現在開催中の大阪・関西万博にて、北海道電力や東京電力、関西電力など8つの電力会社で構成される電気事業者連合会は、「電力館 可能性のタマゴたち」と題した、エネルギーに関するたくさんの“可能性のタマゴ”を体験できるパビリオンを展開している。
○■電力館で学ぶ「エネルギーの可能性」
電力館は、ボロノイ構造のタマゴ型となっており、天候や時間帯などによって多様に見え方が変わるシルバーの外観は、未来に向けた多くの可能性を表現。
地球上の様々な生命と共存しながら持続可能な社会を実現するためには、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの実現が重要。電力館では、カーボンニュートラルのさらにその先を見据えながら、社会の基盤を支える電力業界ならではの視点で未来社会を描いており、タマゴ型デバイス「可能性のタマゴ」をキーアイテムに、「エネルギーの可能性で未来を切り開く」ことをテーマとしている。
電力館に足を踏み入れると、色鮮やかに光る「可能性のタマゴ」が並んでおり、来場者は好きな色の「可能性のタマゴ」を手にする。そして、このデバイスを持って館内を巡り、エネルギーの可能性を集めていくことがメインミッション。なお、この「可能性のタマゴ」は、廃材の利活用およびプラスチック削減のために開発されたオリジナル素材となっており、上部パーツには卵の殻を5%、下部パーツにはホタテの貝殻を15%、それぞれ配合されている。
最初の部屋では、これから始まるエネルギーの可能性と出会う体験を、映像と「可能性のタマゴ」との連動で紹介。化石燃料の燃やすことによって二酸化炭素が増え、地球温暖化が進んでいる現状を危惧し、二酸化炭素を増やすことなくエネルギーを作り、利用するカーボンニュートラルをどのようにして実現していくかが問いかけられる。
続く「可能性エリア」と名付けられた広大なスペースには、未来を切り開く様々なエネルギーの可能性を展示。体験できるエネルギーは約30個となっており、15分間で、できるだけ多くの可能性を探し、「可能性のタマゴ」の中に集めていくことになる。
「可能性エリア」では、「潮流発電」や「波力発電」、「マグマ発電」など自然エネルギーを利用したものから、「核融合」や「宇宙太陽光発電」といった未来を感じさせるもの、さらには「シビレエイ」や「うどん」など、普段はエネルギーとは認識していないようなものまで、幅広いエネルギーの可能性が用意されている。
そして、ただ概要を紹介するだけでなく、ゲーム性やエンタメ性を加えることによって、楽しんで学べるようになっているのが大きな特徴。
15分間のエネルギー体験を終えると、「未来への入口」へ集合。「可能性エリア」に用意された様々なエネルギーを改めて振り返る。そして、「大切なことはいろいろなエネルギーの可能性を探して、集めて、育てていくこと。それがカーボンニュートラルを実現する第一歩」というメッセージにあわせて、タマゴたちが夢見る未来の命の輝きを感じることができる「未来への扉」が開く。
「未来への扉」の先は、空間いっぱいの光と音がタマゴと連動し、いのちの輝きを体感するイマーシブショーが楽しめる「輝きエリア」。光と音が織りなすショーに、来場者はしばしの間、心を奪われる。
「輝きエリア」を抜けるとまもなくゴール。「可能性のタマゴ」を返却する際には、「可能性エリア」で集めたエネルギーの可能性の数が表示される。
そして、「可能性エリア」で出会うことができるエネルギーの可能性が、図鑑のように詳しく、わかりやすく解説されたエリアで、あらためて様々なエネルギーの最新情報をチェックすることができる。
○■楽しみながら体験を
電気事業連合会は「2050年のカーボンニュートラルという目標の先には何があるか? エネルギー技術として活用できるものにはどんなものがあるか? そんな未来の可能性を感じてほしい」という想いから、今回パビリオンを出展。
多くの人に体感してほしい気持ちとともに、「特にお子様に楽しんでいただいて、エネルギーの未来を体感してもらえるようなパビリオンを目指しました」と、北海道電力から出向し、電気事業連合会 電力館 可能性のタマゴたちの運営に携わる吉田志保子氏は説明する。
特に「可能性エリア」で取り上げるエネルギーの選定は大変だったと振り返り、将来性、実現性などの観点と同じくらい、「ゲームにして楽しめるか」という視点を大事にしたという。「あまり技術にこだわって、小難しいものばかり集めてもつまらない」という考えからエンタメ性も重視。そして、来場者が実際にプレイしている様子を常に観察し、難易度や時間調整などのチューニングが、現在も続けられているという。
「大阪・関西万博にいらした際は、お子さんも大人の方もぜひ電力館にお立ち寄りいただき、カーボンニュートラルやエネルギーの未来を感じてほしいです」(吉田氏)
また、北海道電力 広報部長の木林尚稔氏は「電力館は電気事業の現在と未来がわかる創意工夫が随所に見られ、人気のパビリオンの一つになっている。万博の開催期間が1カ月を切るなか、北海道電力としても、残りの会期を盛り上げていきたい」と語った。
未来のエネルギーの可能性を楽しみながら学ぶことができる「電力館 可能性のタマゴたち」は、事前予約制だが、当日予約も受け付けているとのこと。大阪・関西万博を訪れた際は、ぜひ電力館で「エネルギーの可能性」を体験してみてはいかがだろうか。