9月4日~5日の2日間、神戸国際展示場(兵庫県神戸市)で西日本最大級の産業総合展示会「国際フロンティア産業メッセ2025」が開催され、500社以上の企業が出展した。この展示会には、エア・ウォーターも出展し、介護シャワー入浴装置「美浴」(びあみ)や生ゴミ処理機「POITO」(ポイト)を産業メッセとして初展示した。


エア・ウォーターは、産業ガスや医療用ガスの販売をメインに事業展開をスタートしたが、最近は画像処理や遠隔通信などのデジタル関連技術を活用。

「地球環境」と「ウェルネス」を軸に、「カーボンニュートラル社会」「スマート社会」「食料自給率向上」を目的に、「デジタル&インダストリー」「エネルギーソリューション」「ヘルス&セーフティー」「アグリ&フーズ」という4つ事業を展開している。

半日で生ゴミを分解処理する「POITO」

業務用の生ゴミ処理機は、以前はゴミを堆肥にして、その堆肥で野菜を作るという循環型社会を目指していたが、最近は堆肥を作っても使い道がなく、95%ぐらいが捨てられていた。

また、処理の際に出るメタン発酵のニオイが気になるため、最近は、微生物で生ゴミを分解して水と炭酸ガスに分解して消滅させる「消滅化方式」のゴミ処理機が人気だという。
メッセで展示された「POITO」も「消滅化方式」の生ゴミ処理機で、微生物が約半日で生ゴミを分解し、分解処理水として排水される。同社の微生物は、約8年前に大学教授と共同開発したもので、ニオイが気にならず、残留物が残らないという特徴がある。

生ゴミの分解処理は自動で行われ、3分間内部の羽が回転し、17分停止というサイクルを繰り返していく。同社では1日の処理量が50kgの「AN-50」から500kgの「AN-500」まで6機種をラインナップ。スーパーや飲食店などの利用が多く、北海道のコープさっぽろでは約100店舗が利用しているという。

ストレッチャーに寝たまま入浴が可能な「美浴」

介護シャワー入浴装置「美浴(びあみ)」は、ストレッチャーに患者が寝たままの姿勢でシャワーを浴びることができる入浴装置。椅子に座った姿勢で入浴できる機種もある。

「美浴」は、主に自分でお風呂が入れなくなった高齢者や病人など、介護施設や病院などの医療機関での利用を想定している。
300ミクロンの超微粒子シャワーで毛穴の奥までシャワーが入り込んで汚れを落とし、サウナ効果で体を温めるという。

「美浴」は、浴槽の入る入浴に比べ使うお湯の量が少なく済むためランニングコストを下げることでき、お湯を溜める時間も短縮できる。また、介護者の負担を軽減できるため、人手不足という課題も解決できるという。

体内糖化度測定装置「AGEsセンサ」でからだの状態をチェック

エア・ウォーターのブースでは、「AGEs」を測定する体内糖化度測定装置「AGEsセンサ」も展示されていた。

「AGEs」は、食事などで過剰に摂取した糖がタンパク質と結びつくことで体内に生成される物質。人の加齢現象や健康に関わる物質として、研究が進んでいるという。

食生活の乱れや運動不足などにより、「AGEs」の蓄積は急激に増加するため、「AGEs」は生体内における「生活習慣のバイオマーカー」といわれ、その「AGEsスコア」は、その人の「生活習慣の成績表」ともいえるという。

「AGEsセンサ」では、数十秒で「AGEsスコア」を算出し、そのスコアから同年代の人と比較した場合の蓄積レベルを「A」~「E」の5段階で表示し、同年代100人の中の順位を表示する。

「AGEs」の中には、特定の光を照射すると蛍光を放つ性質を持っているものがあり、センサで指先に光を当てると「AGEs」が光るため、その光る量を見て判定している。

「AGEsセンサ」は、ドラッグストアなどの店舗での健康相談や健康フェア、イベントでの健康意識向上ツール、美容クリニック/サロンのカウンセリングツールとして活用されているという。

オプションとして感熱紙プリンタやQRコードリーダーもあり、過去の結果を印字したレシートのQRコードを、QRコードリーダーに読み取らせれば、年齢・性別を入力する手間が省け、測定履歴が管理できる。

塩採取後の海水や排熱を利用して微細藻類を培養

「国際フロンティア産業メッセ2025」には、エア・ウォーターのグループ会社である日本海水も出展。
微細藻類培養システムを説明していた。

日本海水は、海水を濃縮して煮詰めた塩を製造する製塩メーカー。塩を採った残りの海水(脱塩海水)は、これまでは廃棄していたが、塩分が残っているため、これを使って微細藻類を培養する研究を紹介した。

この研究は兵庫県県立大と京都大の共同で行っているもので、微細藻類によって、抗酸化作用を持つ天然色素のフコキサンチンやEPA(エイコサペンタエン酸)、バイオ燃料の抽出・精製しようとしている。また、冬場の水温維持のため工場の発電所から出てくる熱を利用している。

今後は、燃料ガスを用いた温度調整システム培養試験や培養液の餌料としての販売、有用成分の「フコキサンチン」の抽出・精製も行っていくという。
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