「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクが、ポータルサイトの独自ポイント付与禁止の影響と今後について解説している。
○2025年10月から何が変わる?
2025年10月1日、ふるさと納税制度は大きな転換点を迎える。
これまでふるさと納税制度は、さまざまなルール変更を経て拡大してきた。その中でサイト独自のポイントが付与されることは、寄付者がふるさと納税を始めるきっかけとして、利用者拡大に貢献してきた側面もある
○なぜ今、ポイントに「待った」がかかったのか?
今回のルール変更の背景にあるのは、ポータルサイト間の「ポイント還元競争」の過熱。背景には、ポータルサイト間で過熱した「ポイント還元競争」がある。本来の趣旨である「地域を応援する」から逸脱しないよう、行き過ぎた競争を抑制し、制度の公平性を確保する狙い。2019年の「地場産品基準」の制定や、2023年の経費ルール厳格化に続く、「競争の適正化」という大きな流れの一環と見ることができる。
○対象外となるものについて
今回の規制は、あくまでポータルサイトが独自に行うポイント付与が対象となる。そのため、クレジットカード決済によるカード会社のポイントや、自治体が発行する地域限定の感謝券などは、これまで通り利用できる。
○今後の寄付者やポータルサイトへの影響
ポイント付与が終了する9月末にかけ、"駆け込み寄付"が活発化すると見られる。同社が実施した調査では、ふるさと納税経験者の約7割超(76.5%)が9月末までにいわゆる"駆け込み寄付"を予定していることがわかった。
10月以降のポータルサイト選びにおいては、「返礼品の掲載数」(35.5%)、「検索のしやすさ」(34.5%)、「掲載自治体数」(27.9%)などへの期待が高く、ルール変更を契機に「ポータルサイトの独自価値」がより重視される傾向が見て取れる。
○ふるさと納税制度の歴史とあゆみ
総務省が発表した「ふるさと納税に関する現況調査」によると、2024年度のふるさと納税の寄付総額は、前年度から約14%増の約1兆2728億円となり、5年連続で過去最高を更新した。
一方で過度な競争を抑制し、制度を本来の趣旨に戻すための見直しは、これまでも段階的に行われてきた。
○2026年10月から「地場産品ルール」が見直しへ
2025年10月のポイント付与禁止は、同制度の「適正化」を進める取り組みの1つだが、この流れは今後も続く。2026年10月1日からは、返礼品の「地場産品」基準が見直され、要件がより明確化されることが決まっている。主な変更点は以下の通り。
○1.ロゴやキャラクターグッズの基準が明確化
これまでは、市外で製造された製品でも、自治体のロゴやキャラクターがついていれば「広報目的の返礼品」として認められるケースがあった。今後は、自治体が広報のために実際に配布・販売した実績があることや、その計画があることなどが条件となる。
○2.「付加価値基準」の明確化、調達費用の妥当性確保
他地域の工場で製造され、区域内では製品の企画・販売のみ、といったケースが問題視されていた。今後は、製品の価値の半分以上がその地域で生じていることを、原則として「価格」に基づいて事業者が証明し、自治体が公表することが義務付けられる。また、「価値の過半が区域内で生じた」ことの証明に加え、一般販売価格も併せて証明書に記載する必要がある。
○3.「募集費用」の明確化
2025年度の募集費用(2026年9月公表分)から、自治体は「1支払先あたり100万円以上」の費用を支払った場合、その支払先や金額、目的を公表することが義務付けられる。