R65は9月2日、「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2025年)」の結果を発表した。調査は2025年7月28日~7月30日、全国の65歳を超えて賃貸住宅の部屋探し経験がある500名を対象に、インターネットで行われた。
○65歳を超えての賃貸住宅探しで苦労したこと
65歳を超えて賃貸住宅を探した経験のある500名に対し、その際の苦労度合いを尋ねたところ、「とても苦労した」15.6%、「やや苦労した」27.2%を合わせた42.8%が"苦労した"と回答した。
時期別では、直近1年以内に探した人では「とても苦労した」30.6%、「やや苦労した」30.6%で合計61.2%と、6年以上前に探した人の37.8%に比べて23.4%も高い結果となった。
○約3人に1人が年齢を理由に入居を断られた経験あり
全体における「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」は、「断られなかった(0回)」69.6%に対し、30.4%となり、そのうち「5回以上断られた経験のある人」は、4%となった。
「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」について、時期別にみると、「直近1年未満」が最も多く、全体よりも6.3%多い36.7%となり、「5回以上断られた経験のある人」は22.4%となった。
また、2023年の調査と比較すると、全体における「年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験のある高齢者」は26.8%から3.6%、そのうち「5回以上断られた経験のある人」は11.9%から1.3%増加する結果となった。
「住宅セーフティネット法」の改正や民間の受け入れ促進施策が増え、年々高齢者の賃貸入居環境が改善していると考えられるが、現場の実態としては、直近になるほど苦労度合いの大きさ(2人に1人以上)や入居拒否の割合が増加している現状が明らかとなった。
○部屋探しで最も多かった苦労は「候補物件が少ない」
先の質問で「苦労した」と回答した人に、部屋探しから入居までに感じた具体的な苦労を聞いたところ、「候補となる物件情報が少なかった」52.8%が最も多い結果となった。次いで「通常よりも経済的負担(初期費用など)が大きかった」31.3%、「条件に合わない物件を紹介された」17.3%、「契約時の手続きが複雑で理解しにくかった」15.9%が続いた。
時期別では、順位の変動はほとんど見られなかったが、直近1年未満で「候補物件が少ない」が63.3%と最も高く、「経済的負担」も平均よりも高い40.0%となった。
セーフティネット法の改正により"制度整備"が進んでいる一方で、実際には「そもそも物件がない」という現状が浮き彫りになり、"借りづらさ"の実感との間にギャップが生じている様子がうかがえる。要因としては、直近の経済的負担の高まりから"家賃の上昇"などが考えられる。
○内見候補の満足度は「どちらとも言えない」が最多
内見候補として提案された物件の総合満足度は、全体で「どちらとも言えない」42.8%が最多となった。
時期別にみると、直近1年未満は「非常に満足」16.3%が全期間で最高である一方、「非常に不満」10.2%も最多で、評価が二極化する結果となった。
○賃貸住宅の部屋探しの理由
部屋探しの理由(複数回答)では、全体のうち1位が「適切な広さの間取りに住み替えるため」36.2%、2位が「家賃の低い物件に住み替えるため」23.6%、以下「新しい挑戦や自己実現をするため」12.2%、「子どもの近所に住み替えるため」8.8%、「オーナーや不動産会社から立ち退きを促されたため」8.2%、「オーナー・近隣とのトラブル」3.0%、「その他」19.0%が続いた。
時期別での差異はあまり見られなかったが、「オーナーや不動産会社から立ち退きを促されたため」に関しては、3~5年前から増え始め、1~2年前が最も多い16.40%となった。