パーソル総合研究所は9月11日、全国47都道府県の「はたらく」実態を9つの指標で分析・類型化した「ニッポンのはたらく地図2025」を発表した。人口減少と高齢化が進む日本において、地域ごとの課題と可能性を可視化し、地方創生の基礎資料として活用することを目指している。


ランキングの結果、労働力や生産性といった経済指標は都市圏が上位を占める一方、はたらく幸福度や健康に関する指標では福井や沖縄など地方圏が高い傾向を示した。経済的に強い地域ほど、個人のウェルビーイングとの両立が難しい傾向が浮かび上がった。

47都道府県別のオープンデータと、同研究所が独自に行った「都道府県別 働き方と就業意識調査2025」を組み合わせ、労働力充足、人材マッチング、生産性、女性活躍、シニア活躍、外国人活躍、はたらく幸福、はたらく健康、はたらく柔軟性の9つの指標を設定した。

これらの指標の傾向をもとに、47都道府県を「8つのエリア」に類型化。過疎・高齢エリア、ケア・インフラエリア、自然・文化共生エリア、地場産業エリア、工業心臓部エリア、中核都市エリア、首都「東京」エリア、南国「沖縄」エリアが示された。

例えば「過疎・高齢エリア」では労働市場の空洞化が顕著で、労働力・人材マッチング・生産性が全国最低水準。幸福・柔軟性・健康も低く、人材の不足が深刻だ。「ケア・インフラエリア」は幸福度や健康度は比較的高い一方、外部人材の受け入れが進まず閉鎖性が課題となる。「自然・文化共生エリア」は健康度が高いが、多様性や制度の柔軟性は低く、新しい働き方の受容が進みにくい。

「地場産業エリア」は共働き文化が根付くが、幸福度や健康度が低く、人材マッチングや生産性も課題だ。「工業心臓部エリア」は生産性や外国人材・シニア人材の活用は進んでいるが、女性活躍が遅れている。「中核都市エリア」は高い生産性と柔軟性を誇るが、健康度は著しく低い。


首都「東京」エリアは9つの指標のうち5つが全国1位と高水準だが、幸福度やシニア活躍は低く、多様な価値観への対応が課題。南国「沖縄」エリアは幸福度・健康度は全国トップクラスながら、若年離職率の高さやシニア活躍の遅れ、構造的失業が課題として挙げられた。

今回の報告書では、女性活躍には育児との両立支援、シニア活躍には多様な働き方の提供や健康支援、生産性向上にはDX推進や人材育成など、課題改善に向けた方向性も示されている。
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