JA共済連 新潟は9月6日~7日、新潟市で開催された「ぼうさいこくたい2025 in 新潟」にブースを出展し、広く防災・減災を呼びかけた。JA新潟女性協と連携した、新潟ならではのユニークな取り組みにも注目が集まっていた。
○■巨大地震を体験
朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで開催された、ぼうさいこくたい2025 in 新潟。今年で10回目を迎えた日本最大級の防災イベントで、産・学・官・民の関係者が日頃の防災活動を紹介した。
JA共済連のブースでは「ザブトン教授の防災教室」および「防災に関するワークショップ」を実施した。前者は、地震のリアルな揺れを体験できる学習型プログラム。過去に起きた地震と、今後、起こることが想定される地震の揺れを疑似体験できる。
「大きく揺れますので、手すりをしっかり掴んで下さい」「実際にはタテ揺れも加わった激しい揺れが何分間も続きます」「地震では揺れを感じた瞬間に、とっさに身を守る行動がとれるかどうか、が大事になります」と担当者。これから大きな揺れを体験する、と椅子で身構えていても怖いものが、今後、日常の思いもよらぬタイミングで襲ってくると考えると、身のすくむ思いがする。
○■被災地で活躍するグッズとは?
またJA新潟女性協が主導するワークショップが開催された。テーマは、被災したときの身の回りのものの活用術。その1つは「米袋でスリッパを作る」というものだった。新潟県は言わずと知れた日本一の米どころ。地域に普及している頑丈な米袋でスリッパを作る、というのは見事なアイデアだ。
担当者は、折り方について丁寧に説明していく。ハサミは使わない。ただ単純に折って、折り目をつけて、重ねて、また折ってと、何回かの工程を繰り返すだけで立派なスリッパが完成した。「スリッパは、ガラスが散乱している部屋の中を歩くとき、また避難所でスリッパが足りないときにも使えます。新聞紙でも代用可能です。必要に応じてガムテープなどで補強してください」と担当者。別のテーブルでは、紙食器の作り方も伝えた。
そして北陸地方では絶大な認知度と普及率を誇るという『アイラップ』(ポリ袋)の活用術についても教えた。テーブルの上には「お皿に被せれば汚れものを減らせる」「生ごみ入れとして使える」「ご飯が炊ける」「蒸しパンが作れる」などの説明が書かれたカードが置かれている。ここで担当者は「アイラップでできることと、できないことに分けて下さい」と問いかける。相談する一般の参加者たち。
さすがに「ご飯が炊ける」「蒸しパンが作れる」は無理だろう――。
同社の担当者によれば、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2018年の北海道胆振東部地震、2024年の能登半島地震において、現地で炊き出しを行う際にアイラップでご飯が炊かれてきたという。やり方も聞いた。まずアイラップに米と分量の水を入れる(米は研がなくて良い)。口を結んで20分ほど浸水させたら、水を張った鍋に入れ、上からフタをして火にかけて25分ほど加熱。鍋から袋を取り出して10分ほど蒸らせば、美味しいご飯が食べられるという。
このあとブースに戻り、ワークショップの企画・運営に携わったJA共済連 新潟の山中保氏に話を聞いた。JA共済として、ぼうさいこくたい in 新潟にブースを出展するのは今回が4回目。なお「ザブトン教授の防災教室」については、新潟県内で開催の別の防災フェアにもたびたび出展しているという。
「今回はJA新潟女性協(JA新潟県女性組織協議会)の協力を得て、アイラップを活用したワークショップなど、面白いアイデアをたくさん出していただきました。
そのワークショップは、午前中から大盛況だった。「先ほどは魚沼からいらっしゃった方々が、防災・減災には備えが大事であること、そして被災後のお役立ち情報についても楽しく学んでいかれました。新潟では中越地震がありましたし、最近も隣県で大きな地震が相次いでいます。皆さんの防災意識も高まっているのを感じます」と山中氏。JA共済の今後の啓発活動については「共済事業と地域貢献活動、この両輪で地域の皆さんにこれからも安心・安全をお届けしていきます」と話していた。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。