日本製鉄は8月5日、同社が開発したチタン薄板がグレーチング国内最大手のダイクレに採用され、大分県別府市から受注したと発表した。

○「人荷重用グレーチング」の開発に成功

別府市の温泉郷「別府八湯」には7種類の泉質が存在し、特に酸性泉はpH2.0程度と強い酸性を示し、硫化水素などの酸性ガスが発生して金属に大きな腐食ダメージを与える。


従来の亜鉛めっき鋼製グレーチングでは十分な耐久性が得られず、腐食が進行していたという。

日本製鉄はこの問題を別府市と共有し、耐食性に優れたチタン製への置き換えを提案。安全性の向上や保守負担の軽減が見込めることから、今回の受注に至ったという。

これまでチタン製グレーチングは素材コストの高さが障壁となっていたが、少子高齢化や労働環境の変化を背景に、長期耐用性やメンテナンス負荷軽減への需要が高まっているとされる。

ダイクレの既存グレーチング製造ラインで試行錯誤を重ね、「人荷重用グレーチング」の開発に成功したとのことだ。

○北海道登別温泉での実証実験

日本製鉄は富安と協働し、北海道登別温泉での試験モニターにより強酸性泉での耐久性を確認しており、これが別府温泉での採用決定の理由のひとつになったとしている。

チタンは比較的新しい金属であり、今後もさまざまな分野での用途拡大が期待されている。

日本製鉄は、パートナー企業とともにインフラ分野での活用を進め、SDGsの達成を通じて社会の持続的発展に貢献していく構えだ。
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