「ちょいデリ」は、ファミリーマートの手のひらサイズのカップ入りお惣菜&サラダシリーズ。「いろいろ選べる&ちょうどいい」ことがコンセプトです。
2022年から全国展開を開始、2025年7月末には累計2億3,000万食を突破するなど人気が拡大しています。そんな「ちょいデリ」について、商品担当のファミリーマート デリカ食品部 惣菜・サラダグループ 今野真結さんに聞きました。

○当初の想定よりも幅広い層からの支持が

——そもそも「ちょいデリ」開発のきっかけは?

「人々のライフスタイルが変わり一人でお食事をされる方が増えていることから、大皿のものを分けて食べるスタイルよりも"一人ひとりが今、食べたいものを選んで食べる"ニーズを満たしたいと考えたのがはじまりです」(今野さん)

当初は5品程度のラインナップからスタートした「ちょいデリ」。徐々にお惣菜・サラダからおつまみにもなるメニューを増やしていき、現在は20品以上までラインナップを拡大しています(販売地区によりラインナップは異なる)。実際に販売してみると、サラダを想定して作った商品もお酒のつまみとして買われるなど、想定以上に多種多様な楽しみ方をされたのだそう。そのため現在では、様々な食べ方をイメージした商品開発を行っています。

——さらにターゲット層も当初の予想よりも幅広い方に愛されているとか。

「当初は20~40代くらいのオフィスで働く女性をメインターゲットとしてイメージしていましたが、結果的に幅広い年代・世代のお客様に購入いただいています。特に男性はおつまみ需要だけでなく、昼食にマカロニサラダやコールスローサラダといった、マヨ味のサラダを買われる方が多いですね」(今野さん)

お昼ごはんにも、晩ごはんのおかずの+αにも、そしておつまみにもと様々なシーンであると嬉しい「ちょいデリ」シリーズ。現在の1番人気は「特製ダレの味付けたまご」で、3年前の発売以来売上1位の商品です。2位は「海老とイカの明太子スパゲティサラダ」、3位は「豆腐と枝豆のひじき和え」と人気商品のバリエーションにも偏りがありません。最近では、4月にリニューアルした、「冷たいまま食べるタルタルチキン南蛮」も人気が上がっているといいます。
どれも自分でつくるには手間がかかるものの、「ちょっとだけ」食べたいニーズが強い商品です。

——何度も購入したくなる美味しさも人気の理由のひとつですが、開発時にはカップ入りお惣菜ならではの苦労があったのだそうですね。

「『ちょいデリ』は容器のフタ部分が"トップシール包装"で密閉され、中に窒素を封入することで新鮮さを保っています。賞味期限も美味しさも、一般的な容器よりも長く保つことができるのが強みです。

しかし、『蒸し鶏と塩昆布のやみつきキャベツ』という商品ではトップシール包装を使用してもキャベツのシャキシャキ感を保つことが難しく……。生野菜を調味料で和えると時間とともに水分が出てしまう壁にぶつかりました。そこで、包装開発担当者との試行錯誤の結果、すりごまを入れる方法にたどり着きました。結果、すりごまが余計な水分を吸収しながら、香ばしさをアップさせることでさらに美味しさが増しました」(今野さん)

——ひとつひとつの商品がこういったアイディアで食感も味も良くなるように工夫されているんですね。
○コンビニやスーパーで「小容量の惣菜」市場が拡大

2022年の発売以降右肩上がりで人気商品となった「ちょいデリ」は、今年7月末には2億3,000万食の販売を実現。

「他のコンビニやスーパーマーケットでも同じようなサイズのものが増えています。その結果、消費者の皆様に"小容量のお惣菜"の認知が上がってきたことも、売上が拡大している要因だと思います。互いにライバル視するのではなく、小売業全体で市場を拡大したイメージですね」(今野さん)

——「互いにライバル視するわけではない」とはいうものの、企業としては差別化を行う必要もあります。
「ファミリーマートのちょいデリ」としてこだわっている点はあるのでしょうか。

「基本的には、"主食に合う”か"お酒に合う"、どちらかを必ず満たすように開発しています。価格は200円台から300円台前半ぐらいまでに収まるようにして、おむすび1個と一緒に買った時にワンコイン(500円)を超えるか超えないかぐらいの範囲を目指しています。さらに、容器の中にぎっしり詰まっているボリューム感にもこだわっていて、容器全体の7~8割程度が埋まる量を入れています」(今野さん)

——コンビニチェーンの中カップ入りお惣菜の中では、ファミリーマートはパスタ商品をラインナップしていることが気になります。

「パスタはボリューム感が出しやすいという事情もありますが、お昼にパスタを食べたいと思っても単品でそれだけ食べるのはちょっと……という時がありますよね。私もあります。そこでちょいデリにパスタがあれば、他のお惣菜を組み合わせて楽しめるとのでは? と思いました。

さらに、ちょいデリのパスタは冷製で、温めなくてもすぐに食べることができます。特にオフィスでの昼食時には電子レンジ待ちをするのも億劫だったりしますよね。そのため、買ってすぐに食べることができる商品を開発するようにしています」(今野さん)
○新商品は「タルタルVS辛旨」

「ちょいデリ」では9月23日から4つの新商品が登場します。

「たっぷりタルタルを使った商品が2種類、旨辛味の商品が2種類です。まろやかな味と辛い味を行ったり来たりしながら異なる味わいを楽しんでほしいなと思い開発しました。
『あなたはどっちのやみつき? タルタルVS辛旨』というポスターとともに"あなたはどちらが好き!?"と問いかける売り場づくりを行います」(今野さん)

たとえば、「サーモンタルタル 彩り野菜&パスタ」(328円)は洋風メニューではあるものの、隠し味としてワサビと醤油を入れることでまろやかな中に後引くおいしさがあります。パスタ部分にレモンソースを入れることで、一緒に食べた時に異なる味が口の中に広がり、飽きずに食べることができる設計になっています。

「花椒香る! 辛旨よだれ鶏」(328円)は、しっとり仕上げた鶏むね肉に、辛さだけでなく花椒の香りとにんにくの旨みを効かせています。野菜のシャキシャキ感もポイントです。

○開発担当の今野さんが「個人的に好きな商品」はどれ?

——現在20品以上にまでラインナップが広がった「ちょいデリ」ですが、開発担当の今野さんが個人的に好きな商品はどれなのでしょうか?

「『冷たいまま食べるタルタルチキン南蛮』ですね。冷たいまま食べるのにすごく美味しく仕上がっていて、特にチキンの部分が冷たいのに柔らかく、ジューシーでありながら、さっぱり食べられるんです。『特製ダレの味付けたまご』は中華味が効いているので、ラーメンの具材にすると美味しいですよ!」(今野さん)

また、ファミリーマートならではの組み合わせ方法としては、「ファミチキと、ちょいデリの『コールスローサラダ』をセットで食べるとフライドチキン専門店のように楽しめます」とのこと! 自分なりの鉄板な組み合わせを考えるのも楽しいですね。

——そんな今野さんが「ちょいデリ」担当として今後チャレンジしたいことは……?

「フルーツのちょいデリにチャレンジしたいですね。一部地区では販売しているので他のエリアにも拡大できないか、模索しています。

ちょいデリ全体では競合の規模に比べると売上がまだまだ追いついていないため、もっとたくさんの方に知っていただけたらと思っています。ファミリーマートで人気のおむすびや看板商品のファミチキと一緒に買ってもらえるような商品をこれからも考えたいと思います」(今野さん)

昼食から晩酌まで好きなものだけ、好きな組み合わせで。「ちょいデリ」は私たちの"ちょうどいい"を叶えてくれる商品です! お近くのファミリーマートでぜひお気に入りを見つけてみてくださいね。
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