マイナビ農業は9月1日より、Plan・Do・See、八天堂と共同開発した『丹波栗くりーむパン』(450円)などを期間限定で販売する。都内では8月1日、3社による調印式を執り行い、関係者がプロジェクトの詳細について説明した。
○■「持続可能な農業」プロジェクト
本プロジェクトでは、形や色が規定に満たない・保存期間が短いなど、通常の流通にのせることができない高品質な兵庫県の「丹波栗」、宮城県の「ミガキイチゴ」を、八天堂の「くりーむパン」のフレーバーにして販売。これにより、持続可能な農業経営に貢献する。Plan・Do・Seeが展開する、まだ見ぬ新たな食文化との出会いを求めてシェフ自ら日本各地に足を運ぶ探求プロジェクト「ご馳走旅」の一環として実施している。
『丹波栗くりーむパン』は、ふんわり柔らかいパン生地の中に、八天堂のカスタード、栗の風味の特製クリーム、そして丹波栗クリームを贅沢に使用している。販売期間は9月1日から11月末までを予定。販売チャネルは、八天堂店舗(国内常設※一部除く)、八天堂オンラインショップ、PDSの一部の店舗、マイナビ社員向け福利厚生サービス「でりさす」など。
今秋以降には、ミガキイチゴを使った『ミガキイチゴくりーむパン』(2026年3月1日発売予定)、そして『兵庫県 丹波栗のミルフィーユ』(提供期間は2025年10月1日~11月30日)も予定している。
3社による調印式の後、代表者が挨拶した。
マイナビ 取締役 常務執行役員の内田龍之氏は「まだ食べられるのに廃棄されてしまうロス食材を生まれ変わらせる、という社会的意義のある取り組みです。その一翼を担うことができ、本当に嬉しく光栄に感じます。協力企業の皆さまと共に、この事業をさらに発展させていけたらと思っています」と話す。
また、Plan・Do・Seeの浅葉翔平社長は「自分たちの信念で続けていた“ご馳走旅”がマイナビ農業さんと出会い、八天堂さんとの御縁にもつながって、このような形で商品化されて世の中に出ていくのは誇らしい気持ちです。
○■町の人たちの思いも乗せて
このあとのパネルディスカッションでは、プロジェクト実施の背景とともに、生産者の思いが伝えられた。その冒頭、マイナビ農業の横山拓哉氏は「これまで490ほどの農家さんに直接、お話をうかがってきました。日本には本当に素晴らしい農家さんがたくさんいます。けれど農業人口の減少には歯止めがたっておりません。マイナビ農業でも、なにか農家さんの力になれることはないか、あれこれ模索してきました。そのなかでPlan・Do・Seeさん、八天堂さんとの出会いがあり、今回のプロジェクトが実現しました」と説明する。
兵庫県で丹波栗を栽培する幸畑孫さんは、農家が気候変動の影響をもろに受けている現状を明かす。「つい先日も丹波市では、国内統計史上最高となる気温41.2度を観測しました。収量が心配です。
宮城県でミガキイチゴを栽培する岩佐大輝さんは「高級イチゴになると、高いもので1粒1,000円にもなります。でも収穫のときに少し傷をつけてしまった、あるいは変色している箇所がある、サイズが規定よりやや小さい、といったものも出てきます。これをどうすれば良いか、ずっと悩んできました。そんな折、マイナビ農業の横山さんとの出会いがありました」とし、出来上がった商品については「本当に美味しくて、八天堂さんのプロの技にも感動しました」と表情を明るくする。
『くりーむパン』を販売する八天堂の藤井康平さんは「丹波栗のペースト、ミガキイチゴのジャムの美味しさを最大限に引き立て、お客様にダイレクトに伝えていくにはどうしたら良いか、Plan・Do・Seeさんと一緒になって開発を進めました。幸畑さん、岩佐さんには粘度の部分でもご助力いただきました。皆さんの力が結集して完成した商品だと思っております」と話す。
商品を監修したPlan・Do・Seeの西村穣さんは「八天堂さんの広島本社にもお邪魔して『くりーむぱん』が作られる過程も見学しました。ライン工場におけるクリームの配合、素材が活きる割合については、社内のパティシエたちも含めて何度も議論を交わしました。
幸畑孫さんは「まだまだ、丹波栗を食べたことのない人も日本各地にたくさんおられます。今回のような取り組みで全国の方に丹波栗を届けられるのは幸せなことですし、フードロス削減という観点でも非常に意義深いと感じています。弊社の従業員もより一層の力が入りますし、丹波市近隣の農家さんにも希望を持ってもらえるのでは、と思います」、岩佐さんは「地域の農家さんも今後、駅などで『ミガキイチゴくりーむパン』の広告を目にする機会が多くなると思います。自分たちのイチゴはここにある、と誇りに思ってもらえたら。町の人たちの思いも乗せて、商品の人気が広がってくれたら嬉しいです」とした。
最後に、横山氏は「今後も精力的に、取り組みを継続していきたいと思っています。たとえば、和歌山の梅、宮崎のさつまいも。ほかにもバラ、ぶどう、桃など、日本各地の農産物を対象に、第2回、第3回と活動を広げていく考えです。マイナビ農業でもチーム一丸となって取り組んでいきますし、農家の皆さん、そして農水省さんにも力をお借りして、一緒にアクセルを踏んでいきたい。これからもどうか、皆さんのお力をお貸しください」と呼びかけた。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら