毎月の支出を見直そうと思っても「何から手をつければいいかわからない」「我慢の節約は続かない」と感じている方も多いのではないでしょうか。そこで累計100万人以上にお金の診断を行ってきた、国内最大級の家計診断・相談サービス「オカネコ」所属の1級FP(ファイナンシャル・プランナー)/CFP 松井大輔さんが家計を分析。
○子ども3人の共働き会社員、支出の内訳は?
プロフィール
世帯構成: 5人暮らし
お名前: Jさん-Eさん
年齢: 38歳-34歳
性別: 男性-女性-こども3人(12/9/4歳)
職業: 会社員(建築関係)-会社員(看護師)
月の手取り収入: 53万円
総貯蓄額: 約300万円(二人分合算)
Iさん-Mさんの家計簿の内訳はこちらです。
○新潟県在住・38歳・男性・会社員・Jさん+34歳・女性・会社員・Eさんの支出の内訳は?
Jさん-Eさんの家計簿の内訳はこちらです。
○FPがやさしく分析! 生活にフィットした改善ポイントとは?
FPの目線から見ると堅実かつ教育優先型で、今後の資産形成余力も高められる家計です。
○ポジティブポイントは?
5人家族の支出としては、交際費や日用品雑費が比較的抑えられており、浪費は見られません。家計をうまくコントロールできていることがわかります。
3万円ながらも毎月貯蓄できており、将来への備えができている点も評価できます。
毎月7万円を3人の子どもたちの教育費に充てており、将来の学びや成長を支える意識が高い家計であることがうかがえます。
○改善ポイントは?
住宅ローン・水道光熱費・保険医療費・通信費などの固定費が家計の半分を占めています。固定費を見直すことで、貯蓄額をさらに増やすことが可能です。特に保険や通信費は削減の余地が大きいため、一度見直しを検討してみましょう。
現在の貯蓄率は約5.7%です。将来の教育費のピークや老後資金を考慮すると、10~15%を目指すと安心です。
月3.5万円の車維持費は地方生活では標準的な水準ですが、自動車保険の見直しなどによって数千円~の節約の可能性はあります。
リアルなお悩み: 住宅ローンの繰り上げ返済はすべき? 教育費の配分は?
続いて、Jさん・EさんからFPにいただいた質問に回答していきます。
Q. 将来、住宅ローンの繰り上げ返済を検討しています。その場合のメリット・デメリットを教えてください。
一般的なメリットは下記となります。
総支払利息額を減らせる
毎月の返済額が減少、または返済期間が短縮されることで、現在または将来の家計負担が軽くなる
一般的なデメリットは下記となります。
手元資金が減り、緊急時の対応力が低下する
住宅ローン控除(減税)期間中の場合は、繰り上げ返済により控除額が減る可能性がある
インフレや運用利回りを考慮すると、借入金利が低い場合は、無理に返済せず資金を運用に回すほうが有利な場合がある
団体信用生命保険の保障額や保障期間が減少する
Jさんご家庭へのアドバイスとしては、お子さまが3人おり、今後教育費の負担が増えることが予想されるため、まずは生活防衛資金(生活費6か月~1年分)と教育資金の確保を優先することが重要です。そのうえで、住宅ローンの金利と運用利回りを比較して判断する方が安心です。したがって、現時点では教育資金の準備を優先し、急いで繰り上げ返済を行う必要はないでしょう。
Q. 毎月7万円を教育費に使っていますが、この金額は3人の子どもの将来を見据えて適切でしょうか?
3人で月額7万円とのことですので、単純に割ると1人あたり約2.3万円になります。
注意点としては、習い事を親や子どもの希望通りに無制限に増やしていくと、費用は際限なく膨らんでしまうということです。例えば、高校入学までに1人300~500万円を大学資金として準備することを目標にした場合、Jさんご家庭の現状では、ある程度の取捨選択が必要になるかもしれません。一方で、お子さまのために現在の7万円を維持する選択をした場合には、他の支出を削減して貯蓄額を確保する工夫が必要です。また、中学・高校と進学するにつれて教育費は増加する傾向にあるため、その点も今から考慮しておく必要があります。
重要なのは、他の家庭や平均値との単純な比較や、現在の収支・教育費だけで判断するのではなく、ご家庭の将来を見据えた総合的な家計管理です。なお、大学資金は入学時までにすべて準備する必要はなく、奨学金などの活用も選択肢となります。計画的に準備を進めていきましょう。
Q. 車の維持費(月3.5万円)をもう少し下げたいのですが、見直しポイントや節約方法があれば教えてください。
車の維持費は、家計の中でも大きな固定費のひとつです。
自動車保険の見直し: 現在の補償内容が生活スタイルに合っているかを確認し、複数社の一括見積もりで比較してみましょう。通販型(ダイレクト型)保険に切り替えることで、同じ補償内容でも保険料を大幅に抑えられる場合があります。
ガソリン代の節約: 価格の安いガソリンスタンドを選び、ポイント還元率の高いカードで支払えば、小さな積み重ねでも年間で大きな差になります。
カーシェアの活用: 近くにカーステーションがあり、走行距離が少ない、または利用が週末中心の場合は、カーシェアに切り替えるだけで維持費を大幅に削減できます。
複数台保有の見直し: 用途や走行距離を改めて確認し、必要に応じて台数を減らすことも選択肢の一つです。
車種変更: エコカーや軽自動車に乗り換えると、燃費が良くなるだけでなく、自動車税や保険料も下がります。乗り換えにおける初期費用はかかりますが、中長期的には維持費の大幅削減につながります。買い替えのタイミングであれば、一度検討をおすすめします。
家計管理において大切なことは「我慢する節約」ではなく、自分のライフスタイルに合った"見直しの工夫"を見つけることです。小さな改善の積み重ねが、将来の安心ややりたいことを実現する力になります。
※本家計簿の内容は、オカネコに寄せられた相談をもとにしたイメージであり、実在の人物や家計とは一切関係ありません。
松井大輔(オカネコ) まつい だいすけ 1級FP技能士/CFP/公的保険アドバイザー/生命保険募集人/証券外務員一種/宅地建物取引士。約1,200人に対するコンサルティングと300回以上のマネーセミナー実施経験を持ち書籍・Web記事の監修も多数行う、元エンジニアの敏腕FP。エンジニア時代に培った論理的思考を用いてお金の話について分かりやすく伝えるをモットーに、総合的なライフプランニングによって住宅資金、教育資金、老後資金を「最適」な金融商品・制度を用いて戦略的に準備するアドバイスを得意としている。家計の改善をマンツーマンでサポートするトレーニングサービス「OKANE-KOllege(オカネカレッジ)」の講師も担当。 この著者の記事一覧はこちら