スコラ・コンサルトは9月4日、転職や働くことについてのアンケート調査の結果を発表した。調査は2025年5月23日~5月26日、一般社員・係長1,868人、管理職(課長・部長)238人の計2,106人を対象に、インターネットで行われた。

○「会社を選ぶ際に重視すること」と「今の会社で満足していること」

「あなたが今、働く会社を選ぶとしたら、どのようなことを重視しますか」「あなたは今の会社のどのようなところに満足していますか」と質問した。

次の表は、重視する割合と満足している割合が高い項目となる。上位3項目は共通している。

2つの設問の結果から、「働く会社を選ぶ際に重視すること」(横軸)と、「今の会社で満足していること」(縦軸)の関係を分析した。

点線は項目の分布傾向を表す近似線で、重視割合に対して7割ほどの満足割合になっている項目が多いことが分かる。赤字で示した上位3要素のうち、「残業や休日出勤が少ない、代休・有休休暇など休みがとりやすい」は近似線より上にあるが、「給与・賞与・福利厚生」と「上司・同僚・部下の人間関係」は近似線の下に位置している。そのため、これら2つの要素は、満足度を高める余地がまだ残されているといえる。
○転職意向が高いのは「若い年代」と「女性」

全体の22.1%が「1年未満に転職したい」、または「1年~3年未満に転職したい」と考えている。10年以上先まで含めると転職を考えている人は50.2%、一方、「転職はまったく考えていない」人は49.8%と二分されている。

若い年代ほど転職意向が高い。また、20代から40代までは女性の方が男性よりも転職意向が高い傾向にある。

社員が長期に定着する要因は


「今の会社で満足していること」を転職意向別に分析した。


「残業や休日出勤が少ない、代休・有休休暇など休みがとりやすい」、「上司・同僚・部下の人間関係」、「自由度や裁量があり、自分らしく働ける」の3つの項目は、今の会社により長く務めたいと考える人や転職を考えていない人ほど満足する傾向があるため、社員の長期定着を左右する重要な要因と考えられる。

「給与・賞与・福利厚生」と「仕事内容が希望や興味に合う」の2つの項目は、転職希望時期の長短とはそれほど関連しないが、「転職はまったく考えていない」人において割合が高くなっている。そのため、転職せずに会社に定着するための要素と言えるかもしれない。

○転職前の会社より「今の会社の方が良い」61.8%

転職の「総合的な評価」について、満足合計(「今の方が良い」+「どちらかと言えば今の方が良い」)は61.8%、不満合計(「前職の方が良い」+「どちらかと言えば前職の方が良い」)は7.8%だった。個別の項目で満足合計が高いのは「残業時間・休日出勤・柔軟な働き方」65.5%、「給与や福利厚生」62.3%だった。

○今の会社の満足合計が高いのは「ブラック逃避型転職」

転職の「総合的な評価」を転職のタイプ別に分析した。

今の会社の満足合計が高いのは「ブラック逃避型転職」81.2%、「組織に失望型転職」75.6%、「環境(価値観・風土・働き方)不適応型転職」74.6%、「人間関係ストレス型転職」71.0%、「ビジョンと実態の乖離型転職」70.0%だった(平均は61.8%)。「燃え尽き型転職」「ライフステージ変化型転職」では、満足合計は5割ほどにとどまる。

○他の社員の「リベンジ退職」11.8%が経験

「上司・同僚・部下が退職した際に困ったこと・嫌だったこと」を聞いたところ、「退職した人が担当していた仕事を分担することになり、自分や職場のメンバーが忙しくて大変だった」(29.0%)、「自分のモチベーションが下がった」(22.6%)、「自分も会社を辞めたくなった」(20.5%)、「上司や会社に対する不信感が高まった」(20.0%)、「業務調整やシフト変更などが急に発生した」(19.0%)となった。

会社に対する不満から、退職時に会社への報復的な行動を伴って退職する「リベンジ退職」が注目されている。本調査では次の3つの選択肢が「リベンジ退職」に該当する。「職場への報復的な行動を伴って退職した」、「退職前に、その人が担当していた業務のデータが消されていた」、「退職前に不満や悪口を職場の一斉メールやチャットで送られた」。
これらの選択肢を1つでも選んだ人は11.8%いた。
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