スマートウォッチの三大機能といえば、健康管理、運動管理、スマホ連携。そのいずれにも新しい機能を搭載するのが、サムスンの「Samsung Galaxy Watch8」です。
スマートフォン「Samsung Galaxy」シリーズをはじめ、Androidスマートフォンと連携が可能。44mm、40mmの2サイズ展開で、Bluetoothモデルのほか、au、ドコモ、ソフトバンクからスマホなしで通話や通信ができるLTEモデルも発売されています。
[デザイン]薄さは正義!抜群の着け心地で、睡眠時もストレスフリー
手にしてまず感じたのは薄さ。スマートウォッチは様々なセンサーを搭載しているため、アナログの腕時計に比べると分厚いことが多いのですが、Galaxy Watch8は厚さ8.6mmと前モデル比で約11%、最新の「Apple Watch Series 11」と比べても1mm以上スリムです。
シンプルな丸型だった前モデルまでから、デザインを一新。44mmモデルには、約1.5インチ(480×480)、丸型のSuper AMOLEDディスプレイが搭載されていますが、その周囲にクッション型のアーマーアルミフレームを配置した、シックな印象のデザインになっています。
縦46.0×横43.7×厚さ8.6mm、重さ34gと面積はそれなりにあるのですが、薄さ、軽さに加えて、バンド連結部分の角度にも工夫がされていて、装着感は良好。バンドを強く締めなくても、背面のセンサーがピタッと密着します。
スマートウォッチでできる健康管理のひとつに睡眠管理がありますが、睡眠を測るために腕時計を着けて眠るのは、慣れないとかなりのストレスです。
慣れているつもりの筆者でも、いまだに無意識に外してしまうことがあるくらいですが、Galaxy Watch8の場合は、軽さや装着感の良さ、シーツなどが引っかかりにくい薄さのおかげで、ほとんどストレスを感じませんでした。テストしたのが暑く寝苦しい時期だったこともあって、これは本当にありがたかったです。
[健康管理]充実の睡眠管理。
Galaxy Watch8および、連携する「Samsung Health」アプリには、他のウォッチ&アプリと比べても、かなり充実した睡眠管理機能が用意されています。
心拍や血中酸素などのセンサーを組み合わせて、着けて眠るだけで睡眠の状態を自動的に記録。睡眠スコアや眠りの深さが4段階でわかるグラフが見られるほか、継続して記録すると、自分の睡眠のタイプに応じて、より良い眠りのためのコーチングも受けられます。
また新たに過去3日間の睡眠リズムから、翌朝すっきり目覚められる就寝時間を教えてくれる、「睡眠時刻のガイダンス」機能も追加されました。不規則な睡眠を整えたいときに役立つ機能とのこと。提示された時間通りに眠ることが難しく、残念ながらテスト期間中にその効果を確認するまでには至らなかったのですが、海外渡航時の時差ぼけの解消などにも使えそうです。
このほか、電源につないだスマホを枕元に置いて眠れば、いびきの計測も可能。睡眠時の皮膚温から、生理周期や排卵日を予測できる機能もあります。さらに毎日のエナジースコアや、ストレスレベルもチェック可能。ガイダンスに従って簡単にできる呼吸エクササイズなど、マインドフルネスに役立つ機能も揃っています。
中でも筆者が特に気に入ったのが、睡眠や活動量をもとにしたエナジースコアです。起床時に疲れがとれていないと感じたら実際にスコアも低いなど、納得のできる数値でした。
Galaxy Watch8にはほかにも、健康管理に役立つ指標をチェックできる、独自機能が多数搭載されています。
たとえば、今回新たに搭載された「血管負荷」は、睡眠中に血管にかかるストレスレベルを計測できる機能。同じく新機能の「抗酸化指数」は、背面のセンサーに指を押し当てて計測することで、皮膚に蓄積されている抗酸化物質の量がわかるというものです。この抗酸化物質は緑黄色野菜や果物に多く含まれているそうで、生活習慣病予防やアンチエイジングのために、食生活を見直すきっかけにできそうです。
ほかにも睡眠時に計測できる「AGEs指数」、2つのボタンに指を当てることで、体組成を計測できる機能など、他のスマートウォッチにはない機能が充実。まだベータ版という位置づけの機能も多いですが、今後のアップデートによってさらに詳しいアドバイスが受けられるようにある可能性もあり、期待が持てます。
[運動管理]ランニングを測定して、自分のレベルにあったコーチングが受けられる
運動管理では、自動的に記録される活動量(歩数、活動時間、消費カロリー)に加えて、様々なスポーツによる運動を記録できます。
ウォーキングやランニングは、一定時間続けると自動的に検知して記録が開始されるしくみ。またランニングについては、12分間走ってレベルチェックすることで、自分のレベルにあわせたコーチングが受けられる新機能も追加されています。
筆者は普段運動をほとんどしていないので、早歩きくらいの速度でレベルチェックをやってみたところ、結果は「レベル1」でした。提示されたトレーニングプランの最初の目標は、5km、35分以内。
[スマホ連携]ワンタッチでGeminiが起動。AI連携は手放せなくなる便利さ
各種通知や様々なアプリの連携に加えて、スマホ連携機能で注目したいのが、ホームボタンの長押しで簡単に「Google Gemini」が起動できることです。
スマホを開かなくてもGeminiとの会話から様々な情報が得られるほか、メールで届いた打ち合わせの予定をカレンダーに追加するなど、アプリをまたいだタスクも実行可能。同じことはスマホのGeminiでも可能ですが、手元でさくっとこなせるのはやはり便利です。
Bluetoothモデルの場合、Geminiの応答はスマホ経由になりますが、3nmの高速プロセッサの恩恵なのか、タイムラグはあってもレスポンスは悪くありません。LTEモデルではクラウドとダイレクトにやり取りできるとのこと。ほかに、着信したメッセージの内容に応じて、返信を生成して送信するといったこともできます。
なお、Galaxy Watch8にはWear OSベースの「One UI 8 Watch」が採用されています。豊富なウォッチフェイスが選べる、Google Playからアプリを簡単に追加できるほか、よく利用するアプリのウィジェットを、テーマごとに見やすく配置できる「マルチインフォタイル」にも対応。スワイプで切り替えられる画面に、一度にたくさんの情報を表示できるだけでなく、より自分好みに使いやすく、カスタマイズできるようになっています。
[基本性能]薄さとトレードオフか、唯一の懸念点はバッテリー
このほかIP68かつ50メートル防水をサポートし、Felicaにも対応。いざというときの転倒検知機能なども備え、またLTEモデルも選べるなど、基本性能でも不足なしといった感じです。だた、試してみてひとつだけ気になったのが、バッテリーと充電。
バッテリー駆動時間は、常時表示ディスプレイがオンの場合で約30時間、オフの場合で約40時間となっていますが、実際に使った印象だと少なくても1日に1度は充電が必要です。薄さとのトレードオフかもしれませんが、入浴などの時間を使ってこまめに充電する方が良さそうです。
ほかにはない健康指標が得られる機能や、手元で生成AIがさくっと使えるなど、一歩先を行く印象のGalaxy Watch8。特に就寝時に負担になりにくい薄さと、充実の睡眠管理機能はライバルのスマートウォッチに対しても、アドバンテージになるでしょう。
健康管理、特に睡眠管理に重点を置くなら要チェック。一方でランニングのコーチングなど、新しい機能にはまだベータ版的位置づけのものも多いので、今後のさらなる進化にも注目したいところです。
著者 : 太田百合子 おおたゆりこ テックライター、エディター。インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。