『ポップンミュージック』が15年ぶりに新筐体を発表。これまで『ポップンミュージック』は、新曲やテーマを更新し続けて27年にわたってサービスを継続してきたが、この度、満を持して新筐体での『ポップンミュージック』がリリースされることになった。
すでに大阪や秋葉原などでロケーションテスト(ロケテ)を行っており、音楽ゲーム界隈では話題となっている。

新筐体は最新のデバイスを導入。メイン画面は32インチから43インチの大型モニターに変更。タイミングがシビアな音楽ゲームにも対応できる120fpsのリフレッシュレートに対応した液晶モニターを使用している。『ポップンミュージック』をイメージするキャラクターも高解像度モニターに合わせて美麗に進化。デザインが一新され、人気キャラクターたちも新しいアニメーションで復活する。

さらに音響もパワーアップ。4スピーカー+ウーファーにより、音楽ゲームの命と言える音響のレベルが格段にアップした。新規ユーザーでも楽しめる新デバイスポップ君ボタンを新たに搭載し、ワンボタンでも楽しめる仕様になっている。

もちろん、既存の9つのボタンを使用した高難易度の曲や、ふたりでボタンを分担して遊ぶときに、真ん中のボタンが共用されて手が触れあう「ラブラブ・ボタン」も健在。まさに『ポップンミュージック』の集大成と呼べる新作が登場する。

そんな『ポップンミュージック』の新筐体を開発したDes-ROWプロデューサーとwacディレクターに話を聞いた。


○まずは今のユーザーさんが喜んでくれるかどうか

――『ポップンミュージック』を新筐体でリリースすることとなった経緯をお聞かせください

Des-ROW:『ポップンミュージック』は、最新の筐体で15年前のものになっており、今もずっとこの筐体が稼働しています。実はこれまで『ポップンミュージック』の新しい筐体を制作することを熱望していました。今回制作できる立場になりようやく夢が叶った感じです。

wac:15年前の最新筐体、という話がありましたが、実はそれより前のモニターがブラウン管な筐体も現役で残っていたりします。世の中のゲームがどんどん新しくなっていく中、ブラウン管のゲームを遊んでもらえるって、それはそれで誇らしいことではあるんですけどね。

Des-ROW:『ポップンミュージック』が世に出てから27年経過して、その間楽しんでくれているユーザーの方がいます。しかし、筐体が古くなってお店にポップンの筐体がなくなったり、初期のブラウン管の筐体は色がちゃんと出なくなったりもしているので、なんとかしたかったんですよね。ようやくここにきて、そんなユーザーの方にお届けできそうでワクワクしています。

――新たにリリースすることでどんなことを重要視したのでしょうか。また、新筐体の恩恵はどんなところでしょうか

wac:どんなジャンルでもリニューアルを考えている時にはつきまとうことなんでしょうけど、ずっと遊んでくれているユーザーさんに向けて作るのか、新しいユーザーさんが入りやすいものを目指すのか、という点については悩みましたね。どちらも大切なことなのですが、まずは今のユーザーさんが喜んでくれるかどうかを軸に置くことにしました。『ポップンミュージック』を好きな人が楽しめないのであれば、新しい人も楽しめないのではないかと。


――『ポップンミュージック』は既存の筐体でも曲が増えたり、アップデートは繰り返して行われていたんですよね

wac:そうですね、だいたい1年から2年くらいのペースで大きなアップデートをして、テーマに沿ってデザインを変えたり機能の追加などを行っていますし、曲についてはそれこそ毎週のように追加しています。ただ、やはりハードの変更はなかなかできないので、ソフトだけでアップデートできる内容にも限界はありますよね。今回筐体を新しくするにあたって、デバイス的な制約はかなりなくなりました。液晶モニターはじめハード面も進化してますし、ゲーム的にもより正確に叩きやすくなったと感じてもらえるんじゃないかと思います。

Des-ROW:新筐体には判定調整機能が入るので、だれでも自分のタイミングをあわせやすくなり、プレーの快適さが上がっています。あとはタッチパネルの採用(サブの小さいモニター)ですね。曲選びとか様々な設定とかがやりやすくなりました。『ポップンミュージック』はいろんな個性的なキャラクターの存在やその可愛いさも魅力の一つです。新筐体ではこれまでに登場したキャラクターも新しい液晶モニターに合わせてキレイになって登場し、また滑らかに動くようになっています。

あと、モニターが大きくなったことで、プレー感覚が変わってスコアに影響したり、慣れないといったユーザーの方もいらっしゃるかもしれません。なので、設定によってゲームプレーのレーンの幅をこれまでの筐体の32インチと同じサイズに設定することができるようになっており、以前と同じプレー感覚で楽しんでいただけます。

○『ポップンミュージック』の歴史27年分の、名曲2000曲をぜひ楽しんでほしい

――前筐体が出てから15年経過していると、音楽ゲームも大きく進化していると思います。
その進化に対して新たな『ポップンミュージック』はどのような立ち位置でいこうと考えられましたか

Des-ROW:『ポップンミュージック』は9個のボタンがついているので、初めて1人で遊ぶ人には難しく感じるかもしれませんが、2人とか3人の仲間内で担当するボタンを決めてワイワイ楽しんで遊ぶのも魅力の一つでした。今回、新筐体は両サイドにポップ君ボタンを新しく装備しました。初めてプレーする人に優しい、このポップ君ボタンだけで遊べる仕組みも入れる予定です。この新要素はポップンの新しい魅力となり、新しくポップンを遊んでくれるユーザーがどんどん広がってくといいなと願っています。

wac:以前はゲームセンターの外に筐体が置かれているなんて時代もあったのですが、今でもゲームセンターに行けば知らない人のプレーを見ることができるんですよね。この文化はアーケードゲームならではと思います。新筐体は液晶モニターが大きくなったことで、プレー画面もキャラクターも大きく見えるようになりましたし、元々ポップンを知らないような方も他のプレーヤーさんのプレーを見て興味をもってくれると嬉しいですね。

――今後の展開についてはいかがでしょうか

Des-ROW:ロケテストをこれまで秋葉原と大阪と2ヵ所で実施させていただいたのですが、おかげさまでなかなかいい評価をいただいています。またそこでいろいろご意見をいただいていますので、もっと良くしていきたいです。

wac:新筐体でも、これまで通りのアップデートはしていきます。もちろん曲はどんどん更新していきますし、テーマも1年くらいのスパンで変えて行ければと思います。これまでも、日本をテーマにした「いろは」とか、映画曲をテーマにした「ムービー」とかあったように、楽曲・キャラクター・イベントといったゲームの要素すべてでテーマを表現するのが『ポップンミュージック』なんです。


あと、音楽ゲームってタイトルそのものが収録楽曲のイメージになってそのゲームの個性を形作っているところがありますよね。もちろんそのジャンルしか入っていないわけではないんですけど、例えば『ビートマニア』であればクラブミュージック、『ギターフリークス』であればロックとかのバンドサウンドがメイン、みたいな。その点で『ポップンミュージック』はそういったイメージがないので、どんな音楽でも入れることが出来ますし、どんな音楽が入るか予想のつかない音楽ゲームであってほしいと思っています。収録曲も、新筐体が遊べる頃には2000曲を超えるんじゃないですかね。『ポップンミュージック』の歴史27年分の、名曲2000曲をぜひ楽しんでほしいです。

Des-ROW:イベントとかもやっていきたいですね。カジュアルでみんなが気軽に参加できて、上手なプレーヤーの方とかがいたらみんなで一緒に盛り上がるみたいな大会をやってみたい。競技性というより、そこにいるみんなで協力して何かを達成するみたいな、ポップンならではの大会とかできたらいいなと思っています。

wac:『ポップンミュージック』にはJ-POPやアニメソングなどの世間一般で有名な楽曲だけでなく、オリジナル楽曲もたくさん入っているのですが、長い歴史の中でそういったオリジナル曲を聴いて遊んでくれた子たちの中には、今や音楽を生業として音楽シーンで活躍されている方もいます。過去にオリジナル楽曲の公募を行った時には『ポップンミュージック』で育った音楽家の方たちも応募してくれました。音楽ゲームとして、これからも未来のそういった方たちに影響を与えられる存在でありたいですね。
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