北海道電力は8月26日、2027年に再稼働が予定されている泊発電所について北海道泊村で住民説明会を開いた。
約80人の住民が参加した住民説明会
今回の住民説明会は、2025年7月30日に原子力規制委員会の再稼働審査に正式合格した泊原発3号機の泊発電所について、安全対策や敷地外に建設を計画している核燃料輸送船の荷上場の計画を説明するもの。
この住民説明会は、今後後志管内の市町村をはじめ、北海道内29市町村を対象として、8月~10月の期間に延べ30回開催される予定で、今回の泊村での説明会は第1弾として開催された。
説明会には、泊村の村長である髙橋鉄徳氏をはじめ、約80人もの住民が参加。北海道電力からの説明に耳を傾けていた。
同説明会では、泊発電所の必要性として、「資源の乏しい日本では、安全性(Safety)を大前提とした上で、安定供給(Energy Security)を第一義とし、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時に達成させる「S+3E」の実現が重要である」ということが説明された。
泊発電所の安全対策
また安全対策としては「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3点が原子力発電所の安全を守る基本機能として備わっていることが説明された。
具体的には、配管が破断して冷却水が漏えいした場合や、大きな地震が発生するなど異常を検知すると、核分裂反応を止めるために、制御棒を自動的に挿入し、原子炉を緊急停止する「止める」。
原子炉停止後も、核分裂に際して生成された核分裂生成物が継続して熱を発生するため、水を注入・循環させて燃料を冷却し、燃料の損傷を防ぐ「冷やす」、万一の事故が起きても、放射性物質が外に出ないよう頑丈に囲んでおく「閉じ込める」の3点となっている。
さらに、2013年7月に施行された原子力発電所に係る新規制基準には、福島第一原子力発電所事故の検証を通じて得られた教訓が反映されているそうで、従来の安全対策である「耐震・耐津波性能」、「設計基準」を大幅に強化するとともに、これまで事業者の自主的な取り組みであった「重大事故対策」を義務化することなどにより、さらなる安全性の向上を目指しているのだという。
北海道電力では、新規制基準を踏まえ、電源確保対策として代替非常用発電機(常設)の設置や炉心等冷却対策として可搬型送水ポンプ車の設置、森林火災対策、竜巻対策、といったさまざまな安全対策を講じている。
27年再開へ向けて「地元の皆さまにご理解いただくことが何よりも大切」
また北海道電力は、泊発電所専用港湾に停泊する燃料等輸送船が津波に伴い漂流し、防潮堤など津波防護施設を損傷させることを防ぐ対策として、燃料等輸送船を泊発電所専用港湾に入港させず、燃料などの搬入出を行う荷揚場を発電所構外に設置することを検討していることを説明した。
「新設荷揚場および輸送経路は、発電所敷地外の周辺(泊村渋井地区)に設置」「輸送経路は、北海道電力の専用道路とし、新設荷揚場と泊発電所を繋ぐ経路を新たに構築」「輸送経路は、周辺の交通網や地域住民に影響を及ぼさないよう、周辺地形を考慮してトンネルや橋梁などを用いて構築」という設計方針とのこと。
登壇した北海道電力 泊原子力事務所長の牧野武史氏は「再稼働に向けては、泊村をはじめとして、地元の皆さまにご理解いただくことが何よりも大切」と強調し、2027年早期の再稼働を目指す旨を村民に改めて述べた。