだからこそ再現できた味と香りであることを強調した。
これまでのビールとは一味、加えて一香り違う「ジューシーブリュー」。販売を楽しみにしている人は、東北に限らず全国各地に多くいるかもしれない。