村上春樹氏の原作を井上剛監督が実写映画化した映画『アフター・ザ・クエイク』(10月3日公開)の予告映像が21日、公開された。
作家・村上春樹氏による短編集『神の子どもたちはみな踊る』に収められた4つの短編をベースに、連続テレビ小説『あまちゃん』など話題作を手がけた井上剛監督が実写映画化した本作。
2000年に発表された原作は、短編集であり、本作ではその中の4編をもとに、物語の舞台を1995年から2025年へと再構築。震災を起点とする孤独と再生のドラマを、幻想と現実が交錯するマジックリアリズムの手法で映像化した。東京、釧路、神戸などを舞台に、4人の人物の運命が時空を超えて繋がっていく構成となっている。
公開された予告映像は、地下通路を歩く男女のシルエットからスタート。不穏な気配とともに「東京を壊滅から救ってほしい」と語る巨大なかえるくんの存在が暗示される。まるで寓話のような導入が、観る者を一気に物語の深部へと引き込んでいく。1995年、岡田将生演じる小村は、ある荷物を釧路に届けようと奔走。一方、鳴海唯扮する順子は、焚き火の傍で過去と向き合いながら静かに時を過ごす。2011年には、渡辺大知が演じる善也が「君は選ばれた子どもだ」と告げられ、2025年の物語では佐藤浩市演じる片桐が、謎めいた男クシロに過去を問われる。こうした断片が少しずつ重なり合い、やがて一本の糸となって現在へと繋がっていく。さらに、橋本愛、唐田えりか、黒崎煌代、渋川清彦、井川遥、錦戸亮、堤真一といった豪華な顔ぶれも脇を固め、それぞれの時代の空気を濃密に描出。
【編集部MEMO】
井上剛監督は、1968年生まれ。熊本県出身。1993年にNHK入局。ドラマやドキュメンタリーの演出・脚本を多数手がけ、『あまちゃん』や『いだてん』、『ハゲタカ』など話題作を次々と生み出す。震災をテーマにした『その街のこども』や『LIVE! LOVE! SING!』では映画監督としても高く評価される。2023年にNHKを退局し、株式会社GO-NOW.を設立。現在はフリーの監督・演出家として活動している。