MENTAGRAPHはこのほど、仕事中の休憩の取りやすさ、残業時間の捉え方に関する実態調査の結果を発表した。調査は2024年12月3日~12月17日、22~65歳のビジネスパーソン1,800人(管理職900人・非管理職900人)を対象に、インターネットで行われた。
○「昼休みの仮眠」許せない人もいる
仕事時間中の休憩に対して、「満足」、「どちらかといえば満足」と回答した「満足層」は全体の57.6%で、管理職58.0%/非管理職57.1%という結果になり、役職によるギャップはみられなかった。「不満層」(「どちらかといえば不満」「不満」)についても全体16.7%で管理職16.6%/非管理職16.9%という結果になり、役職によるギャップは小さいことがわかった。
仕事時間中の休憩への不満層(「どちらかといえば不満」「不満」N=301)に対して、休憩が取れない理由を質問したところ、結果は全体の65.1%が「休憩を取る時間がない」と最多で、業務都合が主な原因だった。非管理職においては、「周りの目が気になる」29.6%や「上司が休んでいないから休みづらい」15.1%が相対的に高く、"見られ方"や上司のふるまいが取得の障壁になっている実態が見えた。制度面の要因(「会社の制度的に取ることができない」)は、管理職16.1%、非管理職15.1%と、いずれも一部にとどまった。
さらに「上司の休憩の取り方」、「部下の休憩の取り方」への考えについての調査では、「役職に関係なく平等に休憩は取るべき」という価値観には70.6%(当てはまる+やや当てはまる)が賛同する一方、「上司は部下から見えるところでは休憩を取るべきではない」には16.6%、「部下は上司から見えるところでは休憩を取るべきではない」には11.7%が賛同しており、"見える休憩"に対するためらいが少なからず残っていることがわかった。つまり、価値観としては「平等に休むべき」との合意が広がっているにもかかわらず、実際の行動段階では「周囲の目」や「上司のロールモデル」がブレーキとなり、休憩が取りにくくなる職場文化の摩擦が生じていることが示唆されている。
昼休憩中の行為の許容度を「許せる/まあ許せる/少し許せない/許せない」の4択で質問したところ、最も許容度が高かったのは「スマホをいじる」84.3%(許せる49.0%+まあ許せる35.2%)という結果になった。続いて「会社の外に出る」80.9%、「ネットサーフィン」77.6%、「タバコ休憩」75.8%、「寝る(仮眠)」73.0%という結果に。昼休憩中の仮眠(許容73.0%)について、内訳を見ると管理職70.0%に対し非管理職76.0%で、非管理職が6.0ポイント高く寛容だった。反対に不許容(「少し許せない」+「許せない」)は管理職30.0%、非管理職24.0%と、管理職のほうが否定的な傾向が見られた。
昼休憩という時間帯であっても、上司層は仮眠に慎重、現場は実利的に受け入れる構図が表れており、休養の取り方に関する価値観の差が、職場の"休み方"の意思決定にも影響している可能性が示唆される。
○残業「多い」の起点は20時間か40時間か
今回の調査では、月の合計残業時間について、「多い」と感じる時間は何時間からなのか、を調査した。全体では30時間が最多で23.8%が「多い」の起点に挙げたが、内訳をみると分布が役職でずれることが明らかになった。非管理職は20時間で「多い」とする人が24.1%と最も多く、次いで30時間(23.4%)、40時間(19.3%)の順になった。これに対し管理職は40時間(24.7%)と30時間(24.1%)、続いて50時間(16.1%)という結果に。つまり、非管理職は早い段階(20時間台)で「多い」と判断し、管理職は遅い段階(30~40時間台)まで許容する傾向がわかった。
「20時間以下で多い」とする割合は非管理職38.7% ・管理職21.2%。一方で、「40時間以上で多い」とする割合は管理職54.7% ・非管理職37.9%で、管理職側の許容範囲が遅い傾向がわかる。このギャップは、同じ残業時間でも現場は早めに「過多」と捉え、上司はまだ許容範囲と見る場面が生まれやすいことを意味する。