芥川賞作家・金原ひとみの同名小説を杉咲花主演により実写映画化した映画『ミーツ・ザ・ワールド』(松居大悟監督 10月24日公開)の予告映像が公開された。
舞台は東京・歌舞伎町。
由嘉里を演じるのは、繊細な感情表現に定評のある杉咲花。彼女が演じるのは、オタク趣味に没頭する一方で、自分の存在意義に迷い、未来への不安に押しつぶされそうになっている現代的な女性像だ。そんな彼女がふと迷い込むのが、“現代のワンダーランド”とも言える歌舞伎町。ここで出会うのは、希死念慮を抱くキャバ嬢・ライ(南琴奈)、愛情を渇望するホスト・アサヒ(板垣李光人)、毒舌な作家・ユキ(蒼井優)、そして街の温もりを体現するBAR「寂寥」の店主・オシン(渋川清彦)といった、クセの強い面々だ。
公開された予告映像編は、由嘉里が「私は腐女子です」と突然宣言する衝撃的な場面からスタート。趣味に没頭することで心の空白を埋めていた彼女だが、次第に趣味だけでは埋まらない"生"への違和感や、母親(筒井真理子)との軋轢に苛まれていく。そんな彼女がライの「私死ぬの」という言葉に直面し、どうしようもないほど惹かれていく展開が描かれる。
また、出演者も発表され、由嘉里の同僚役で加藤千尋や和田光沙、ライの関係者として安藤裕子、中山祐一朗、アサヒの同僚として佐藤寛太らが出演。令和ロマンのくるまは映画初出演となり、合コンで出会う奥山譲役で登場する。
さらに、劇中で重要な役割を果たすのが、由嘉里が愛する『ミート・イズ・マイン』のアニメ化パート。声優陣には村瀬歩、坂田将吾、阿座上洋平、田丸篤志といった声優が務める。
さらに、主題歌と音楽を手がけるのは、松居監督と何度もタッグを組んできたロックバンドのクリープハイプ。今回は劇伴音楽も初めて担当しており、尾崎世界観が現場を訪れながら制作を進めたという。主題歌「だからなんだって話」は、作品のラストにそっと寄り添うように流れる。監督は「これはクリープの音楽であり、紛れもなくこの映画の音楽」と語り、バンド側も「登場人物たちがそれぞれの感情を抱えて交錯する様子を、音楽として表現したかった」とコメントしている。
【編集部MEMO】
松居大悟監督は、1985年11月2日生まれ。39歳。福岡県出身。2009年のNHK連続ドラマ小説『ふたつのスピカ』で脚本家デビュー。2012年に『アフロ田中』で監督デビューを飾る。クリープハイプの楽曲から着想を得た『自分のことばかりで情けなくなるよ』が2013年に公開され、若者の繊細な心情を鮮やかに描いた。