AlbaLinkは9月2日、「実家のお墓に関する意識調査」の結果を発表した。調査は2025年8月27日、全国の男女500人を対象にインターネットで行われた。

○実家のお墓に関する悩み

全国の男女500人に「実家のお墓に関する悩み」を聞いたところ、1位は「遠くて行きにくい(35.8%)」だった。2位「継承者がいなくなる(21.4%)」と答えた人の割合も20%以上と高くなっている。3位「不便な場所にある(12.2%)」、4位「今後の方針が決まらない(9.0%)」、5位「手入れに手間がかかる(6.0%)」と続いた。

「遠くて行きにくい」「不便な場所にある」など、立地やアクセスの問題が、お墓の維持管理における大きな負担になっていることがわかる。また「継承者がいなくなる」「今後の方針が決まらない」といったお墓の将来に関する不安も多い。つまり、お墓に関する悩みのパターンとしては、大きく「現在、お墓の立地などによって不便を感じている」「将来的にどうすればいいかわからなくて不安」にわけられる。
○1位「遠くて行きにくい」

「遠くて行きにくい」を選択した人からは、「愛知と東京の距離で、なかなか行けない。愛知の田舎にあり、さらに出向くのが厳しい」(20代/女性)、「遠方にあるのでお墓参りに行くのも大変ですし、年に2回しか行けないので手入れできないのが一番の悩みです」(30代/男性)、「距離が遠いので、私が管理する立場になると困る」(40代/男性)といった声が寄せられた。

実家のお墓が遠方にあると、移動時間や交通費がまず負担になる。帰省に合わせてお墓参りやお墓の手入れをするとしても、「年に数回訪問できればいいほう」といった状態に。

草抜きや清掃の頻度が落ちることで、十分にお墓を管理できていないという罪悪感を抱いてしまうかもしれない。また、自身が遠方にあるお墓の管理者になった場合の負担を考えて、不安に感じている人もいた。

○2位「継承者がいなくなる」

「継承者がいなくなる」を選んだ人たちからは、「継承者になる人はみんな県外に出てしまったので、継げる人がいない」(30代/女性)、「兄弟みな子どもがいないので、墓の今後をどうするか悩んでいます」(40代/男性)、「自分たちの後に継承してくれる人がいない」(60代以上/女性)といった悩みの声が挙がった。

お墓の継承者がまったくいなくなると無縁墓となり、霊園の管理者によってお墓は撤去され、遺骨は合祀墓でまとめて供養されるのが一般的。継承できる人がいなくなって無縁墓になる前に、改葬(お墓を移すこと)や墓じまいを検討しておく必要があるかもしれない。
○3位「不便な場所にある」

「不便な場所にある」と答えた人たちからは、「お墓のある場所自体はそこまで遠くありません。ただ急傾斜の獣道のような山道を徒歩で上った先にあるので、お墓掃除のときに水の入ったバケツを持って山登りするのは、かなりしんどいです」(30代/女性)、「山の上にあるので、体が弱ってきた高齢者はお墓に行くこと自体が難しい」(40代/女性)、「車必須の場所にありますが、車を所有していません。お墓参りにはレンタカーが必要で、少し足が遠のいてきています」(60代以上/男性)という声が聞かれた。

墓地は山にあることも多く、距離そのものは実家から近くても、急傾斜の山道を通って行く場所や車必須の立地になることも。気軽に行けない不便な場所にあることで、お墓のことは気になりつつも、足が遠のきがちに。また、墓地全体が傾斜のあるつくりになっていることもあり、階段が急であるなど、足腰の弱い人にとってはお参りが難しくなることもある。
○4位「今後の方針が決まらない」

「今後の方針が決まらない」と感じている人からは、「今後誰が管理していくか。働いていると掃除もなかなか行けないから」(20代/女性)、「親が亡くなったら、お墓をどうしていいかわからない」(30代/男性)、「実家の兄と仲が悪いため、今後どのように管理していくか話ができないこと」(50代/男性)といった不安の声が挙がった。方針が決まらないと、将来の承継に向けた情報収集や準備もできず、不安が募ると推測できる。

○5位「手入れに手間がかかる」

「手入れに手間がかかる」と回答した人からは、「祖父母のお墓だけでなく、親戚のお墓もあるので、管理するのが大変です」(30代/女性)、「お花がすぐに枯れてメンテナンスが面倒」(40代/男性)、「夏草が伸び放題で、絶えず草むしりが必要なこと」(60代以上/男性)といった悩みの声が寄せられている。

お墓参りする人も多いお盆の時期は暑く、雑草取りなどが体力的に大変になることも。また、お墓の管理をこまめにやろうとすればするほど手間は増大する。管理するお墓が複数ある場合には、負担も大きくなり、対応に苦慮するケースもあるようだ。
○実家のお墓参りをする頻度は「年に1回」

実家のお墓参りをする頻度を聞いたところ、「年1回」と答えた人が3割を超えて、最も多くなった。

日本では、お盆の時期にお墓参りをする家庭が多くある。また、身近な親族の命日にお墓参りをするという家庭もあるため、年1回程度になることが多いと推測できる。

ただ「行っていない」という人も1割を超えていて、お墓参りの重要性や頻度は家族や人によってさまざまだとわかった。
○実家のお墓の維持管理をしているのは「親」

実家のお墓の維持管理をしている人は誰かという問いには、「親(66.6%)」と回答した人が圧倒的1位だった。2位「親戚(14.2%)」、3位「自分(10.6%)」、4位「兄弟姉妹(7.0%)」、5位「祖父母(6.0%)」と続いた。

回答者は30代~40代が多かったことから、まだ両親が健在なケースも多く、血縁者のなかでも年長者となる親世代がお墓の維持管理を担っているとわかった。50代以上になると親が高齢になったり亡くなったりして、自分や自分の兄弟姉妹が管理を担うケースも増えている。


具体的には、「親が行ってくれていて、自分で行く機会はあまりないです」(20代/女性)、「納骨堂を所有する宗教法人が管理している。花や供物は、行かなくてもお金を払えばお供えしてくれるサービスがあり、代金は親が払っている」(40代/女性)、「両親が健在のため、今は両親がまめに行ってくれています。また父親が6人兄弟で、兄弟のほとんどがお墓の近くに住んでいるため、代わるがわるお花を変えたり洗ったり、維持をしてくれています」(40代/男性)、「主に私です。親は高齢のためひとりでは行けないので、毎月私が雑草の手入れに行っています」(50代/女性)といったコメントが寄せられている。
○将来的に実家のお墓は「墓じまいする」

「将来的に実家のお墓をどう扱うか」を聞いたところ、最も多かった回答は「墓じまいする(45.2%)」。2位は「引き継いでいく(29.8%)」となった。「墓じまいする」と答えた人が半数近くいて、「お墓を移す」と答えた人もいたことから、管理や維持の負担を減らしたいという傾向が強いとわかる。ただ、「引き継いでいく」と答えた人も3割いることから、従来の形でお墓を守ろうという意向も根強いと言える。全体的には、より負担を減らす形でお墓を管理したい人が多いとわかった。
○1位「墓じまいする」

「墓じまい」を選ぶ理由としては、「私が継ぐものの、墓じまいしようと考えています。遠いので行くのも大変ですし、次の代に引き継ぐのもあまり好ましくないと感じています」(30代/男性)、「子どもに手間をかけさせたくないので、墓じまいしたいと思っています」(40代/女性)といった気持ちが挙げられた。一旦自分が継いでから自分の代で墓じまいしようと考えている人もいれば、親世代で墓じまいをするよう促している人もいた。


墓じまいをすれば、管理費を下げられ、掃除やお墓参りの負担も減る。また、子ども世代にお墓の管理で大きな負担をかけることもなくなる。ただ、先祖代々のお墓を大切に思う人も多いため「自分は墓じまいしたいけれど、親戚に反対されていて進まない」という声もあった。
○2位「引き継いでいく」

「引き継いでいく」と答えた人からは、「子どもに引き継ぎたい。ただ子どもがどうするかにより、墓じまいをする可能性もある」(30代/女性)、「自分たち兄弟の誰かが引き継いでいくと思う」(50代/男性)、「継承者が退職して、県外から帰って来て引き継ぐ予定」(50代/女性)という声が挙がった。

今まで引き継がれてきたお墓を大切にして、自分や子どもが引き継いでいこうと考えている人が多く、理由としては「ご先祖様が大事だから」「親の意向だから」「何となく」などが挙げられている。ただ引き継ぎたいと考えつつも、子ども世代に負担をかけたくないという気持ちをもつ人も。そのため「負担のない範囲で、次の世代に引き継ぎを考えてもらいたい」という声もあった。
○3位「まだ決めていない」

決めかねている人からは、「未定です。実家には兄夫婦が一緒に暮らしていますが、墓の管理や家の管理もすべて親任せで、将来が不安でなりません」(40代/女性)、「私が現役を退くころまでには、甥と話をして、引き継ぐか墓じまいしてもらうかを決める予定」(50代/男性)、「お参りできるうちはできるだけお参りしようと思いますが、その後のことはまだ考えていません」(60代以上/女性)といった声が挙がった。「家族間の調整」「生活環境や体調が変化したときにどうなるか」を見極めたいと考えているようだ。また実家に兄弟姉妹が残っているので判断を任せているものの、結論が出ずにやきもきしている人もいた。


「実家のお墓に関する悩み」の4位は「今後の方針が決まらないこと」だったので、早めに今後の方針が決まることで悩みは少なくなると考えられる。
○4位「お墓を移す」

墓じまいの一環として「お墓を移す」(改装する)選択肢もある。これを選んだ人からは、「現在あるお墓の位置からは移動させて、自宅近辺のお寺に移設しようと思います」(20代/男性)、「承継者がいなくてもいい別のお墓あれば、移す」(40代/女性)、「納骨堂に合葬して、永代供養にしたいと考えている」(50代/男性)という回答が集まった。

行きやすい場所に移したり、複数あるお墓を集約すれば、管理が楽になるというメリットがある。例えば自宅近くで永代供養してもらえる納骨堂などがあれば、日常的な手入れやお墓参りが楽に。ロッカー型納骨堂など、タイプによっては比較的安いコストで維持できる。
○5位「他の人に判断を任せる」

「他の人に判断を任せる」と答えた人からは、「先のことまで考えたことがなかった。ひとつは遠い親戚まで含めた合同のお墓になっているので、誰かがそのうち仕切るだろうと思う」(30代/女性)、「近くに住む姉が決めてくれるはずですので、安心しております」(50代/女性)、「弟がいるので、弟の考え次第になるでしょうか」(60代/女性)といった声が挙がった。

判断を委ねる背景としては、「実家や実家近くで暮らしている兄弟姉妹がいる」「音頭をとってくれそうな親戚がいる」といったものがある。「自分に決定権はない」など当事者意識が希薄なケースもあれば、周囲に任せられる人がいて安心しているケースもあった。

家族のなかで役割分担が成立していて、お互いに納得している場合には、ストレスなくスムーズにお墓の管理や墓じまいが進むと考えられる。ただ負担を誰かひとりに押し付けるような形になってしまうと、押し付けられた側がストレスを感じることもあるかもしれない。
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