東京商工リサーチは8月26日、「2025年不動産業からみた『エリア活性度』調査」の結果を発表した。

調査は、同社保有の企業データベース(約440万社)から、東京23区、全国の県庁所在地、政令指定都市の「不動産取引業」「不動産賃貸業・管理業」を抽出。
「不動産企業数」「新設法⼈率」「過去3年新規参⼊率」「'22-'24年企業数増減率」「1㎢あたりの企業数」「'23-'25年公示地価変動率」の6項目に基づいて、エリア別の不動産業「活性度ポイント」を算出。不動産企業数が200社以上の209市区を各ランキングにまとめた。

エリア別の不動産業「活性度ポイント」を算出した結果、再び都⼼回帰の動きが出てきた⼀方で、地方の穴場でも活性化に向かう地域があることがわかった。

「活性度」総合ランキングでは、「東京都中央区」(77.5ポイント)がトップに。2024年の新設法人率が6.9%で2位、1平方キロメートルあたりの不動産企業数は716.5社で1位となり、総合ポイントを押し上げた。

2位は僅差で「東京都千代田区」(77.2ポイント)、3位には「東京都港区」(74.7ポイント)がランクイン。国内有数の大企業が集中し、大規模な不動産開発も多く、さまざまな用途での不動産が集積する都心3区の強さが浮き彫りに。上位20エリアのうち東京エリアが半数の10エリアを占めており、コロナ禍が落ち着き、再び都心一極集中の傾向が強まっているよう。

なお、東京都以外では、5位に関西圏のビジネスの中枢である「大阪府大阪市中央区」、7位に福岡市の商業の集積地として賑わう「福岡県福岡市中央区」がランクインした。

「不動産企業数」が最も多いエリアは、「東京都港区」で1万1,861社とダントツ。次いで、2位「東京都渋谷区」(7,645社)、3位「東京都新宿区」(7,478社)と続き、官公庁やオフィス、商業施設などが集積する都心5区が5位までを占める結果に。また、上位20位のうち、16エリアを東京23区が占め、東京の一極集中を裏付けた。


企業数に占める新設法人率は、「東京都千代田区」が9.6%でトップとなり、2024年の不動産業の新設法人数は680社と全国で最多。2位は「大阪府大阪市港区」の7.0%。大阪・関西万博が開催されている「夢洲」駅への電車アクセスが便利なエリアで、観光客や就労者の増加で不動産需要も高まり、新設法人率が高くなったと考えられる。上位20位では、東京23区が5エリア、大阪府大阪市が5エリアと、東西の中心エリアが多くランクイン。なお、「東京都港区」の新設法人率は5.3%で14位だった。

次に、過去3年間(2022年-2024年)の不動産業における新設法人数と倒産や休廃業・解散数を比較し「新規参入率」を算出した。その結果、「福岡県福岡市西区」の928.5%(新設法人65社、倒産、休廃業・解散7社)や「熊本県熊本市西区」が900.0%(新設法人27社、倒産、休廃業・解散3社)が上位となり、大都市圏では、全エリアで過去3年間の新設法人数が倒産と休廃業・解散件数の合算を上回った。

そのほか、「'22-'24年企業数 増減率」のトップは「静岡県静岡市駿河区」(27.5%増)、「1㎢あたりの企業数」が最も多いエリアは、「東京都中央区」で716.5社。「'23-'25年 公示地価変動率」では、「福岡県福岡市博多区」が上昇率29.3%でトップとなった。
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